中国石油天然気(ペトロチャイナ) 香港0857 4月27日 8.85HKドル
石油製品の価格改革と海外資産買収が追い風、先行きに強気見通し
- BOCIは、このところの株価の調整を受けて、中国石油天然気の株価の先行きについて見方を強気に引き上げた。
- 同社は国内2位の石油精製事業者。05年通年の精製量は、業界最大手シノペックの73%相当に達した。中国政府はこの先、石油製品の価格決定メカニズムをめぐって改革を実施する方針であり、同社はその恩恵を受ける代表的な銘柄でもある。石油製品価格が引き上げられれば、同社の純利益も増加する見通し。また、石油製品の原料となる原油を基本的に自前で調達していることから、同社の業績は原油相場の変動による影響を受けにくく、シノペックに比べて価格改革に絡む要素にも左右されにくい。シノペックの場合、中国政府が原油高騰局面で石油製品価格の引き上げを見送った場合、大幅減益、あるいは赤字転落となる可能性がある。
- 海外の川上資産の買収は、同社の利益押し上げ要因となる。親会社の中国石油天然気集団公司(CNPC)は今年、ペトロカザフスタンの権益67%と中国−カザフスタン石油パイプライン第2期の権益50%を同社に注入する可能性が高く、こうした資産の取得は生産量とEPSの拡大につながる見通し。また、同社は2005−10年に、石油生産量を年率平均5%引き上げる目標を掲げているが、その達成を後押しすることにもなる。
- BOCIは、2007年の利益予想に基づいて株価見通しを設定。価格メカニズム改革の影響をより的確に反映させるためと説明している。
中国石化上海石油化工(シノペック上海石化) 香港0338 4月27日 4.70HKドル
1−3期に1.5億元の赤字計上、親会社による買収の可能性が焦点
- シノペック上海石化は2006年1−3月期に1億5400万元の純損失を計上した(中国会計基準、前年同期は10億7500万元の純利益計上)。原油相場に関する予想値を先ごろ上方修正したBOCIは、今回の業績悪化を受け、2006年12月本決算の損益見通しを8億元の赤字に設定した。しかし、親会社シノペックによる全面買収(非公開化)の可能性にマーケットの注目が集まるなか、ファンダメンタルズはさほど材料視されないと指摘。同社株価に対する強気の見通しを継続している。
- 2006年1−3月期の純損失は前四半期(2005年10−12月期)の2.5倍に拡大したが、昨年12月に受け取った政府助成金6億3300万元を除外した上で比較すると、わずかながらも改善傾向がみられた。粗利益率は前四半期のマイナス0.5%に対してプラス1.9%。BOCIは前四半期に禁止された第三者向け原油加工業務が1−3月期に再開されたことが、粗利益率の改善につながった可能性を指摘している。
- 原油相場の高騰でコストが増大するなか、製品価格の引き上げ幅が限定されたため(品目によっては下落)、1−3月期の粗利益率は前年同期の18%から大きく低下した。同期の原油コストは前年同期比43%増のトンあたり3678元。一方、石油製品の加重平均価格は30%の伸びにとどまり、合成繊維、樹脂・プラスチック、石油中間製品に至ってはそれぞれ前年同期比4%、3%、13%の幅で下落した。同社の主要4品目の粗利益率がそろって悪化したことになる。
- BOCIは先ごろ、2006年、2007年のブレント原油相場(ロンドン国際石油取引所)に関する見通しをバレルあたり67.1米ドル(修正前56.8米ドル)、63.7米ドル(同50.3米ドル)に引き上げた。一方で、中国政府が石油製品の価格決定メカニズムを見直し、今年第3四半期から第2四半期にかけ、ガソリン、ジェット燃料価格をトンあたり300元、軽油価格を同200元の幅で段階的に引き上げると予測。こうした想定を踏まえ、BOCIは同社の2006年12月通期決算の純損失を国際会計基準で7億8800万元(中国会計基準では8億4100万元)と予想した。しかしその後、2007年度には業績が改善し、国際会計基準、中国会計基準ともに35億元の利益を計上するとみている。
- ただ、BOCIはあくまで、ファンダメンタルズより親会社シノペックによる買収の可能性が焦点になるとの考え。シノペックはすでに、シノペック北京燕化、シノペック鎮海の香港上場子会社2社をPBR(株価純資産倍率)2.3倍の価格で買収、非公開化したが、仮にシノペック上海石化の全面買収に踏み切るとすれば、上記2社と同じPBRを適用するとは考えにくく、BOCIは「少なくとも現在株価に10%程度のプレミアムを上乗せする」とみている。また、BOCIはこうした可能性を考慮した上で、株価の先行きに対する強気の見方を維持している。
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