中国銘柄レポート

 

中国人民財産保険股フン有限公司(ビーアイシーシ)
香港2328 8月2日 10.74HKドル

新華人寿保険買収のうわさで株価好調、買収実現はプラス要因に

  • 香港株式市場が調整するなか、中国人民財産保険の株価は過去2日間、大幅な逆行高を演じた。BOCIによると、新華人寿保険(New China Life、以下NCL)を買収するとのうわさが同社株価を押し上げたもよう。同社はこの件についてコメントを控えており、現時点では株式取得比率や取得価格、さらに同社と親会社(中国人民保険控股公司)のどちらが買収元となるのかなどの詳細は不明。ただBOCIは、この買収が実現すれば、同社にとって確実にプラスになると指摘している。
  • BOCIは中国人民財産保険が、“金融持ち株会社”を通じてNCLを買収する可能性が高いと見ている。仮にそうなれば、まず買収母体となるのは親会社。しかし、同社と親会社の双方が、同時にNCLの株式を取得する可能性にも言及している。BOCIは今のところ、詳細情報待ちとのスタンスだが、仮に適正価格で買収することが明らかになった場合、同社に対する評価をアップグレードする可能性が高いとしている。
  • NCLは1996年8月創業。生保を主力とすることから、中国人民財産保険とのシナジー効果が期待できる。NCLの生保部門の保険料収入は国内業界4位。今年上半期の生保収入は前年同期比1.62%増の147億元に達した。また、NCLは2005年末時点で、総資産規模でも国内5位。2007年6月末時点の総資産は1140億元となっている。
  • NCLの主要株主は過去に15社を数え、うち3社が海外投資家。株主基盤が分散化していたことで、首尾一貫した事業戦略を維持することが難しく、これまではコーポレートガバナンスの不備や、経営陣と株主の意見対立などが問題となっていた。こうした状況下で、NCLは過去数年間、市場シェアの低下や巨額の投資損失の計上に悩まされている。2007年5月には、Insurance Safeguard Fund(ISF)が資本再編に向け、NCL株22.5%を1株当たり5.99元で取得。その後、持ち株比率を30.55%に引き上げた。ただ、ISFは元々、破たんした保険会社の契約者への補償を目的に設置された機関であり、保険会社への投資や保険事業の運営は技術的に困難。こうした事情から、BOCIはISFが短期的にNCL株を手放す意向と見ている。中国人民財産保険による買収が実現すれば、国内に4つの大手保険グループが誕生することになる。
  • BOCIはNCLの2006年の純利益を2億1600万元と推定し、2007年については3億元の純利益計上を予想している。保険セクター全般に見られる投資収益の拡大が、利益成長を予想する理由(2005年の純利益は2200万元)。NCLが過去に計上した投資損失などの詳細が分からず、財務状況の推定は難しいが、BOCIは2005年に発表された資料を基におおまかな推計を実施し、ISFによる取得価格(1株当たり5.99元)を極めて割安と考えられると指摘。中国人民財産保険がほぼ同じ価格水準でNCL株を取得した場合、同社に及ぼすプラス効果は大きいと見ている。


深セン控股(シェンチェン・インベストメント)
香港0604 8月2日 6.59HKドル

「純不動産銘柄」に転身、広東省の不動産価格上昇などが追い風

  • 深セン市政府が株式49%を保有する深セン控股は、1997年にレッドチップ銘柄として香港メインボードに上場した。広東省における不動産開発事業では12年間の業務歴を持つ。同社は建設可能面積(総床面積)換算で770万平米の開発用地を保有するが、すでに建設工事を進めているのは、うちわずか99万8000平米。また、これとは別に、24%の権益を持つ系列会社2社、ロードキング(1098)、コースタル・グリーンランド(1124)を通じて230万平米(保有権益換算)の開発用地を保有。すべて合計すると、同社の保有用地は1000万平米に達する計算となる。
  • 同社は元々、市政府の窓口企業として機能するコングロマリットだったが、事業再編を実施し、現在では不動産、インフラを2本柱としている。不動産以外の非中核資産はほぼ売却済みであり、BOCIによると、すでに「純粋な本土不動産銘柄」としての評価が妥当。この点を考慮した場合、1株当たりNAV(純資産価値)を下回る現在株価には、この先の上値余地が期待できよう。
  • 同社の保有開発用地は昨年末時点で300万平米だったが、Joe Zhang最高執行責任者(COO)の迅速な意思決定によって、年初から急増。市政府系窓口企業から純不動産銘柄への転身を後押しした。保有用地770平米のうち、85%は広東省内に位置する。主に資金難に陥った中小デベロッパーから、低価格で用地を取得。深セン市政府との緊密な関係が奏功し、同社の用地取得価格は1平米当たり平均1100元の低水準にとどまっている。
  • 広東省の不動産需要は極めて旺盛だが、政府当局の規制によって土地供給が限られているのが現状。こうしたなか、省内の不動産価格はここ2−3年、中国国内でも最も急速な伸びを示している。BOCIは同省の不動産相場の先行きに強気の見通しを示し、今後、同社の売り上げ成長を支えると予想。同社の増収率が向こう3年間、年率50%を超えると見ている。一方、同社の投資不動産の保有面積は67万3000平米に上り、本土系不動産セクターの中で最大級。そのすべてが深セン市内に位置する。
  • 同社経営陣は2007−2008年に、40−45%の粗利益率を維持する方針。また、開発ペース加速とROE(株主資本利益率)の引き上げにより、2008年のコア利益を2006年比で倍増させる目標を掲げている。経営陣が示したコアROEの目標値は2007年に15%、2008年に20%。さらに、事業戦略の絞り込みや透明性の向上、資産回転率の改善により、株価と1株当たりNAVとの価格を縮小させるとの目標も明らかにしている。
  • 同社株価は現在、1株当たりNAVを15−20%下回る水準で推移しており、2007年予想PERは20倍。BOCIは同業銘柄との比較などを理由に、同社株価の先行きに強気の見方を示している。


   
   
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