中国銘柄レポート

 

中遠太平洋(コスコ・パシフィック)  香港1199 3月23日 15.25HKドル

海外の港湾資産取得を評価

  • 中国国際海運集装箱(集団)(CIMC)と廖創興銀行の決算を踏まえ、BOCIは中遠太平洋の05−06年純利益予想をそれぞれ1.4%、1.0%引き下げて3億4210万米ドル、3億米ドルとした。同社の株価は現在、06年予想PER14.4倍、06年予想PBR2.4倍の水準にあたる15.25HKドル近辺で取引されている。05年の予想ROAEは17.4%。現在の株価は、BOCIが修正したSOP(サム・オブ・ザ・パーツ)評価法に基づく株価を7%下回る水準にすぎないが、BOCIは株価の先行きについて強気の見方を維持。その理由として、(1)同社が先日取得した港湾プロジェクトの貢献をBOCIが利益モデルに組み込まなかったこと、(2)同社は海外を中心に港湾事業の取得に積極的な姿勢をみせており、BOCIがその姿勢を評価していること、(3)競合の国際港湾事業者による最近のM&A(合併・買収)活動により、国際港湾資産のバリュエーションが引き続き堅調に推移し、同資産のバリュエーションがさらに高くなる可能性が高いこと――を挙げた。利益モデルで使用した上場企業数社のPERを更新後、BOCIは同社のSOP評価株価を16.32HKドルに修正した。
  • BOCIは、同社の05年12月本決算について、売上高が前年比14.1%増の3億1400万米ドル(蛇口ターミナル第1期の売却による特別利益6188万米ドルを含む)になるとして、純利益を前年比65.8%増の3億4210万米ドルと見込んでいる。同社の05年のコンテナ賃貸収入は前年比14.5%の2億9440万米ドルと予想。同年は16万5600 TEU(20フィート標準コンテナ換算)を取得し、総コンテナ取扱量は前年比13.7%増の105万TEUに達したものと思われる。同部門の利益貢献(税引き前ベース)は1億3830万米ドルに上る見込み。BOCIは、コンテナ製造部門の05年利益(税引き前ベース)を7570万米ドルと予想している。同社の16.23%子会社CIMCが発表した05年本決算は、純利益が前年比11.7%増の26億7000万元。CIMCの年間コンテナ売上高は前年比13.3%減の136万TEUであったが、平均販売価格は前年比で26.8%上昇している。同社は、特殊船舶の販売で42億5000万元を売り上げており、利益貢献は税引き前ベースで6130万米ドルと推定される。05年は中国本土の貿易活動が活発だったため、同社のコンテナ・ターミナル部門は取扱量が前年比16.2%増の2610万TEUに達し、利益貢献(税引き前ベース)は前年比13.7%増の1億1040万米ドルとなった。これは05年予想利益構成の27.9%を占める。物流部門と廖創興銀行の利益貢献(税引き前ベース)は、それぞれ前年比20.3%増、4.7%増の2250万米ドル、1200万米ドルだった。


利豊(リ・アンド・フン)  香港0494 3月23日 15.10HKドル

05年12月本決算は20%増益、07年には売上高100億米ドル達成も

  • BOCIは、利豊が3年計画の最終年となる07年に、M&A(合併・買収)を通じて、売上高100億米ドルを達成すると予測している。また、同社の利益成長は売上成長を上回るとみているが、その理由は(1)今後はアウトシーシング部門の収益性が通常の水準に戻る見込み、(2)業務上の大幅なレバレッジ、(3)利益率の高いブランド・ライセンス業務が06年以降に収益に寄与する見通し――である。同社の株価は現在、06/07年平均PERで20倍から29倍という過去18カ月間のトレーディング・レンジの下限(20.3倍)近くで取引されており、BOCIは株価の先行きに対して中立から強気の見方に引き上げた。
  • 同社が22日に発表した05年12月本決算は、売上高が前年比18%増の556億HKドルとなったことから、純利益は20%増の17億9000万HKドルに上った。ただ、昨年の純利益は市場予想の18億5000万HKドルを3%ほど下回っている。売上高の成長は、中核の調達業務の内部成長と、昨年から利益貢献を果たしているブランド・ライセンス業務、アウトソーシングおよびM&A活動による。昨年通年の1株当り配当は前年比19%増の0.5HKドル。創立100周年を記念して、同社は10株当り1株の無償割当を提案。06年5月の年次株主総会で承認される見通しである。
  • 内部成長とアウトソーシングおよびM&A活動が初めて収益に寄与した結果、中核となる調達部門の05年売上高は前年比で14%増加した。中国と主要貿易相手国との間の繊維貿易交渉により、多国籍小売業者に対する調達代理店としての利豊の立場は事実上強まった。また、同社は(1)世界の顧客の嗜好がハイエンド商品に向かったことと、(2)中国での調達によるコスト・インフレ環境の恩恵を受け、非耐久財の平均販売価格が前年比で3.5%上昇した。
  • ブランド・ライセンス事業の立ち上げ費用と会社のインフラ強化に向けた投資にもかかわらず、同社は05年に営業利益率を3.35%に改善することができた。BOCIは、ライセンス業務が9400万HKドルの利益を生み出すことなどから、06年には同社の営業利益率が3.56%に上昇するとみている。
  • 世界的に金利は上昇基調、原油価格は高止まりしており、今後、米小売事業者の業績は鈍化するとBOCIは予測しているが、これは調達業務の売上成長を鈍化させる見通し。ただ、ブランド・ライセンス業務のさらなる拡大と買収によって、成長鈍化は相殺されるだろう。BOCIは、中核の調達事業の成長率低下と無償割当による利益希薄化を反映し、同社の純利益予想を06年は14%、07年は11%下方修正した。


   
   
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