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楽天証券ニュース[マーケット情報] | 発行:2008年11月17日 楽天証券株式会社 |
株式 | 週末終値 (11/14終値) |
前週末比 (11/7比) |
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日経平均 | 8,462.39 | -120.61 | -1.41% |
NYダウ | 8,497.31 | -446.50 | -4.99% |
株式 | 週末終値 (11/14終値) |
前週末比 (11/7比) |
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長期金利 | 1.500% | -0.010 | |
ドル/円 | 97.03 | ||
ユーロ/円 | 122.32 |
2008年11月11日(火)に、弊社のシステムに障害が発生し、お客様のお取引に多大なるご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。弊社では今回の事態を厳粛に受け止め、社長陣頭指揮のもと、再発防止に全力を挙げて取り組んでおります。今後とも何卒、深いご理解と変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
先週末の日経平均株価の終値は8,462.39円、前々週末と比較すると120.61円のマイナス、下落率にしてマイナス1.41%となりました。一方、TOPIXの方はマイナス3.65%となり、日経平均株価よりは少し余計に押した感じです。先週は週初に中国が景気対策として約57兆円分のプランを発表したことや、週末に予定されていたG20金融サミットへの期待感などから、外需関連銘柄へ目線がある程度集まったということが影響しているかも知れません。
しかしながら、先週の平均売買代金は1兆7,000億円に届かず、この水準は8月の後半ほどには悪くはないものの、約2カ月間続いた平均2兆円超の水準から比べると、めっきりと閑散な状況になったことが見て取れます。市場は連日のように発表される企業決算の内容や世界景気の動向を見極めたいと思っているのかも知れません。
その意味でも、念頭にあるのがやはり米国景気とその動向となりますが、週末のNY株式市場ではNYダウが急落して8,497.31ドル、週を通じてみるとマイナス446.50ドル下落、率にしてマイナス4.99%ということになり、ポジティブな印象はなく終わりました。
米国市場を揺るがしているテーマはいくつかありますが、ひとつは先週末発表された10月の小売売上高が前月比2.8%減(9月は1.3%減)と、予想(2.1%減)より落ち込みが大きくなったというような消費動向の問題です。これで減少は4カ月連続、今回は1992年の統計開始以来で最大の落ち込みとなったようです。10月の変動の大きい自動車を除いたベースは2.2%減で、1.2%減が見込まれていましたが、主要13項目のうち10項目で減少と広範にわたる低調が示されました。もうひとつ注目を集めているのはGM問題を筆頭とする米国自動車産業の救済があるのか、ないのか、だと思います。また再びシティの株価が9ドル台へ入ってしまっていることに、「ここにまだ火種があるかも」という疑心暗鬼を生んでいるようにも思います。実際、週末には更に6万人の削減が発表になりました。すべて一筋縄ではいかないことは確かです。
一方、悪い話ばかりだったわけではありません。原油価格(WTI)がついに60ドル台を割り、週末は57.04ドル、週を通じた平均を取って見ても58.64ドルとかなり安くなってきています。新聞によれば、アジアの原油市場の指標となるドバイ原油は3年5カ月ぶりに1バレルあたり50ドルを割ったようです。原油価格(WTI)について言えば、早くも50ドル割れ、40ドル前半説まで飛び出してきています。
最終製品が売れなければ何もならないという論法はもちろん解りますが、コスト高を理由に収益が圧迫されると叫んだ時もあるわけですから、少なくとも日本経済にとってこれらは好材料なはずです。悲観論に煽られ過ぎるのは危険かも知れません。
<上のチャートはGM株のこの1年間の値動きです。----- ほぼ一本調子で下がり続け、1年間で10分の1にまでなりました。「晴れた日にはGMが見える」とまで言わせたのに…>
