中国銘柄レポート

 

中国神華能源(チャイナ・シェンフア・エナジー)
香港1088 7月17日 31.50HKドル

石炭委託販売が好調、2007−09年の利益見通し上方修正

  • 2007年上半期に石炭委託販売が好調に推移したことを受け、BOCIは中国神華能源の2007−09年の利益見通しを2−3%上方修正した。また、今後行われるA株のIPO(新規株式公開)や資産買収の可能性が株価押し上げ要因になると指摘し、同社株価の先行きに強気の見方を維持している。
  • 同社の商業用石炭生産量は上半期に前年同期比14%増の7660万トンに達し、通年予想(1億5230万トン)の50%を消化した。また、石炭販売量は同21%増の9780万トンと、より早い増加ペースを示した。生産量を上回る販売量の伸びは、主に委託販売の急増によるもの。自社鉄道沿線で第三者が生産した石炭の販売に際し、余剰輸送能力をより効率的に活用したことが奏功した。
  • 一方、上半期の発電量および電力供給量は360億キロワット時(kWh)、337億kWhと、いずれも前年同期比56%の伸びを示した。昨年稼動を開始した新たな発電機8基(総発電容量4800メガワット)の通期寄与が理由。今年下半期にも複数の発電機が操業を開始する予定であり、BOCIは通期の発電量を757億kWhと予想している。
  • BOCIは今回、委託販売の伸びを考慮した上で、2007年12月期の石炭販売量に関する想定値を1億8700万トンから1億9400万トンに引き上げ、同社の利益見通しを上方修正した。
  • なお、BOCIは同社の目標株価をやや下方修正したが、これは目標株価の設定モデルを、中国中煤能源(1898)との比較方式から、NAV(純資産価値)にプレミアムを上乗せする方式に変更したため。BOCIによると、中国神華能源の1株当たり予想NAVは2008年末に19.71HKドル。これに中国本土の石炭大手4社に対するプレミアムや、親会社が手がける石炭液化プロジェクトの効果、さらにベトナム、オーストラリア、インドネシア、モンゴルで第三者企業から資産を買収する可能性などを上乗せした上で、目標株価を調整している。


理文造紙(リーマンペーパー)
香港2314 7月17日 27.10HKドル

2007年3月本決算で68%増益、本土需要拡大で先行き見通しを楽観

  • リーマンペーパーの2007年3月本決算は、純利益が前年比68%増の10億1000万HKドルに達した。金融資産評価益など一回性の利益を除外したコア利益は9億7900万HKドルと、BOCIの予想を上回った。予想以上の好業績は、主に第7製紙工場(年産能力45万トン)の通期寄与によるもの。また、世界規模での再生紙調達を通じた生産コストの削減や内部コストの管理強化も、同期利益を押し上げる要因となった。ただ、同社は将来の資金需要に備え、2007年3月期の配当性向を39%から36%に引き下げている。BOCIは中国本土における段ボール需要を楽観。スケールメリットの面でより優れた同業銘柄ナインドラゴンズ・ペーパー・ホールディングス(2689)を選好しつつも、リーマンペーパーの株価の先行きに強気の見方を継続している。
  • ナインドラゴンズと同様、リーマンペーパーも生産能力の拡大を急いでおり、段ボール生産能力を2008年度3月期末までに311万トン、2009年度末までに419万トンに引き上げる計画。この両社はいずれも、同業他社の先手を取ってスケールを拡大する方針であり、資金需要は大きい。BOCIによると、向こう2年間、両社が中国国内の段ボール供給量の新規増加分に占める割合は60−70%に達する見通し。一方、年産30万トン以下の中小メーカーは環境基準への適応や競争力の面で問題を抱え、淘汰される可能性が高いという。
  • また、中国国内の1人当たり段ボール消費は依然低水準にあり、向こう2年間の段ボール需要は年率10%以上の伸びを示す余地がある。BOCIは国内供給量の新規増加分が需要の伸びに対応しきれず、供給不足が続くと予想し、両社の新規施設もほぼフル稼働が期待できるとしている。
  • リーマンペーパーは世界規模での再生紙の調達によってコスト削減を図っており、同社にとって第1号となる段ボール原紙工場(年産32万トン)が来年4月、重慶市で操業を開始する予定。このほか、内部利用を目的としたバンブーパルプ生産工場(年産15万トン)を重慶市で操業するなど、後方業務の統合を加速させている。
  • 同社のベトナム進出について、BOCIは「中国本土ではナインドラゴンズに及ばないなか、ベトナムで先発メーカーとしての優位を築くことが目的」と見ている。また、戦略的に見れば、ベトナムは地域的リスクの軽減につながる要因となる。ベトナムの第1号施設(年産43万トン)は来年末までに操業を開始する予定。これに木材パルプ工場(15万トン)を加え、同社の総投資額は16億HKドルに上る。BOCIは重慶市およびベトナムの新規生産ラインを考慮した上で、2009年3月期の同社利益見通しを上方修正。低負債比率や同社株の流動性の高さを前向きに評価している。ただ、2007年3月期には1カ所にとどまった新規工場の稼動案件が3カ所に増える見通しから、2008年3月期は前年度に比べて厳しい年になると予想している。


   
   
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