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本稿執筆時点(7月半ば)、相場は揉みあいながらも堅調です。そんな中、「6月末の公募投信残高83兆5640億円 6年8カ月ぶりに最高更新」(7/11 日経新聞)となりました。投資信託に関わる仕事をしている者としては、投信が拡大すること自体は喜ぶべきことなのですが、統計をよく見ると、少なくとも短期的に利益を得るのはなかなか難しいということも見てとれます。今回はこの話題です。 このコラムで何度か登場している、公募株式投資信託全体の購入と解約の差額、「純流出入額」と、日経平均株価の推移のグラフをアップデートしてみました。なお、冒頭引用した記事は公募投資信託全体に関するものですが、普通預金のように気軽に皆さんに使って欲しいMRF、MMF等(これらは公募「債券」投資信託とでもいうべき公社債投資信託です)も入れてしまうと、今から議論する長期投資のための資金流出入の議論にそぐわないので、公募株式投資信託のみの統計を使います。 2007年1月〜2014年6月末、月次データ 公募株式投資信託として統計に入っているものには、文字通り株式に投資するものだけでなく、海外債券に投資するもの等も含まれていますが、ここでは日経平均株価の推移を相場一般の動きを代表するものとして表示しています。投資資金が自由に短時間で行き来する近年においては各国の株式が同じ方向性を持って動く傾向にあるほか、海外債券に投資するファンドの多くが円安・円高の影響を大きく受けるタイプであり、株価の高・安と各通貨に対する円安・円高の連動が高くなっていると考えられるからです。つまり、投資信託全体の損益状況は日経平均株価の動向と似ている傾向にあります。 まず、過去最高の純流入は、2007年6月、リーマンショック前の高値の時です。実に3兆円近い資金が公募株式投資信託に流入しました。 その後、久しぶりに1兆円を超えたのが昨年の5月。アベノミクス相場で日本株は急伸、また為替も円の急激な独歩安となり、いったん5月下旬にピークを迎えました。 いずれも、その後に相場急落が待っているわけですが、その急落の直前に純流入額が膨らんでいます。言い換えれば、相場が高い時ほど資金は流入、つまり高値掴みの傾向があるのです。 さて、そんな中、興味深いのが昨年末から年初にかけてです。昨年終盤は、今年からはじまるNISAによる資金需給への期待もあって、日経平均株価は年末にかけ急伸、16,000円台を回復する上昇で年を終えました。一方、キャピタルゲイン軽減税率が昨年で終了となるため、駆け込みの益出しが多くなされたとの指摘があります。前後の相場と比べてピークの際の資金純流出という、いわば珍しい現象はそれによるものと推量されます。 そして今年1月です。NISAの開始とともに期待通り投資信託の販売は好調、昨年5月以来の1兆円を超える純流入となりました。上記グラフでは月末時点の日経平均株価を表示しているため前月末比で株価は下落していますが、それは月末近くの急落によるためであり、資金流入の多くは相場が高い時点で買われていると思われます。 投資家の皆様のなかには、昨年末に高値で売り抜けて、その後、年明けは買いを控えてうまくいった人もいるでしょう。しかし、この期間の投資信託全体の資金流出入状況を見る限り、上昇の過程で売った後、同水準の高値で買い戻し、そしてその後に相場の急落を迎えたという投資家が多かったと思われます。 期待通りNISAは徐々に市民権を得てきておりますが、相場の結果論としては、NISA制度がスタートした年明け後すぐに買った資金は高値掴みでした。やはり相場を当てるのは難しい。 そこで、(これまでも何度も繰り返してきましたが)結論です。 長期的に上昇し続けられると信じられるポートフォリオを考え、そして短期的相場に関係なくコツコツ積立投資すること これが、誰にでもラクに成功を目指せる投資方法であると、私は固く信じています。 投資との付き合い方や用語解説「ちょっととがった長期投資講座」 人気ファンドの基準価額を当日中に確認したい方 今日の話になるほどと思った方へ:色川が直接お話しします 2013年5月30日開催セミナー動画配信 2013年7月18日開催セミナー動画配信 2013年8月29日開催セミナー動画配信 2013年9月26日開催セミナー動画配信 2013年11月7日開催セミナー動画配信 投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、申込手数料等の費用が異なり、多岐にわたりますので、当該商品の目論見書、契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解いただくよう、お願いいたします。 投資信託の取引にかかるリスク 主な投資対象が国内株式 主な投資対象が円建て公社債 主な投資対象が株式・一般債にわたっており、かつ、円建て・外貨建ての両方にわたっているもの 投資信託の取引にかかる費用 各商品は、銘柄ごとに設定された購入又は換金手数料(最大税込4.32%)および運営管理費用(信託報酬等)の諸経費をご負担いただく場合があります。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。 ご購入時にお客様に直接ご負担いただく主な費用 保有期間中に間接的にご負担いただく主な費用 ご換金時にお客様に直接ご負担いただく主な費用 買付・換金手数料、信託報酬、信託財産留保額以外にお客様にご負担いただく「その他の費用・手数料等」には、信託財産にかかる監査報酬、信託財産にかかる租税、信託事務の処理に関する諸費用、組入有価証券の売買委託手数料、外貨建資産の保管等に要する費用、受託会社の立替えた立替金の利息等がありますが、詳細につきましては「目論見書」で必ずご確認いただきますようお願いいたします。 各商品のお取引にあたっては、当該商品の目論見書、契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解いただくよう、お願いいたします。
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