中国銘柄レポート

 

招商銀行股フン有限公司(ショウショウギンコウ)
香港3968 8月10日 29.05HKドル

2007年上期の純利益は120.38%増、株価見通しは下方修正

  • 招商銀行が発表した2007年上期の純利益は前年同期比120.38%増と、市場予想を上回るものだった。引当金が予想以下にとどまったことと、高い手数料収入が貢献。しかしBOCIは、昨年下期に比べ金利やベースレートが上昇していることや、営業コストの増加を考慮し、今後は利益成長が鈍化すると判断。同行の株価の先行きを強気から中立の見方に引き下げている。当期の好業績を踏まえて2007−08年予想利益をそれぞれ5%、3%引き上げたものの、現在の加熱気味の証券市況を加味しなければ、同行のバリュエーションは割高にあるとみて、株価の先行きについては見直しを実施した。
  • 上期の純金利収入は前年同期比45.9%増、貸出残高は同18.46%だった。住宅ローンおよびクレジットカード・ローンの急成長を背景にリテール貸出は同59%増に達した。手形割引の割合が減少し、ベースレートが高めだったことから、利ざやは前年同期の2.56%から2.96%に拡大。今後も同水準を維持するとみられる。
  • 今年6月末時点の預金残高は2006年末に比べ9.3%増加。一方、同期間の貸出残高伸び率は11.3%だった。証券市場への流入により個人預金の伸びはわずか1.7%増にとどまったが、金融機関による預金高は増加。当座預金は預金全体の54%を占めた。当座預金の増加で金利コストが抑えられたため、預金構成の変化は同行の業績に好影響をもたらした。しかし、中国人民銀行が先ごろ当座預金金利を引き上げたことから、さらなる当座預金比率の上昇は下期の預金コスト上昇につながると懸念。また、人民銀行が預金準備率(RRR)をさらに引き上げた場合には、銀行間レートの引き上げにつながる。
  • 手数料収入は、カード事業と株取引手数料の伸びにより前年同期比88%増に達した。今後も現在の水準が維持できるかは証券市場の景気によるが、BOCIは同行が引き続き高い手数料収入を得ることを見込んでいる。
  • 不良債権比率は2006年末の2.12%から2007年6月末には1.6%に低下。クレジットカード部門の拡大により、リテール貸出が不良債権に占める割合は22%増加した。好景気を背景に法人向け貸出の不良債権比率は引き続き低い水準を維持するとみられるが、クレジットカード部門の同比率は事業拡大とともに増加が見込まれる。全体として資産内容は良好で、信用コストは低下傾向にある。


中国石化上海石油化工(シノペック上海石化)
香港0338 8月10日 4.20HKドル

予想利益と株価の先行きを下方修正、原油の高止まりと所得税率引き上げを考慮

  • BOCIはシノペック上海石化の2007−08年予想利益を62−68%下方修正した。原油および精製品の予想価格引き下げ、政府による所得税率の変更を踏まえたもの。同社の株価は現在、新たな予想値に対して非常に高い水準で取引されていると考えられるため、BOCIは株価の先行きを強気から慎重の見方に引き下げている。
  • 8月7日のレポートで述べたように、BOCIはICEブレント原油の2007年予想価格を1バレル当たり62.0米ドルから69.5米ドルに引き上げた。2008−09年についても同56.7米ドルから70.0米ドル、同50.0米ドルから60.0米ドルにそれぞれ引き上げている。さらにガソリン、ディーゼル、ジェット燃料価格についても、2007年第4四半期は1トン当たり200元、2008年第2四半期には同400元の値下げを考慮していたが、これを改め、2009年末まで燃料価格は据え置かれるとの見方に変更した。
  • シノペック上海石化は10日、政府が同社に対して1993年以来適用してきた優遇税率を打ち切る決定を下したため、2007年の所得税率が15%から33%に引き上げられると発表した。これを受け、BOCIは同社の2008−09年予想所得税率をこれまでの17%、19%から25%に変更。税制度の統一により、2008年からは他の多くの中国企業と同様に25%が適用されるとみている。
  • BOCIは、原油価格の上昇、比較的安定した物価、および高税率を踏まえ、同社の2007−08年予想利益を62−68%引き下げたが、2009年については、原油価格の下落と精製品の価格安定により精製部門の利益率が飛躍的に向上するとみて予想値を162−170%引き上げている。


   
   
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