COSCO Pacific Limited(中遠太平洋 香港 1199)、2003年5月29日 HK$7.70
第1四半期業績は堅調、SARSの悪影響は見られず
- COSCO Pacific(CPL)の2003年第1四半期業績は極めてポジティブな内容であり、新型肺炎SARSの影響を懸念したマーケットの見方が過剰反応であったことを伺わせるものとなった。同期業績の主要ポイントは以下の通り。
- コンテナリース部門:第1四半期の需要は依然堅調で、コンテナ稼働率は94.5%。イラク戦争による短期的なプラス効果や旧正月前の駆け込み需要などが追い風となった。BOCIによると、CPLは需要の拡大に応えてコンテナ購入枠を広げたが (今年これまでに8%増の11万3,000個)、新規導入分もすべて予約済みとなった(内訳は長期契約80%、短期契約20%)。リース料が上向きに推移していることもあり、CPL経営陣は同部門が年内健全な成長を続けると確信している。
- 港湾部門:CPL全体の港湾取扱量は第1四半期に前年同期比27.5%の伸びを示した。大幅成長の原動力となったのはShekou、Yantian、Shanghai SCTなど。COSCO-HITが運営する香港8号コンテナターミナル(CT8)の取扱量は、珠江デルタの輸出拡大や前年数字の低さなどから16%の伸びを記録したが、4月単月の伸び率は同0.2%まで縮小した。BOCIは物理的な限界などを理由に、CT8の伸び率は今後頭打ちになるとの見方。CPL経営陣は今年、CT8の取扱量増加率を5%、その他港湾の増加率を二ケタと予想している。
- 青島Qianwan(前湾)第2期・第3期ターミナルの買収計画は、SARSの影響でさらに2カ月ずれ込み、現時点で今年7月の予定となった。CPLはこのほか、今年第3四半期にも天津Dungtu(処理能力150万TEUのバース4つ)の権益14%を4,200万USドル以下で取得する計画。また、深センShekou第2期の一部権益の取得に踏み切る可能性がある。一方、赤字子会社RTTの売却計画は予定通り進行中。
- BOCIはCPLの2003年の利益見通しを2%上方修正し、1億7,900万USドルとした(予想EPSは0.083USドル)。BOCIによると、今年4月からの利益寄与が見込まれていた青島Qianwanの買収が遅れたことで、CPLの利益見通しは360万USドル低下するが、コンテナ部門の好調がこれを十二分に補う要因となる。
- 利益見通し修正後のCPLのPERは11.9倍(修正前は12.1倍)。BOCIによると、現在の株価にはかなりの割高感があるが、天津Dungtuの株式取得が2004年の予想利益を一段と向上させる見通し。また、短期的には投資家による利益確定売りが見込まれるものの、BOCIはコンテナリース、ロジスティック部門の業務状況や港湾部門の買収戦略を高く評価し、CPLの長期見通しを楽観している。BOCIはまた、52%の配当性向に変化はないとの見方であり、2003年の配当利回りを4.3%弱と予想。CPLに対してアウトパフォームの投資判断を維持している。
Moulin International Holdings(泰興光学集団 香港0389) 2003年5月29日 HK$3.725
会社訪問による調査結果
- Moulinは世界有数のめがねフレーム・メーカー。中国南部に2つの工場(年産能力約1,400万個)を構え、ODM/OEM生産を受託するほか、めがね小売りチェーン「America's Eyes」を展開する。上海市場のシェアは約10%。また、2年間で欧州9カ国に販売網を拡大しており、イタリアとドイツの販売シェアはそれぞれ5%、8%に上る。
- Moulinは事業拡大を目的に、以下の3つの契約を結んでいる。
- 米最大のアイ・ケア保険会社、VSPの直接子会社とのパートナーシップ契約。ブランド物の眼鏡フレームを廉価で独立系小売店に振り向ける。
- 北米に約600店舗を展開するメガネ小売りチェーン(米国第3位)「US Vision」との7年間の独占供給契約。在庫の50%を供給するもので、年間1,000万USドルの増収が見込める。
- 技術移転を目的とするニコンとの合弁製造契約。
- 昨年の事業再編を経て、今年は設備投資を増強。機器のグレードアップや工場新設に総額1億1,000万HKドルを投資する。経営陣は、販売網の拡大や新規ブランドの導入により、2004年には大幅増収・増益を見込む。
- 2003年利益予想(IBESの市場コンセンサス予想)に基づくPERは8.4倍。