中遠太平洋(コスコ・パシフィック)、香港1199 9月8日 11.85HKドル
中間決算レビュー:見通し良好
- 2004年6月中間決算の純利益は前年同期比26.3%増の9300万米ドルと、BOCIおよび市場の予想水準となった。売上高はBOCIの予想を若干下回る3.2%増の1億3000万米ドル。1株あたり0.174HKドルの中間配当を実施する方針で、配当性向は前年同期と同水準の52%。
- コンテナリースの売上高はBOCIの予想を3.5%下回る3.7%増の1億2100万米ドルにとどまった。全コンテナの81%が長期のリース契約下にあるため、旺盛な需要を背景にしたリース料金上昇の恩恵を十分に受けることができなかった。しかし、下半期には多くの契約が更新時期を迎え、実勢価格をリース料金に反映させることができる。
- 2004年6月末時点のコンテナ保有量は14.5%増の86万4600TEU(標準コンテナ換算)。2004年通期のコンテナ購入計画の62%に相当する9万TEUを中間期に実施した。コンテナ稼働率は2003年末の95.2%から96%に上昇。販売コストが2.6%にとどまったことで、コンテナリース部門の純利益は14.1%増の4850万米ドルに達した。
- コンテナターミナル運営部門の純利益は53%増の4150万米ドルと、純利益全体の45%を占めた。個別では処理量が14.4%拡大したCOSCO-HIT(CT8E)が、同部門の純益の36%を占めた。経営陣は下半期について楽観的な見通しを示し、年末までにコンテナターミナル部門の利益がコンテナリース部門を上回るとみている。
- 新規コンテナボックスの価格は現在、年初の1450米ドル/TEUから1800米ドル/TEUに上昇しており、経営陣は需給バランスを理由に、向こう12-18カ月の価格低下は考えにくいとの見方を示した。5年の長期契約に基づくコンテナリース料金は現在、1日0.79米ドル。一方、スポット市場でのリース料金は1.2米ドルに上昇している。BOCIはコンテナ需要の増加を理由に、稼働率の上昇を予想。経営陣も2004年通期の平均稼働率が97.9%に上昇するとしている(現在は96.4%、中間期は96%)。
- BOCIはCT8Eについて、2004年の税引き前利益が前年比2.8%増加し、利益貢献を高めると予想。一方、COSCOロジスティクスについては、中間期の税引き前利益が910万米ドルと、予想を若干上回ったため、通期の利益見通しを2億5000万元に引き上げ、税引き前ベースで1570万米ドルの利益貢献を予想している。
- 中遠太平洋は中間期にCIMCの国有株16.23%を10億5600万元で取得した。買収は早ければ10月にも完了の見込みだが、BOCIは2004年の利益見通しにCIMCの利益貢献を含めていない。ただ、2005年は純利益3400万米ドルの貢献を想定し、同年の中遠太平洋の予想利益を2億6400万米ドルへ15%引き上げている。
- BOCIは通期の予想資本支出額を7億4000万米ドルに修正した。コンテナボックスの購入費用を引き上げる一方、ターミナル投資額は一部の買収案件の遅れを理由に2億米ドルに引き下げた。
- キャッシュフローは1億700万米ドルと十分。ギアリングは30.1%に上昇し、インタレスト・カバレッジは12.3倍の水準にある。BOCIはROEの向上を目的とするギアリングの引き上げを予測する。
- コンテナリースの売上高が予想を下回ったことを受けて、BOCIは2004年の予想売上高を3.5%引き下げた。ただ、CT8E、LCH Bank(1111.HK)、COSCOロジスティックスの高い利益貢献を理由に、利益見通しについては据え置いている。また、CIMC買収を受けて、2005年と2006年の予想利益をそれぞれ2億9100万米ドル、2億9700万米ドルへ15%、14%引き上げた。
- BOCIはコンテナリース市場の上昇傾向が2006年まで続くとみている。また、中遠太平洋の港湾が分散されていることから、地域的な過剰設備リスクも低いとしている。また、国際展開に向けたP&OやMaerskとの関係緊密化を前向きに評価している。
