中国銘柄レポート

 

COSCO Pacific Limited(中遠太平洋 香港 1199)、2003年7月22日 HK$8.30

青島前湾港の20%取得計画を発表、取引価格は1.8億米ドル

  • COSCO Pacific(CPL)はこのほど、長く待たれていた青島前湾(Qingdao Qianwan)港への資本参加計画をついに発表した。それによると、同港の権益20%の取得価格は総額1億8,000万米ドルと、BOCIが予想した1億5,000万米ドルをわずかに上回る。しかし、BOCIによれば、この取引はCPLの利益見通しを左右する核心的な要因であり、2003年度に税引き前利益で280万米ドル(第4四半期のみの貢献)、2004年度には1,400万米ドル(同期純利益の7%に相当)の利益寄与が見込まれる。

  • 青島前湾港の権益取得により、CPLは中国北部港湾市場に足場を築いたことになる。BOCIによると、CPLは渤海周辺地域でのプレゼンス拡大を目指しており、今回の取引は同地域における買収戦略の第一歩。渤海地域の次には、アジア太平洋地域に目を向ける可能性が高い。

  • 中国沿岸コンテナ埠頭の今年上半期の取扱量は、旺盛な貿易需要を背景に前年同期比33%の伸びを示した。上海と深センが引き続き成長をリードし、同期の取扱量はそれぞれ35%、40%増。港湾ビジネスの拡大はCPLにとってのプラス材料となる。

  • 一方、香港コンテナ埠頭の合弁運営会社COSCO-HITでは、取扱量が2カ月連続で減少した。しかし、成熟期に入ったCOSCO-HITはすでにフル稼働に近い状況にあり、二ケタ成長の持続には期待しにくい。また、今年これまでのパフォーマンスはほぼBOCIの予想範囲内。BOCIは今年通年の取扱量について4%の伸びを予想している。なお、香港ではHutchison Whampoa(HK 0013)傘下のコンテナターミナル9号(CT9)が7月22日から稼動し、COSCO-HITの業務に響くと見られるが、BOCIによればマイナス影響は限定的で、事業者間の価格競争につながる可能性も低い。

  • コンテナリース部門の需要は極めて堅調。94-95%の高稼働率を受けて営業利益率の拡大が見込まれる。River Trade Terminal(RTT)の売却は今年度の特別損失につながると見られるが、CPLにとっては赤字部門の排除を意味し、将来的なプラス要因となる。

  • CPLのPERは2003年の利益見通しを基に12.8倍と、BOCIの目標株価 (PER12.7倍)をすでに上回った。投資家はこのところ、世界的な景気回復や中国経済の高成長を背景にH株や優良レッドチップの買いに動いており、前向きの市場心理が続くなかでCPL株の再評価が進む可能性が高まっている。2004年の利益見通しを基にPER13.5倍を適用した場合、同社の株価は9.80HKドル(2003年の利益見通しを基に15.1倍)。BOCIは天津Dongtu港の買収をはじめとする新たなプラス材料が出そろうまで、CPLに対してマーケットパフォームの投資判断を据え置く意向。8HKドルを割り込んだ場合に限り、目先買い増しを推奨する方針を示している。

Brilliance China Automotive Holdings(華晨中国汽車控股 香港1114) 2003年7月22日(火曜日) HK$2.275

明るさを増したBMWとの合弁生産見通し

  • 中国自動車産業の急成長の恩恵を受けて、高級セダン車の年初6カ月の販売台数は堅調に推移した。China Automotive Industry Newsletterによれば、FAW-VW(一汽大衆汽車)の「アウディ」A4/A6モデル(中国国内で生産されている唯一の高級セダン車)は、今年上半期に前年同期比89%増の2万8,380台を記録。セダン車全体伸び率(82%)を上回った。一方、South China Morning Postによれば、厳しい輸入割当にもかかわらず輸入車の人気は高く、同期のBMW販売台数は5,970台(前年同期比120%増)に上った。

  • BOCIは高級セダン車市場の競争はそれほど厳しくないとの見方をとってきたが、セダン車の人気ぶりから判断して、BCAが45%の権益を有するBMWとの合弁会社は近い将来、急成長する可能性があるとみている。BCAは2003年3月、BMWの「3シリーズ」と「5シリーズ」について中国国内での合弁生産を取り決めた。いずれも今年10月に生産開始の予定で、目標販売台数は2003年に3,000台、2004年に15,000台。同社は現在、「7シリーズ」の合弁生産に向けてBMWと交渉中だが、BOCIによれば、これも実現する可能性が高い。合弁会社の利益貢献については、2003年は9,400万人民元の損失を予想しているが、2004年には1億3,200万人民元の利益計上を見込んでいる。

  • ミニバス部門の緩やかな利益成長に加え、2003年はセダン車「中華」、2004年はBMWとの合弁生産の利益貢献が見込めることから、BOCIは2002−2004年の年平均EPS成長率を41%と予想。2003年と2004年の予想PERは9.1倍と6.9倍で、株価は依然割安と考えられ、投資判断のアンダーパフォームを継続している。







   
   
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