中国銘柄レポート

 

中国電力国際発展有限公司(チュウゴクデンリョクコクサイ)
香港2380 9月6日 3.83HKドル

2007年6月中間決算は2ケタ減益、08年以降の業績改善を予想

  • 中国電力国際の2007年6月中間決算は、純利益が前年同期比76%減の7000万HKドルにとどまった。EPSは0.02元。系列会社、上海電力(上海A600021)の転換社債に絡む損失など、総額1億6300万HKドルに上る一回性の損失を除外した場合、同期純利益は同24%減の2億3300万HKドルとなる。
  • 2ケタ減益の主因は、燃料費の高騰と設備稼働率の低下。電力値上げ(平均6%)によるプラス効果を、この2つのマイナス要因が吸収した。発電能力が拡大する一方、設備稼働率の低下が響き、同期の発電量は前年同期比わずか4%の伸び。売上高は電力値上げを受けて同10%の伸びを示したが、単位当たり燃料費は13.2%の幅で増大した。
  • ただ、BOCIは2008−09年に大幅な業績改善を予想。その理由として、以下の3点を指摘している。【1】主要発電所プロジェクトが2007−08年に相次いで稼動を開始する、【2】2008年には設備稼働率が改善し、大幅な利益の伸びにつながる、【3】現行の電力価格が低水準にあるため、政府当局がいったん電力値上げに動けば、同社には特に大きな恩恵が及ぶ――。中国政府は現在、電力価格の決定において「石炭価格との連動メカニズム」を採用しており、BOCIは来年初めにも、電力値上げが実施されると見ている。
  • 同社が安徽省に新設した平ウ(土へんに于)発電所2号の電力価格は1メガワット時当たり270元と、全国平均の371元を大きく下回り、市場ではこの点を懸念する見方が強い。ただ、BOCIによると、この要因による2007年通期純利益への影響は3−4%程度。また、他省市への輸出向けに設計された同発電所が予想より前倒しに稼動し、他省市向け輸出規定がまだ整備されていなかったことが、同発電所の電力価格を抑えた一因になったと指摘。この問題は2008年に解消されると予想し、市場の懸念を過剰反応と見ている。
  • 系列会社の上海電力が2006年12月に発行した転換社債の転換に伴い、中国電力国際による上海電力の持ち分が24.71%から21.92%に縮小。これが中国電力国際の損失につながったが、BOCIはこの件が上海電力の業績悪化に起因するものではないと指摘している。
  • 一方、同社経営陣によると、親会社からの清河発電所の買収は、手続き完了までに時間がかかる見通し。同社が買収に先立って旧施設の原価償却を求めていることが理由。BOCIは2008年上半期に、同発電所の買収が実現すると見ている。
  • BOCIは未実現利益や上海電力の転換社債に絡む損失、さらにこの先予想される上海電力からの利益貢献の縮小を見込み、同社の2007年、2008年通期の利益見通しを36%、16%下方修正した。新たに設定した予想純利益はそれぞれ5億200万HKドル、9億5200万HKドル。ただ、2007年はこの先の業績改善に向けた転換期に当たるとの見方から、BOCIは同社株価の先行きに強気の見方を示している。


華潤創業(チャイナ・リソーシス)
香港0291 9月6日 31.70HKドル

2007年6月中間期、事業売却益計上で195%増益

  • BOCIは華潤創業の2007年通期の予想純利益を2%引き上げたが(石油流通部門売却に伴う特別利益を除外した場合は5%の上方修正)、その理由として以下の3点を挙げている。【1】小売事業の収益見通しを引き上げたこと、【2】投資不動産の評価額を引き上げたこと、【3】2007年第2四半期に手放した石油流通部門の利益貢献が従来予想を上回ったこと――。BOCIはまた、2008−09年の予想純利益をそれぞれ1%上方修正した。
  • 同社の2007年6月中間決算は、純利益が前年同期比195%増の37億4000万HKドルに上った。希薄化後EPSは1.56HKドル。石油流通部門の売却益(23億9000万HKドル)と、不動産再評価益および売却益(2億8700万HKドル)を除外した場合、同期の増益率は17%。主に小売部門の好調が2ケタ増益を支えた。
  • 小売事業の部門利益は前年同期比85%増の2億7300万HKドル。うちスーパーマーケット部門は本土事業の急成長が貢献し、売上高が26%増の111億8000万HKドル、利益が69%増の2億100万HKドルに達した。本土のスーパー部門は31%増収、123%増益。既存店売上高も9%の伸びを確保した。また、ブランドファッション流通部門も、エスプリブランドの成長などがけん引役となり、中間期に好業績を示した。
  • 一方、飲料部門の中間期の売上高は45%増の62億8000万HKドル、部門利益は55%増の1億1800万HKドル。同期のビール販売量は37%増の334万キロリットルに達し、平均販売価格も6%の伸びを示した。旗艦ブランド「雪花」の販売量は82%増の238万キロリットルと、ビール販売量全体の71%を占めた。
  • 食品加工・流通部門の売上高は19%増の34億4000万HKドル。うち畜産品部門は、供給ひっ迫や価格の大幅変動にもかかわらず、冷凍食品などの販売増を背景に8%の営業増益を確保した。また、海産物事業の好調もあり、食品加工部門の同期利益は前年同期比でほぼ倍増を記録している。ただ、食肉処理部門の低迷が響き、加工・流通部門全体の利益は5%増の2億2400万HKドル。
  • 繊維部門は9%増収、68%増益となり、同期に大幅な業績改善を示した。主にアパレル製品の輸出拡大や、技術改良に伴う紡績・紡織部門の製品構成の改善などが背景。
  • 石油・化学部門の利益は16%減(事業売却益を除く)。2006年11月に中国本土の都市ガス、化学流通、その他石油関連事業を手放し、この分の収益貢献が消えたことが2ケタ減益要因となった。同社は残る石油・化学事業を今年6月末までにすべて売却しており、この先、同部門の収益貢献はゼロとなる。
  • BOCIによると、同社の現在株価は2007年、08年の1株当たり予想NAV(純資産価値)を7%、6%上回る水準。同証券は好材料がすべて織り込まれたと指摘し、株価の先行きに中立的な見方を示している。


   
   
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