先日、JPX日経インデックス400(以下「JPX日経400」)の初めての銘柄入れ替えが発表されました。入れ替えの対象となったのは全400銘柄のうち31銘柄でした。
これまで、日本株を代表する株価指数といえば、「日経平均株価」と「TOPIX(東証株価指数)」の2つでした。そこに今年から新たに加わったのが「JPX日経400」です。
JPX日経400は導入当初こそあまり話題にならなかったものの、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がベンチマークとして採用するという報道や、JPX日経400に連動するタイプのインデックスファンドおよびETFも相次いで設定されるようになったこともあり、徐々に知名度が上がっていました。
そして今、日経平均株価やTOPIXをしのぐパフォーマンスを上げているという面で、俄然注目を集めるようになったのです。
日経平均、TOPIX、JPX日経400の比較チャート(基準日:2014年4月1日)
JPX日経400にはその採用銘柄の選定に際し、日経平均株価やTOPIXと大きく異なる点があることをご存じでしょうか? それは、「利益」や「ROE」といった、企業業績に関する数値を重視して選定しているという点です。
最近は、このJPX日経400のように株価変動率や財務指標など、従来とは異なる尺度から構成銘柄を選定する指数のことを「スマートベータ」と呼んでいるようです。
日経平均株価は、企業規模や株式の流動性、各業種の採用銘柄数のバランスなどを考慮して採用銘柄の選定や入れ替えが行われていますが、企業業績は特に考慮されていません。
またTOPIXは、東証1部上場の全銘柄を対象としていますから、企業業績が考慮される余地がそもそもありません。
JPX日経400は、従来からの株価指数である日経平均株価やTOPIXと比べて、銘柄選定の面で大きく異なっているのです。
筆者は、株価指数に重要なことは「連続性」だと思っています。言い換えれば、過去の数値との比較可能性です。
連続性は、構成銘柄が頻繁に入れ替われば入れ替わるほど低くなっていきます。
連続性が低いと、例えば10年前、20年前の指数の数値と現在の指数の数値とを比較すること自体が無意味になってしまいます。また、過去の数値をつなぎ合わせてできた株価チャートもまた意味のないものになってしまいます。
こうした観点からみれば、3つの株価指数の中で最も連続性の高いのはTOPIXです。東証1部上場の全銘柄を対象としていますし、東証1部に新規上場・昇格した銘柄を新たに組み入れる他は、銘柄の入れ替えも基本的に行われないからです。
日経平均株価は構成銘柄数が225銘柄しかないのと、2000年4月の採用銘柄大量入れ替えにより一気に連続性が失われてしまいましたが、それ以降はそこそこの連続性が保たれているといえます。
これらに対しJPX日経400は、構成銘柄数が400と少ないこと、毎年定期的に数十銘柄程度の銘柄入れ替えが行われると予想されることから、TOPIXや日経平均株価に比べて連続性が低くなってしまいます。
JPX日経400の現在と10年後を比べると、構成銘柄の半分以上が入れ替わっていた、ということも大いに考えられるのです。
しかし、指数に連動するタイプのインデックスファンドやETFに投資するという観点からは、株価がより上昇しやすいような銘柄選定をしてくれる指数の方が投資家にとってよいはずです。
例えば、ニューヨークダウは構成銘柄が昔と今とでは大きく異なっていて、連続性が保たれているとはいえません。でも、その時代ごとの代表的な企業を構成銘柄とすることで、ニューヨークダウの価格の維持・上昇が保たれているのです。
そのため、ニューヨークダウに連動するタイプのインデックスファンドやETFを長期間保有することは、インデックス連動型の運用をする投資家にとって非常に有意義となります。
これと同じように、「ROE」という株価に対して大きな影響力があると思われる指標を考慮して採用銘柄の選定・入れ替えをするJPX日経400は、インデックス連動型の運用をする投資家にとっては望ましい株価指数といえるかもしれません。そして実際足元では、日経平均株価やTOPIXより高いパフォーマンスを上げているのです。
ただし、「ROE」を重視した銘柄選定をすることが、従来の株価指数と比べて今後も継続的に高いパフォーマンスをあげることにつながるかは未知数です。
以前(第217回)のコラムでも申し上げましたが、懸念されるのは業績やROEが改善して株価が大きく上昇した後の銘柄を新規採用した結果、「高値掴み」してしまう恐れがあるという点です。
株価は過去ではなく将来を織り込んで動きます。そして株価は、ボロボロに売り叩かれた状態からまともな業績に戻る過程で最も上昇率が大きくなることが一般的です。
好業績や高いROEを長年維持できるような成長企業であれば問題ありませんが、上場銘柄の多くは国内外の景気に業績が左右されます。業績が回復してJPX日経400に採用されたものの、そこが景気のピークであり株価のピークであったという懸念は、どうしてもつきまとってしまうのです。
このような懸念もあり、10年後、20年後に日経平均株価やTOPIXと比べたパフォーマンスがどうなっているかを予想することはできません。
ただ、少なくとも現時点では、GPIFをはじめとして、JPX日経400採用銘柄に対する買い需要が強まることが期待できる環境なのは確かです。したがって、短期的に見ればJPX日経400のパフォーマンスが日経平均株価やTOPIXを上回る状態はもうしばらく続くのではないかと個人的には感じています。
また、JPX日経400連動型のETFや投資信託に資金が流入すれば、JPX日経400を構成する各個別銘柄にも買い需要が生じます。そのインパクトという面では、採用銘柄のうち小型株や、東証2部・マザーズ・ジャスダック上場銘柄には要注目です。
知名度も日々高まっている印象のあるJPX日経400。日経平均株価やTOPIXとともに、日本株を代表する株価指数に育っていくことを見守りましょう。
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足立武志
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〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
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