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第1回 インフレヘッジと金

インフレヘッジと金

よく、「インフレヘッジ」という言葉を耳にします。インフレをヘッジする、とはどういうことなのでしょうか? インフレとは持続的にモノの価格が上昇していく現象のことを指します。価格が上昇しますので、おカネのモノに対する価値が低下します。具体例を挙げると300万円で買えた車がインフレになって全く同じ性能なのに、350万円払わなければ買うことができない、といった状態がこれにあたります。ですので、インフレヘッジとは現金に近い資産からインフレによって価格が上昇しそうな資産に乗り換えることを意味します。

インフレになった時に価値が目減りする(価格が下落する)代表的な資産は現金や国債、逆にインフレになると価格が上昇する資産には、金や株、不動産が挙げられます。

少し話がそれますがインフレヘッジを理解するためにここで少し、「インフレ」について整理しましょう。インフレとはどのような時に発生するのでしょうか?

インフレには幾つかの種類がありますが大きく分けて、需要が増加することによって引き起こされる「デマンド・プル・インフレ」と生産コストなどの費用が増加することによって発生する「コスト・プッシュ・インフレ」、貨幣の供給量が大幅に増加して発生する「貨幣的要因によるインフレ」の3種類が存在します。

デマンド・プル・インフレは投資や消費、公共投資等の需要が供給を上回った時に発生するインフレです。日本で言えばバブル崩壊前、米国で言えばリーマンショック前までがこのデマンド・プル・インフレ状態だったと言えるでしょう。この時には景気が好調ですので企業業績も良好であることがほとんどです。当然企業の株価も上昇しますので、インフレヘッジのために現物・投信等の株式が積極的に用いられました(景気が良くて株が上がりそうなので、株を買う、という感覚の方が強いと思いますので、インフレヘッジ、と思って買っている人はそれほどいなかったかもしれませんが)。富裕層はマンションや土地等の不動産にも投資を行っていました。残念ですが今の日本が置かれている経済環境及び人口動態を考えると、日本にデマンド・プル・インフレが来ることは当分なさそうです。

コスト・プッシュ・インフレは原油や銅、鉄等の資材や原材料、燃料費などのコストが上昇することで発生します。コスト・プッシュ・インフレが日本を直撃したのは大分前になりますが、1970年代のオイルショックの時でしょう(そのきっかけはニクソン大統領による金とドルの交換停止なのですが……それはまた別の回で解説します)。コスト・プッシュ・インフレの主因となる原材料価格の上昇は、特に原油価格を初めとするエネルギー価格の上昇に強く影響を受けます。これは景気の状況に関係なくエネルギー価格が上昇すればインフレが発生する可能性があることを意味しています。

貨幣的要因によるインフレは、貨幣の供給量が増加することによって発生します。貨幣の供給量が増加しますので、あらゆる資産に対するおカネの価値が低下することになります(インフレの定義そのものです)。

話をインフレヘッジに戻しましょう。恐らく今後10年近く、先進国はコスト・プッシュ・インフレのリスクに晒され続けると考えられます。新興国経済は欧州危機の影響はあるものの成長を続ける見通しで、原油の需給はタイトな状態が続くと考えられるためです。近年は中東情勢が不安定なので、原油が戦略的に供給されなくなって価格が急騰するリスクも常に付きまといます。以前のOPEC・オイルメジャーの熾烈なシェア争いで原油市場が過剰供給となり原油の価格が1バレル10ドルだった時代はもう訪れないでしょう。

一方で先進国経済は日米欧とも、バブル崩壊の影響が脱することができず引き続き不況に苦しんでいます。欧州などはこれからさらに景況感が悪化する可能性が高いと考えられます。このような状態になると、景気回復を支援するために中央銀行は大幅な金融緩和をせざるを得ません。短期金融市場で資金を供給するばかりでなく、最近は国債の購入を行って現金の流通量も増加しています。つまり、名目金利(見た目の金利)水準はほぼゼロでかつ資金がジャブジャブの状態ということなのです。これは先程のコスト・プッシュ・インフレとは別に、貨幣的要因によるインフレが発生する可能性が高いことを意味します。

ここまでをまとめると、「先進国の名目金利は低い水準が長期に渡って続くが、物価上昇率はプラスの状態が続く可能性が高い」ということになります(この状態のことを「実質マイナス金利(見た目の金利<物価上昇率)の状態」と呼びます)。この状態ですと投資家が保有している資産が現金に近ければ近いほど、損失ないしは機会損失(投資機会の逸失)が発生することになります。分かりやすく言うと、そのまま預金しているとほとんど利息が付きませんが、物価上昇率がプラスなので、物価上昇の恩恵を受ける資産に投資していればそのメリットが取れる、ということです。つまり、「インフレヘッジ」をすることで、現金を含む保有資産の価値が目減りすることを回避できるのです。

ちなみにこの理屈はドルを初めとする「実質マイナス金利通貨」を保有していた場合に成立します。現在の日本の状況(デフレの状態)は必ずしもそうではありませんので、その場合にどう考えるかに関しては、また別の機会に解説したいと思います。

インフレヘッジの際に購入する代表的な資産に株や不動産を挙げました。ですが、今の先進国がおかれている状況を考えるとこれらの資産を購入してもインフレヘッジになり難いと考えられます。最終消費が弱いのでコスト削減や経営努力によって販売価格が抑制され、価格にそのコスト上昇が反映され難いためです。一方、金や原油等は上流(生産者側)に近い商品であり、インフレによる生産コストの上昇が、比較的速やかに価格に反映されます。実際に、実質金利(名目金利-インフレ率・物価上昇率)のマイナス傾向が定着した2009年のQE1以降、金価格は顕著に上昇しています。

最もインフレに連動するのは明らかに原油です。ですが、原油価格は景気の影響を強く受けるため株価との連動性が高く(これも別の回で説明します)ポートフォリオの分散効果が働きにくいことから機関投資家は金か原油かを問われた場合、どちらかと言えば金を選択しているようです。また金がCMEやICE等の取引所取引の担保としても活用できる資産であることも要因の1つの様です。

原油よりも金の方が目に触れる機会も多く、「投資している対象が分かりやすい」ということも考えると、個人で投資する皆様は金の方がより投資している実感を持って保有できるのではないでしょうか。

実質金利マイナス時代入り以降、金価格は急騰


(出所:米労働小省労働統計局、BBA、CME)

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