大唐国際発電(ダータン・インターナショナル・パワージェネレーション)
香港00991 10月23日 4.08HKドル
2009年7−9月期純利益は前期比39%減、利益見通しは不透明
- 大唐国際発電の7−9月期決算は、4−6月期に比べて39%減の3億7400万元だった。1−9月期は10億3000万元(中国会計基準)。これはBOCIの通年予想の49%を占めるにとどまり、市場コンセンサスを大幅に下回る水準。7−9月期の粗利益率および営業利益率は、燃料コストの高騰により4−6月期に比べてそれぞれ3.4ポイント、4ポイント減少。石炭の契約価格が同社の当初予想よりも高い水準で設定されたことが減益につながった。また、関連発電所の業績が好調で、7−9月期は少数株主持分が税引き後利益の46%を占めた。
- 1−9月の平均燃料価格は174.5元/メガワット時(MWh)と、同社の当初予想170元/MWhを上回った。BOCIの試算では、7−9月期の標準石炭価格は4−6月を13%上回っている。
- 同社は2009年分の石炭需要量6400万トンのうち、2800万トンについて主要石炭生産者と契約。契約価格は当初より4%上昇したとみられる。また、同社が購入した輸入石炭の価格は前年同期比で18%上昇しており、7−9月期の燃料コスト上昇につながった。
- 同社はすでに今年の石炭契約の大部分を締結し、合意に至っていないものはベンダーの言い値に設定されているため、価格契約に関するリスクはすでに取り除かれたとBOCIは指摘。2010年に関しては、電力需要の増加と大手電力会社の財務状況の改善から、石炭会社が交渉力を強めるとみられる。これを踏まえ、BOCIは2009年の予想燃料コストを170.5元/MWhから174.6元/MWh(前年比10.7%減)に引き上げた。
- 同社は今年、60億元相当の長期債を発行。負債の構成を短期から長期にシフトしている。負債全体に占める長期負債の割合は2008年末の63%から81%に上昇。調達資金は、鉱山開発、石炭ベースのエネルギープロジェクト、新エネルギー発電など、長期のプロジェクトに充当される。こうした動きは、向こう数年間の金利上昇サイクルの影響を部分的に排除する一方、負債構成は比較的金利の高いものとなる。多額の設備投資計画から、同社が負債を返済する可能性は低く、今後も資金調達を継続するとみられる。
- BOCIは、燃料コストの高止まりのほか、1−9月の業務統計による電力販売量の伸びと稼働率の高さを考慮し、同社の2009−11年予想EPSをそれぞれ19%、18%、14%下方修正した。同社は、石炭生産の増加と石炭ベースのエネルギープロジェクトの稼動を基に2010−11年にそれぞれ38%、75%の増益が見込まれている。一方、経営陣が財務についての詳細を明らかにしないため、利益見通しは依然として不透明。
- BOCIは、石炭会社との交渉が不利に進む可能性や、資金調達の必要性、石炭ベースのエネルギープロジェクトの投資リターンなどに関するリスクを考慮し、株価の見通しを中立から慎重の見方に引き下げている。
中海発展(チャイナ・シッピング)
香港01138 10月23日 11.98HKドル
2009年1−9月期は80.8%減益、運賃の値下がりが影響
- チャイナ・シッピング(CSD)が発表した2009年1−9月期の純利益は前年同期比80.8%減の9億570万元、売上高は同54.1%減の65億7000万元だった。減益の要因として以下の点が挙げられる:1)総輸送量は前年同期を8.5%下回る1605億トン海里(tnm)だった。2)平均運賃は同45.5%減と大幅に低下。石炭とドライバルクの運賃、石油の国際輸送運賃が低水準となった。3)投資収入は同93.6%減。市場低迷により関連会社からの利益貢献が減少した。4)船舶の売却益が少なく、非営業収入が75.9%減となった。一方、営業コストは、燃料費と船舶チャーター費が大幅に減少したため38.2%減。1−9月利益には、子会社からの利益3250万元も含まれている。
- 総輸送量は、前年同期比8.5%減の1605億tnm。石油の輸送量は15.1%増の888億tnmだった一方、石炭は29.4%減の424億tnm、ドライバルクは23.1%減の293億tnmと前年同期を割り込んだ。
- 国内輸送量は26.4%減の562億tnm。石炭およびドライバルクはそれぞれ34.8%、17.3%前年同期を下回った。石油は5.2%の伸びを示した。単位当たりの売上高は、国内石炭とドライバルクがそれぞれ50.0%減、52.2%減。石油は5.7%増だった。
- ただ、輸入石炭と国産石炭の価格差縮小により、石炭の国内輸送量は徐々に増加している。こうした状況下、中国の大手電力会社の利用石炭が輸入石炭から国産石炭にシフトすれば、石炭の国内輸送量増加が見込まれる。こうした傾向は、CSDの業績に好影響を与える見通し。
- 国際輸送量は、前年同期比5.4%増の1043億tnm。石炭と石油の輸送量はそれぞれ72.5%、17.1%上回ったが、ドライバルクは24.2%減に落ち込んだ。国際輸送の運賃は、石炭、ドライバルク、石油で、それぞれ44.4%、48.2%、63.4%前年同期を下回った。
- CDSの1−9月の業務統計と、輸送量および運賃の動向を踏まえ、BOCIはCSDの2009−10年予想利益をそれぞれ13.5%、7%引き下げ、13億元、25億元とした。この値は、2009−10年の運賃見通しをそれぞれ2%、1%引き下げ、輸送量についてもそれぞれ1%引き下げたことが前提となっている。株価の先行きについては強気から中立に引き下げている。
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