中国銘柄レポート

 

鞍鋼股フン有限公司(アンガン・スチール)
香港00347 4月15日 19.00HKドル

2007年12月本決算は6%増益、本鋼板材との合併に期待感

  • ・ BOCIは2007年12月本決算と2008年1−3月四半期決算の発表を受け、アンガン・スチールの2008年、09年の予想純利益を現行水準に据え置いた。また、この先の利益成長や買収の可能性に期待感を示し、同社株価の先行きに強気の見方を継続している。
  • 同社の2007年12月本決算の純利益は前年比6%増の75億4300万元(国際会計基準:EPSは1.121元)と、BOCIの予想と市場コンセンサス予想をそれぞれ12%、13%下回った。予想との格差が生じたのは、主に販売費と売上原価が膨らんだため。販売費の対収入比率が2.4%に達したほか(前年1.7%)、売上原価は輸出税の増大を受け、前年比21%増の507億9500万元に上った。同期の鉄鋼製品輸出量は310万トン(販売全体の約20.8%)。トン当たりの売上原価は前年の2956元に対して3351元となり、営業利益率は前年の18.5%から16.9%に低下した。なお、同社は1株当たり0.55元の期末配当を実施する方針。配当性向は49%(前年実績は54%)、配当利回りは3.2%となる。
  • 同期の増益を支えたのは販売量の伸びと販売価格の上昇。販売量は前年比6.4%増の1490万トン。平均販売価格は前年を12%上回るトン当たり4373元に達した。
  • 一方、2008年1−3月の四半期決算をみると、純利益は前年同期比2%増の24億4300万元(中国会計基準)と、ほぼBOCIの予想通りとなった。売上高が17%増の180億元に上る半面、売上原価が24%増の140億元に膨らみ、利幅の低下を招いた。営業利益率は前年同期の27.8%から23.7%に、純利益率は15.1%から13.1%に低下している。
  • BOCIによると、同社の鉄鋼生産量は2007年の1600万トンから、2009年には2100万トンに拡大する見通し。遼寧省営口市の新工場による貢献が理由。同工場の年産能力は500万トンで(うち200万トンは重板、296万トンは熱延鋼板)、今年8月には操業を開始する予定となっている。 ・ 同社はコンテナ板、パイプライン鋼、船舶用鋼板、家電用鋼板を含む特殊鋼生産事業の強化に焦点を当てている。船舶用鋼板とパイプライン鋼の分野では、同社は昨年の供給実績で国内最大手となった。
  • 本鋼板材(深セン000761)との合併については、BOCIは年内の発表を予想し、そのシナジー効果を前向きに評価している。BOCIによると、現在は中国政府と遼寧省当局による認可待ちの状態。いったん認可が下りればあとは時間の問題であり、2段階のプロセス(グループレベル、上場企業レベルの合併)を経て完了する見通しという。本鋼板材の年産能力が1050万トンに上ることから、両社合併後、2010年の総年産能力は3080万トンに達する見込み。また、本鋼板材は鉄鉱石資源を保有するため、合併後には国内の鉄鉱石埋蔵量の50%を握る運びとなり、これは同社にとってプラス。BOCIは合併が完了した場合、2008年の利益に約14%の上乗せ効果が見込めるとしている。


中国電力国際発展有限公司(チュウゴクデンリョクコクサイ)
香港02380 4月15日 2.48HKドル

2007年12月本決算は16%減益、電気料金据え置きで事業環境悪化を予想

  • BOCIは中国電力国際発展の2008年、09年の予想純利益をそれぞれ47%、48%下方修正した。系列会社から外れた上海電力(上海600021)の貢献を除外したことに加え、石炭高騰や電気料金据え置きといった事業環境の悪化を反映させたため。BOCIはこれに伴い目標株価を引き下げたが、同社株価の先行きについては強気の見方を継続している。
  • 2007年12月本決算の純利益は前年比16%減の5億9200万HKドルと、BOCIの予想や市場コンセンサスを上回った。ただ、上海電力株のみなし売却益3億1100万元を計上したことが同期利益を底上げした要因。上海電力の転換社債に起因する希薄化効果から、上海電力に対する同社の持ち株比率は25.0%から21.9%に低下。これにより、上海電力は持ち分法適用の系列会社から外れる形となった。
  • 燃料コストの増大や設備稼働率の低下を受け、同期の営業利益は前年比28%の落ち込みを示した。これまでの電気料金値上げもコスト増をカバーするには至らず、営業損益は失望を誘う数字。同期には発電能力を増強したものの、発電量そのものがわずか11%の伸びにとどまり、これが事業エリアにおける設備稼働率の低下につながった。一方、同期の売上高は値上げ効果により、前年比14%増。単位当たり燃料コストは12%膨らみ、営業利益率は前年の15%から9.5%に低下した。
  • 今後は電気料金の据え置きが同社利益を圧迫する見通しだが、BOCIはこの要因を除いた場合、同社の業績は2008年、09年に上向くとの見方。その理由として、複数の大型発電プロジェクトの操業開始を受けた発電量の拡大を挙げた。設備稼働率についても、2008年に改善に向かうと予想している。ただ同時に、BOCIは電気料金の低水準と利幅の薄さを指摘。電気料金や石炭コストの動向が同社利益を左右するとみている。

   

   
   
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