華電国際電力(フアディエン・パワー・インターナショナル 香港1071)、2004年7月7日、2.60HKドル
- 華電国際電力は今年上半期の発電量が前年同期比18.8%増の1740万kWhに達したと発表した。同期の発電能力の伸びが8%前後であることを考慮し、BOCIは発電量の伸びについては十分な水準と評価している。前年同期比で31%の伸びを示した今年第1四半期に比べると精彩感に欠ける嫌いもあるが、第1四半期の高い伸びは、前年同期の低い実績に一部起因している。
- 地元山東省の電力需給が相対的に不利な状況にあるため、華電国際電力の今年の利益成長は他の上場IPP(独立系発電事業者)を下回り、通年の発電能力の伸び率も一ケタにとどまる見通し。しかし、BOCIは現在株価に割安感があると考えられることと、電力セクター全般に対する楽観的な見通しを理由に、華電国際電力に対してアウトパフォームの投資判断を維持している。
エン州煤業(イエンチョウ・コール・マイニング 香港1171)、7月9日、8.75HKドル
好材料出尽くす
- エン州煤業(イエンチョウ・コール・マイニング)は1株あたり8.30HKドルでH株2億400万株を新規発行した。これにより同社のH株発行数と発行済み総株式数は、それぞれ20%、7%増加した。調達した正味資金は16億5000万HKドルで、陝西省と山東省の炭鉱および陝西省の新メタノール・プラントへの投資資金に充てる予定。総設備投資額は推定34億3000万人民元。
- 両炭鉱の可採埋蔵量は推定18億7000万トンと、エン州煤業の既存炭鉱の埋蔵量に匹敵する。同社はこれらの炭鉱の支配株主となる予定。陝西省の炭鉱は2005年第4四半期に、山東省の炭鉱は2007年下期にそれぞれ生産を開始する見通し。
- 一方、陝西省の新メタノール・プラントの予定生産能力は年産66万トンとなっており、2007年に操業開始予定で、2008年にはフル稼働が可能である。同プラントは陝西省の炭鉱で採掘された石炭を原料として使用する。総投資額は約24億人民元で、現在の条件ではエン州煤業の帰属投資額は12億4000万人民元となっている。同プラントの権益を増やすことができれば、エン州煤業の帰属投資額は最大18億人民元まで増加する。
- 陝西省・山東省の炭鉱への投資により、同社の生産能力不足は解消され、帰属生産能力は現在の水準から2010年までに38%増加する見通し。しかし、生産開始が先になることから、向こう12−18ヶ月の生産量の伸びはごくわずかなものにとどまろう。また、両炭鉱は未開発プロジェクトであるため、実行リスクも残る。
- 新メタノール・プラントへの投資は下流の石炭加工への多角化に向けた第一歩である。メタノールの国内消費量は1999年から2003年にかけて年間平均14%増加しており、2004年には538万トンに達する見通し。現在の生産能力は年産500万トンだが、黒龍江の年産120万トンのプラントをはじめ、数ヶ所の大型プロジェクトが予定されていることから、生産設備が不足することはないとみられる。このため、2007年の稼動開始に伴ってメタノール・プラントが大きなリターンを生むかどうかは、不透明である。
- BOCIは、今回の株式発行に伴う希薄化と、新プロジェクトによる目先の収益貢献が期待できないことを加味して、2004年、2005年、2006年のH株の収益予想をそれぞれ4%、7%、3%引き下げている。
- BOCIでは、内外の石炭価格の上昇や買収、新規投資などの収益・株価の押し上げ要因が数多くあるとの見方から、年初にエン州煤業の投資判断を引き上げたが、現在はこれらの好材料の多くはすでに株価に織り込み済みであり、ほぼ出尽くしたとみている。
- 過去のPERの推移から判断して、H株の2004年予想PER 9倍は低成長期でも達成可能とみられる。今後数年間はEPS成長率の低迷が予想されることから、BOCIは2004年予想PERを10倍から9倍に下方修正しているが、投資判断は「アウトパフォーム」に据え置いている。
