中国銘柄レポート

 

大唐国際発電(ダータン・インターナショナル・パワー)、香港0991 8月24日 5.50HKドル

石炭価格の上昇にもかかわらず利益率上昇

  • 大唐国際発電(ダータン・インターナショナル・パワー)の2004年6月中間期決算は純利益が前年同期比42%増の11億1000万HKドルとなり、BOCIおよびコンセンサスの予想を11%上回った。発電量は前年同期比で38%増加、売上高は34%増加した。発電量が大幅に増加した主な背景には、内蒙古の托古托(Tuoketuo)発電所第一期(1200MW)、山西大唐神頭(Shanxi Datang Yungang)火力発電発電所(440MW)および河北大唐唐山(Hebei Datang Tangshan)火力発電所(300MW)1号基の貢献がある。これら新プラントを除いた既存プラントの発電量の伸びは前年同期比6%。

  • 加重平均料金は、低料金の托古托発電所が稼動を開始したことが主因で約3%減少したものの、営業利益率は30.5%から31.5%に上昇、純利益率も17.4%から18.4%に拡大した。これは、単位あたり燃料コストの低下に加えて、托古托発電所の利益率が拡大したためである。托古托発電所は「中国西部開発スキーム」に該当することから、優遇税制措置が適用されている。15%の永久税率のほか、当初2年間は免税、以降3年間は50%の減税措置を受ける。このため、同社の実効税率は33.3%から27.5%に下がっている。

  • 金利スワップで3600万元の利益を得たことで((前年同期は6400万元の損失)、財務費用は32%の減少。金利スワップの差損益を除いた場合、財務費用は12%の増加、純利益は27%の増加となる。

  • 2004年上期は石炭価格が高騰したが、単位あたり燃料コストは実質的に1.6%減少した。これは、托古托発電所の標準石炭価格が大幅に下がったほか、全ユニットの単位あたり石炭消費量を抑制できたことが主な背景である。托古托発電所は炭鉱からわずか44キロの距離に位置するため、石炭価格は同社の他のプラントの1トンあたり平均260−270元を約50%下回っている。また、托古托発電所の標準単位あたり石炭消費量は約345g/キロワット時と、大唐国際発電の2003年の平均である357g/キロワット時よりも3%少ない。中間期は他のプラントの石炭消費量も小幅ながら減少した。

  • 国家発展改革委員会(NDRC)の通達に基づき、石炭サプライヤーとの間で新たに合意した石炭価格から判断して、BOCIは大唐国際発電の単位あたり燃料コストが通年で4%上昇すると予測する。しかし、政府が6月に発表した電力料金の値上げにより、利益率は今後も安定するとみている。また、米国の利上げが続けば、過去に計上した金利スワップの引当金を戻し入れる可能性もある。株価は現在、2005年予想PERで11倍の水準にあり割高感はない。

中国リョ業有限公司(アルミニウム・コーポレーション・オブ・チャイナ 香港2600)、2004年8月24日、3.725HKドル

  • 2004年6月中間期の純利益は、前年同期比116%増の34億元と、BOCI予想水準(通年の予想純利益の約60%)だったが、市場コンセンサス予想を若干下回った。売上高は同37%増の142億元、営業利益率は前年同期の22.6%から33.8%へ上昇した。中間配当は見送る方針。

  • 増益要因として、トン当たりのアルミナ価格が前年同期の2,224.9元から3,216.73元へ44.6%上昇したことや、アルミナ販売量が14.6%増の226万2,000トンに達したことが挙げられる。トン当たりのアルミニウム販売価格は16.8%増の1万4287.5元となる一方、電力不足と鉄道輸送面の不備により、生産量は24.6%減少した。同社は今月1日付けでアルミナ価格を12.8%引き下げたため、下半期の業績は上半期を下回る見通しで、BOCIは通年の利益予想を据え置いている。

  • 同社の中間期のアルミナ生産量は前年同期比16%増の330万トンで、BOCIが予想する年間生産量650万トンを達成するペースにある。一方、アルミニウム生産量は、広西荘族自治区、貴州省、青海省における電力不足が原因で、4.3%減の35万8000トンとなった。

  • 業界筋によると、アルミナのスポット市場で、トン当たり370-390米ドル(運賃保険料込み価格)と、高値を更新するオファーが出たということだ。先週、中国の輸入アルミナのスポット価格はトン当たり350-360米ドルだった。1カ月前は310-315米ドル、4月に540米ドルの高値をつけた後の7月は300米ドルだった。今月初旬は3,550-3,650元、現在は3,700-3,800元で取引されている。これは同社の注文価格(3,750元)と同水準。BOCIは今年下半期のアルミナ需要をやや楽観視しており、年内の一段の値下がりはないとみている。来年については、下半期にアルミナの世界供給量が緩やかに増加するという観測がある。

  • 信用収縮と鉄道輸送の不備が中国国内のアルミナ需要に対応する上での障害となっている。7月中旬に110万トンだった中国の港の輸入アルミ在庫量は100万トンに減少したと推測される。在庫は売却済みで製錬所への搬送待ちの状態にある。

  • 同社は2005年までにアルミナ生産能力を850万トン、アルミニウム生産能力を133万トンに拡大する計画を進めている。一方、ブラジルでのアルミナ精錬事業について、CVRDと合弁契約を結んだ。生産開始時期は2007年で、当初は年産180万トンを目指す。

  • 8月の値下げの影響はすでに株価には織り込まれているが、最近のアルミナ価格の上昇についてはこれからだとBOCIは考える。今後は、長らく噂されてきたアルミニウムのVAT輸出税の廃止が実施された場合、市場のセンチメントが悪化する可能性がある。アルミ業界における最近の統廃合が同社株価の上値を圧迫するが、市場における優位性を背景に長期的な見通しは明るいとBOCIはみている。株価は現在、2004年予想PERで7.7倍と、海外の同業銘柄との比較では割安水準にあるとみている。



   
   
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