中国銘柄レポート

 

神州数碼控股有限公司(デジタル・チャイナ)
香港00861 6月27日 5.11HKドル

システムおよびITサービス部門の業績が拡大、利益率アップを見込む

  • デジタル・チャイナの株価は2008年3月本決算発表後の利食い売りで下降気味だが、BOCIは引き続きポジティブな見方を維持している。利益率の拡大を背景に、同社の2009−11年利益が年率33%で成長するとBOCIは予想。特にシステム部門ではサービスおよびテクニカルサポートの拡大で売上増が見込まれる。BOCIは、同社の株価を2009年予想PER8.8倍と予想しているが、今後の利益成長からみると割安な水準と考えられると判断し、株価の先行きを強気の見方に維持している。
  • BOCIは、デジタル・チャイナの利益成長が主にシステムおよびITサービス部門の利益拡大によるものと指摘。調査会社の米IDCは先ごろ、中国における2008年のIT製品売上高成長率予想を前年比18%増から10%増に下方修正したが、デジタル・チャイナは競合から市場シェアを奪い、業界平均を上回る速度で成長するとBOCIはみている。2009−11年の同社予想増益率について、BOCIは年率30%から16%に下方修正したが、純利益率の成長を背景に(2008年度は1.1%、2011年度は1.7%)、利益成長率は年率33%を維持するとの見方を示している。
  • 経営陣はこれまで粗利益率の傾向が一定しなかった点について、為替差益を別個に計上することを求める会計基準によるものと説明している。人民元高から生じた利益を顧客に還元しなくてはならないため、為替差益は粗利益に対してネガティブに作用する。混乱を避けるため、同社は部門ごとの粗利益率について為替差益を調整した上で計上。IT製品販売部門の2008年度粗利益率(調整後)は前年比0.05ポイントアップの4.99%、システム部門はシステム統合サービス事業の拡大により同0.62ポイント増の11.15%。ITサービス部門はソフトウェアの貢献により0.96ポイントアップの14.65%だった。
  • 2008年3月末現在の契約総額は86.7%増と前年を大きく上回った。チャイナ・ネットコム(00906)との3億元のプロジェクトを含む通信業界向けが29.3%増、政府機関向けは49.3%増。経営陣はITサービス部門のハードウェアとソフトウェアの売上比率が現在の7対3から向こう3年間で3対7に逆転し、純利益率は今後3−5年で現在の1−2%から10%程度に拡大すると見込んでいる。ただ、システムとITサービス部門の売上高増加で、顧客の信用払いの期間が長くなる可能性が高い。2008年度、同社は売上高の0.43%に当たる1億5200万HKドルを売上債権に対する引当金として計上した。
  • デジタル・チャイナの役員会は、中国最大規模のベンチャーキャピタル蘇州創業投資集団との共同出資事業を認可した。デジタル・チャイナはITサービス部門を注入することで、新会社の80%を保有。一方、他の投資家は今後の事業拡大のため5億元を現金で出資する。契約では、デジタル・チャイナのITサービス部門の市場価値が2008年度税引き前利益の44.6倍に相当する16億5000万元と評価されている。


遠洋地産(シノ・オーシャン・ランド・ホールディングス)
香港03377 6月27日 4.90HKドル

自社株買いを実施、渤海湾地域の開発による恩恵が見込まれる

  • 遠洋地産はこのほど、100万株の自社普通株を1株当たり平均5.05HKドルで買い取ったことを明らかにした。取得した株式は発行済み株式数の0.022%に相当。1株当たりの最高価格は5.11HKドル、最低価格は4.90HKドル。BOCIは、同社が1株当たりの土地取得コストである最大5.90HKドルを目安に今後も引き続き自社株買いを行うとみている。直近の終値4.90HKドルは、1株当たりの土地取得コストに対し17%のディスカウント水準、2008年の潜在NAV(1株当たり純資産価値)9.34HKドルに対し48%のディスカウント水準、2008年予想PER11倍。BOCIは同社の株価の先行きを強気の見方に据え置いている。
  • 最近の株価の低迷は、プライベート・エクイティ・ファンドが保有株を手放していることが影響。これらは同社がIPOを実施する以前に同社株を取得したパシフィック・アライアンス、モルガン・スタンレー、タレント・オーシャン、IFR、シティグループなどで、現在も4億株程度を保有しているとみられる。一方、クレディスイス、メリルリンチ、スタンダードチャータード銀行は同社株式を長期保有する意向を示している。これらによる保有株式は発行済み株式のおよそ5.8%とみられる。
  • 北京と天津を結ぶ高速鉄道が試験運転を始めた。24日の試運転では最高時速394.3kmを記録し、北京と天津を25分10秒で結んだ。渤海湾地域の主要2都市を結ぶ同鉄道は8月1日にサービスが始まる予定。
  • 渤海湾は中国政府が重点的に開発計画を推進している地域であり、活発な公共および民間投資が行われることから、不動産価格の上昇が見込まれる。遠洋地産の土地資産のおよそ82%が渤海湾地域にあり、この恩恵を享受できる。同社が現在保有する1020万平方メートルの開発用地は、81%が渤海湾地域に、8%が長江デルタに、11%が珠江デルタにある。
  • 同社の手元現金は80億元に上り、負債比率は28%。すでに向こう5年間の開発に十分な開発用地を保有しているが、強固な財務体制を背景にさらなる用地取得が可能。

   

   
   
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