中国銘柄レポート

 

中電控股(CLPホールディングス)
香港00002 8月13日 66.85HKドル

2008年上期は8.5%減益、事業の多角化を推進

  • 中電控股(CLP)が発表した2008年上期決算は、純利益が前年同期比8.5%減の56億1000万HKドルだった。減益の主な要因は、前年同期に台湾のHo-Ping Powerの株式売却益10億HKドルを計上したこと。特別項目を除いたコア利益は同5.4%増の52億4500万HKドルと、BOCIの通年予想利益(101億7100万HKドル)の51%に達している。また、香港の法人税率変更に伴い、繰延税資産への引当金3億8900万HKドルを割り戻しており、これを除いたコア利益は同2.4%減となった。香港事業の利益は同7.6%増の40億4000万HKドル。天候不順により電力販売量は同1.5%減だったが、第2四半期の電力販売量は第1四半期で24%増となっている。海外事業は、ほとんどの市場で燃料の高騰が市場価格に反映されたものの、豪州事業の評価損拡大や、台湾および中国で石炭価格上昇の影響で、利益は同32%減となった。CLPの負債比率は、豪州およびインド事業の影響により2007年末時点の40%から2008年6月末には43.4%に拡大。
  • 利益管理スキーム(SOC:政府管轄下の公共事業規定)の最低利益保証比率が引き下げられたことや、石炭コストの上昇を販売価格へ反映することが難しい中、CLPは非SOC事業および非石炭事業への多角化を推進。香港のLNGターミナルおよびエミッションコントロールプロジェクトは資産ベースの拡大に寄与し、SOC制度の恩恵を高めることにもつながる。LNGターミナルは2013年の稼働開始を目指しており、BOCIは同事業への設備額を90億HKドル程度と見積もっている。一方、エミッションコントロールプロジェクトは2009年の稼働に向けて順調に推移。同プロジェクトは香港事業の資産価値をおよそ15億HKドル高める見通し。CLPの非SOCおよび非石炭事業は、2008年上期のEBITにそれぞれ18.8%、5.1%貢献しており、今後も業績への貢献度が高まる見通し。
  • Standard & Poorsは先ごろ、来月に控えたSOCの比率変更によりCLPの負債比率が35%から40%に拡大する可能性を踏まえ、投資判断を下方修正した。現在、同社の負債比率は43%に上昇。BOCIは同社の事業拡大を評価しているが、現地の環境対策や各種規制が利益成長を阻んでおり、効果が表れるまでには時間がかかる見通し。
  • BOCIはCLPの2008−10年の利益成長について、前年比7%減から2%増の間を推移すると予想。SOC比率の引き下げや、様々なプロジェクトのリードタイム(2−3年)を考慮し、現在推進中のプロジェクトの利益貢献は2010年以降になるとみている。
  • 2008年上期の配当性向は、減益により40.8%から44.6%に上昇。経営陣は配当額の水準を維持する意向を繰り返し強調しているが、これには証券市場の減速に対する防御的な意味合いがあるとBOCIは指摘している。


国美電器控股有限公司(コクビデンキ)
香港00493 8月13日 3.45HKドル

2008年6月中間決算は191%増益、2008年予想利益を7%下方修正

  • 国美電器が発表した2008年6月中間決算は、純利益が前年同期比191%増の11億5000万元。昨年買収した大中電器の利益貢献により、転換社債の会計上の損失を除いたコア利益も同44%増の11億6000万元に達した。しかし、既存店売上高は第1四半期の同3.17%増から第2四半期に同2.7%減に転じ、中間期では同0.49%増にとどまった。同社経営陣は5月12日の四川大地震および南部の洪水の影響や、6月のエアコン販売の伸び悩みが原因としている。BOCIは、景気後退により耐久消費財への支出が下期に入りさらに落ち込む可能性を懸念し、2008年予想利益を7%下方修正した。ただ、2009−10年の利益見通しは据え置き、株価の先行きについても強気の見方を維持している。
  • BOCIは、同社の扱う製品の構成が、家電から3C製品(携帯電話、デジタル製品、パソコン周辺機器)へ長期にわたってシフトしている点を指摘。冷蔵庫、エアコン、洗濯機といった主力家電製品の売上比率は、2007年上期の35%から2008年上期は32%に縮小した一方、3C製品は25%から26%に拡大した。3C製品の売上比率はいずれ40−50%に拡大し、これにあわせ粗利益率が徐々にアップする見通し。3C製品の粗利益率は、BenQ製品の独占販売や周辺機器のラインアップ増強、ロジスティクスの見直しなどにより、それぞれ前期を0.5−1.4ポイント上回った。
  • 国美の大株主である黄光裕・会長が、市場の予想に反し、同氏の保有する351店舗を国美ではなく北京センターゲート・テクノロジーズに注入すると伝えられている。国美経営陣は親会社に対し、小売ネットワークの国美への統合を引き続き求めている立場を明らかにしている。同店舗網が国美に注入されなかった場合、同社の市場価値低下は北京センターゲートの価値上昇分を上回るものになるとみて、BOCIは店舗網の国美への注入が会長を含む同社株主にとって最善策であると指摘。さらに、同店舗網と国美の店舗はほぼ同じ地域で展開されているため、北京センターゲートに注入された場合、同一株主による非競合事業の店舗展開が違法になる可能性もあるとした。北京センターゲートは中国の不動産開発に従事しており、時価総額は440億HKドル。

   

   
   
  本資料で提供されている情報については、BOCIインターナショナル若しくはその関連会社・子会社(以下総称してBOCI)、T&Cフィナンシャルリサーチ社又は当社が情報の完全性、確実性を保証するものではありません。BOCI又は当社は、本資料に掲載されているいかなる銘柄についても、その売買に関する申し出あるいは勧誘を意図したものではありません。銘柄の選択、売買、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
本資料に掲載されているBOCIの見解は、各投資家の状況、目標、あるいはニーズを考慮したものではなく、また特定の投資家に対し特定の銘柄、投資戦略を勧めるものではありません。また掲載されている投資戦略は、すべての投資家に適合するとは限りません。
本資料でバリュエーション、レーティング、推奨の根拠、リスクなどが言及されている場合、それらについて十分ご検討ください。過去のパフォーマンスは、将来における結果を示唆するものではありません。見解や評価はBOCIの本資料発表時点での判断であり、予告なしに変更されることがあります。
BOCIは本資料で言及されている銘柄について自己勘定取引を行ったことがあるか、今後行う場合があり得ます。また、引受人、アドバイザー、貸し主等となる場合があり得ます。
本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願いいたします。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。
掲載されているレポート等は、アナリストや情報提供会社が、独自に銘柄等を選択し作成したものであり、楽天証券が銘柄を指定し対価を支払って特別に作成させたものではありません。