中海油田服務、香港2883 1月12日 2.30HKドル
取材レポート:業績見通しを修正
- BOCIではこのほど同社の経営陣を訪問し、2004年の業績2005年の見通しについてインタビューした。ポイントは以下の通り。
- 2004年の掘削装置の稼働率は100%となったもよう。
- 2004年のジャッキアップ型リグの1日あたりのレートは前年比4%上昇し、BOCI予想を2ポイント上回ったとみられる。
一方、半潜水型リグの1日あたりのレートは前年比3%の低下にとどまり、BOCI予想を5ポイント上回ったもよう。
- 掘削サービス部門の売上高は20%増の見込み。
- 原材料コストが予想を上回ったため、2004年の営業利益率は17.9%前後となり、BOCIの従来予想を0.5ポイント下回る見通し。
- 増値税(付加価値税)の追加還付金は2000万元となり、この結果、総還付額は1億5000万に達する見込み。
- 保有船舶の増強計画は従来通り。
- 同社の年間売上高(推定約10億元)の最大40%をCNOOC Finannce Corporationに預け入れるという議案は、少数株主の承認を得られなかった見通しのため、提起しないとみられる。
- 収益見通しが良好なことや、豊富な手元資金、および営業キャッシュフローの増加により、BOCIでは配当性向を従来の20−30%の上限の30%と予想している。
- BOCIは上記の取材結果を踏まえ、2004年の売上高および純利益予想をそれぞれ5%、4%引き上げ、36億6800万元、6億6100万元とした。
一方、2005年、2006年の営業利益率を18%に下方修正し、これに伴って2005年、2006年の純利益予想をそれぞれ2%、3%の幅で若干引き下げた。
- 事業が独自の内容であるほか、中国市場に比較できる企業がないため、他社との比較は難しい。
株価は2004年予想ベースでPER14.7倍とH株のエネルギー銘柄の平均8倍を上回っている。
2005年のEPS成長率は前年比9%の小幅増加にとどまる見通し。EV/EBITDA倍率は2004年予想ベースで6.5倍。
海外の油田サービス事業者との比較では、EV/EBITDA倍率ベースで中間の水準にあり、EPS成長率は平均を上回っている。
利豊(リ・アンド・フン)、香港0494 1月13日 12.15HKドル
カバレッジ開始
- 繊維製品の調達は全事業の約3分の2を占めており、同部門の売上高の3分の1が繊維製品のクオータ制の対象となっている。
BOCIでは2005年の輸入数量規制(クオータ制度)廃止により、中国の繊維業界は長期的な恩恵に浴するとみている。
- ただ、利豊では、米国が中国の繊維・衣料品輸出に対し、年内に何らかの輸入規制を打ち出す可能性を考慮し、海外のバイヤーは中国製品の大量調達を先送りするとみている。
- 2004年1−11月の繊維製品の平均販売価格は3−4%下落した(2004年上半期は3%下落)。
同社はクオータ制撤廃により、繊維価格は今年さらに4−5%下落するとみている。
- 売上高は原価加算基準となっているため、繊維価格の値下がりは同社の繊維製品の調達にマイナス影響を及ぼす(手数料率は5−10%)。
- 香港、中国、トルコなど通貨が米ドルと連動している地域が人件費の約70%を占めているため、2004年下期の米ドル安により、管理費は約1000万HKドル増加する見通し。
- BOCIでは、2004年は会社目標の経常利益倍増(2001年比)達成は難しいとみている。
ただ、経営陣は、売上高、純利益ともに2ケタ増の達成に自信を見せている。
- 主力の調達事業の見通しは厳しい。海外の小売店がアジアに自前の調達拠点を構えるとみられるためで、長期的には海外小売店向けの調達という同社の役割は薄れよう。
- 繊維製品のクオータ制撤廃により、長期的には、調達プロセス全体が単純化する見通し。
サプライヤーの大半が、調達先を多様化してきたこれまでの路線を変更し、中国やインドなど、ごく一部のコスト効率の高い国に調達先を絞るとみられるため。
- 経営陣は2005年−2007年の3カ年間計画の具体策をまだまとめていない。
BOCIでは、【1】利益率の高いライセンス業務の拡大、【2】川下ブランドの買収先の模索、【3】売上高の3分の1を占める耐久消費財の拡大、などが中心になるとみている。
- 2004年中間決算の発表に伴い、米格付け機関ムーディーズから「A3」、同S&Pから「A」の信用格付けを付与された。
一方、米ニットウェア・メーカーのラルセイ・グループの買収後も19億前後HKドルのネットキャッシュを保有。
BOCIでは、買収に際し、同社がこれらの豊富な手元資金や信用格付の活用を検討していくと予想している。
- BOCIでは、買収による利益押し上げ効果がないかぎり、同社の利益成長は下降期に入ると予想。
その理由として、【1】過去にすでに高い利益成長を達成している、【2】利上げ観測を背景に米国の消費が鈍化している、【3】2005年は繊維価格の一段の下落により、主力の調達事業の手数料収入の減少が見込まれる、などを挙げている。
- 経営陣は2004年に3カ年計画を達成できなかった場合は、手元現金の一部を配当に充てると約束しているため、目先は特別配当の可能性がプラス材料となろう。
長期的な成功は利益率の高いライセンス事業の拡大と、M&A効果で主力の調達事業の鈍化を補えるかどうかがカギとなるだろう。
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