匿名組合について

 

匿名組合とは?

民法において組合は規定され、民法上の法人格を有するが、その組合の中でも特に商法において規定される組合を指す。
匿名組合では、出資された財産が営業を単独で行う営業者に帰属し、各組合員は利益配分のみを受け取るという匿名組合契約が個別に交わされる。そのため、営業者と各組合員との契約はそれぞれ独立した存在となり、組合員の責任は出資額の範囲に限定される。本契約形態では営業を単独で行う相手方のみが権利義務関係の主体となり、個別の出資者が特定されない(匿名)ため、匿名組合と呼ばれる。


金銭出資型の匿名組合について
※ 商法上、匿名組合契約の出資については金銭その他の資産と定められているが、ここで対象とする形態は金銭出資型の匿名組合とする。

(1) 出資者は営業者と匿名組合契約を締結し、金銭を出資。出資者は組合員となる。
(2) 営業者は出資金により営業を行い、その収益(損失)を各組合員に分配。
(3) 営業終了後(事業売却後)、各組合員の出資割合に応じ、残存資金を分配。

(1)について
匿名組合の利用により、営業者は事業に関わる必要資金を出資者=組合員より調達することが可能となるが、ローンや社債のように定められた金額の利払いを定期的に行う必要はなく、対象事業からの収益状況に応じて、組合員に配当を行うのみで足りる。
配当の形態のみに注目すれば、その形態は株式に非常に似たものとなるが、個別の契約が必要となるため、株式のような流通性は備えていない。証券専門会社(銀行法にて規定。当社は証券専門会社に該当)は匿名組合契約の取次等をその業務として行える事が銀行法施行令において定められている。

(2)(3)について
組合員は匿名組合の事業から利益がでた場合にその配当を受け取る権利と、匿名組合契約が終了した場合に出資価額の返還を請求する権利を有するのみで、営業者の事業そのものに対する執行権は持たない。
利益配当金と出資価額返還金は匿名組合の行う事業の実績により変動するため、出資返還金価額は当初出資価額を下回る可能性がある。(なお、現物による出資を行った場合にも返還の際には金銭による返還が行われる。)
また、匿名組合自体については税法上"導管"とみなされるため、匿名組合自体に課税は行われず、組合員に分配された収益についてのみ課税される。