中国銘柄レポート

 

深セン高速公路(シンセンエキスプレスウェイ)
香港00548 4月6日 2.95HKドル

2008年本決算は17%減益、景気減速により予想を下回る業績

  • 中国深セン高速公路(SZE)が発表した2008年12月本決算は純利益が前年比17%減の5億300万元(中国会計基準)と、BOCIの予想値を下回った。売上高は同3.7%減の10億6000万元。減益の要因は、中国経済の減速と道路ネットワークの変化。メンテナンス費の上昇により売上原価は前年比20.5%増。一方、資金調達コストは南光高速の開通後、金利支払分の資本化計上を停止したことで76.1%増えた。利益率も縮小しており、粗利益率は前年の66.5%から58.1%に、純利益率は54.9%から47.3%に落ち込んだ。ただ、2009年には利益率が改善するとBOCIは見込んでいる。
  • 業績が予想を下回ったことについて、以下の理由が考えられる:1)マクロ経済の悪化に伴い物流が滞った。2)中国南部での大雪被害をはじめとする災害による影響。同社が2008年に被った災害コストは推定1億1800万元に上る。3)生鮮品や農産物の輸送網を構築する政府の「緑色通道」政策の下、農産物の輸送車両に対し通行料免除の措置が取られ、通行料収入が減少。4)道路ネットワークの変化により迂回路の選択肢が増え、特定の道路の通行量が減少した。
  • BOCIは同社の2009年業績の不安要因として以下を挙げている:1)マクロ経済の見通しが好転しないこと、2)新たに開通した福龍路(Fulong Road)が梅観高速および机荷高速(西区)の迂回路となること、3)梅観高速の改修が通行量および収益に悪影響すること。一方、プラス要因として、2009年上期に完成する清連一級道路の高速道路化による通行量増加を挙げた。
  • 同社は深セン市地方税務局から2008年の所得税不足額約6047万元の支払い通知を受けた。前年に受け取った助成金に対する課税分。税務当局との話し合いにより支払額は3920万元に落ち着く見通し。これにより同社の2009年EPSは7.8%減少する見込みだ。
  • 同社は現在、南光高速、塩バ高速(Yanba Expressway)、清連一級道路高速化の3件のプロジェクトを進行中。それぞれのプロジェクト完工までにはさらに4億4000万元、8000万元、18億元の投資が必要とみられる。同社は2012年までの設備投資額を34億2000万元に引き上げているが、2010年以降は設備投資が減少する見通し。
  • BOCIは同社の2009年予想EPSを0.25元から0.242元に、2010年予想EPSを0.345元から0.291元にそれぞれ引き下げた。2011年の予想EPSは0.322元と予想。株価の先行きは中立の見方に据え置いている。

中国電力国際発展有限公司(チュウゴクデンリョクコクサイ)
香港02380 4月6日 1.64HKドル

2008年本決算は赤字転落、五凌電力の買収により発電能力アップを見込む

  • 中国電力国際が発表した2008年12月本決算は、2007年の純利益5億9200万元から6億8400万元の赤字に転落した。燃料価格の上昇が収益を圧迫したことに加え、子会社の発電設備閉鎖に伴う減損処理で3億8900万元の損失を計上したことが主な要因。閉鎖するのは山西神頭発電有限責任公司が保有する4基(発電能力は各200メガワット=MW)で、処理前の純資産価値は合わせて約6億元。小規模の発電設備を取り壊して大規模な石炭発電所の建設を推進する政府の方針に沿ったもので、山西神頭発電は今後600MWの発電設備2基(各600MW)を新設する計画。2008年の特別要因を除いた経常損失は2億9500万元(2007年の同利益は2億8100万元)。新設備の貢献とコスト管理の改善で、経常損失は上期の2億5400万元から下期には4100万元に減少した。
  • 同社の発電能力は、2004年以降に年率平均で31.6%拡大し、2008年末には9ギガワット(GW)に達した。同社は湖南および貴州に水力発電設備を持つ五凌電力の買収により今後2.6GWの貢献を見込み、2010年には発電能力を15GWに引き上げることを目指している。買収により一時的に負債比率が上昇するものの、買収後はキャッシュフローが大幅に改善される見通し。また、同社は親会社の中国電力投資集団(CPIH)とともに合計で4.9GWの発電設備建設を計画していることから、発電能力の目標達成は現実的であるとBOCIは判断している。
  • 同社の2008年の燃料コストは前年比34.2%増の208.2元/MW時と、国内大手電力会社の中で最低水準だった。08年下期は前半期比15.4%増と、他社の同22−24%増を大幅に下回った。BOCIはこの理由について、同社が北京五輪の影響で燃料価格が高騰する前にある程度の石炭を確保していた可能性を指摘した。同社は2009年用の石炭1850万トンのうち70%を契約により調達する予定。大手電力会社と石炭生産者による今年の契約価格交渉は、2008年の年初価格に0−4%上乗せする程度と電力会社に有利な水準に落ち着く見通しで、BOCIは2009年の石炭コストが前年比14.1%減になると試算している。
  • 2008年の既存設備稼働時間は5403時間と、華能国際電力(00902)の5246時間、大唐国際発電(00991)の5386時間を上回ったが、華潤電力控股(00836)の5724時間には至らなかった。2009年の稼働時間についてBOCIは5283時間と前年を下回る水準を予想。同社の発電量の約半分を占める中国中部地域の電力需要回復が東部地域に比べて遅れる可能性を考慮した。
  • BOCIはさらなる減損処理の可能性と負債比率上昇による資金調達コストの上昇を踏まえ、同社の2009年予想EPSを36.4%引き下げた一方、2010年予想EPSを6.5%上方修正した。株価の見通しについては中立の見方に据え置いている。

   

   
   
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