<もうひとつ気になるチャートはこれ。CITIGROUP株のこの1年間の値動きです。----- 9月以降、何度も戻そうとはしていますが、11月に入ってからは更に下落し、目下10ドル割れ。公的資金が入ったというのにこのていたらく。>
ひとつ整理しておきたいのはヘッジ・ファンドの動きと解説です。「ヘッジ・ファンドの解約予告は45日前までなので、逆算して今日は売りが殺到する」などと言われますが、ちょっと誤解があります。45日前までに解約予告というのは一般的な事実ですが、その段階で解約に伴う反対売買オペレーションがすべて行われるわけでは勿論ありません。あくまで「12月末の決算をもって、ファンドを解約させて下さい」という“NOTICE”が運用会社側に伝えられるということです。普通に考えて、その段階で解約分に相当するポジションを一気にクローズするわけがありません。従って、ヘッジ・ファンドの運用会社にとって現段階は来年2009年もファンドにお付き合いいただけるお客様の顔触れと、残念ながら今年限りとなるお客様の顔が確認できた状態ということになります。ゆえに、残念ながらその解約に伴うオペレーションは、事実上、まだ続くということです。ただ、その着地点は見えたということ、市場動向などを見ながら、自らの首を締めないように行われるはずです。
期待されたG20金融サミットの結果ですが、私自身はそもそも期待を寄せていませんでしたが、やはり「これ!」というような材料は出て来なかったように思われます。というより、本質的な議論をさておいて、自国の都合だけの話が多いように思います。いま、この時点で「基軸通貨はドルが良いのか?」的な議論をしたところで、有事の最中に机上の空論を重ねているように思ってしまうのは私だけでしょうか? 事実として、円が一番強くて、次がドル、そしてユーロというのが市場の評価であり、欧州の金融機関がドル建てで新興国に貸し付けた融資が不良債権化しそうだというのが危惧されているのが足元の状況。議論の方向性がおかしな方向に向かっている気がしてなりません。
更に言えば、日本国内でも円高=景気悪化という安易な悲観論調が増えているように思われるのも気掛かりです。確かに円高は輸出に頼る企業の収益にはマイナスのインパクトをもたらしています。決算発表の都度、溜息が洩れてくるのは仕方がないのかもしれませんが、日本の輸出産業は今より進んだ円高を90年代に乗り越えています。問題は円高の水準ではなく、円高進行の速度のはずです。確かに今回は早過ぎました。ただ、ドル90円台が、ユーロ110円台自体が悪いということではありません。アジャストする時間が必要なのです。
そして輸入の面では明らかに円高は好材料です。食料の自給率が40%台の我が国において、60%は輸入。小麦も大豆も輸入ですから円高は家計にも優しいはずです。そして前述の原油。鉄鉱石やレアメタルなどもすべて輸入の国です。身近なもので言えば、女性に人気の欧州ブランドの装飾品。ユーロが高くて170円を目指す局面では、日本向けのセカンド・ラインと呼ばれる廉価版がラインナップに導入され、展開されていました。日本人の購買力が円安のせいで追いつかなくなった証でした。ベンツやBMWといった人気の欧州車も、見え難い部分で日本向けはコスト・カットされていました。お気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、オプション設定が増えたのがその一例です。
金融システム不安も、それに伴う世界的な景気減速も、決して終わったからということで楽観的な見通しを申し上げるつもりはありません。ただ、先週配信させていただきました緊急レポート「夜明け前の闇が一番暗く感じる」にも書きましたが、目線を変えることが大事な時があるかと思います。もちろん、すべてに安心材料が揃ってからというのも考え方ですが、金融市場はそれよりずっと前に動き始めるというのも事実ですから。決算発表も峠を越え、米国ではサンクスギビングに思いを馳せ始める時期となってきました。少し目線を遠くに置いてみるべき時が来つつあるように考えています。
今週も素晴らしい一週間になることを願っています。
楽天証券経済研究所 チーフストラテジスト。
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍し、2008年6月から現職。
日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
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