前々回、前回と配当利回りを用いた銘柄選びのポイントをお伝えしました。配当金についてはほかにも重要な論点がありますので、ここで一気にご紹介したいと思います。
配当利回りランキングの上位銘柄の多くは、業績が不安定だったり、配当性向が高いといった、配当金が将来減額される可能性が高い何らかのリスクが存在しているということは前回お話ししたとおりです。
でも、中には業績が好調だったり、配当性向がそれほど高くないにもかかわらず配当利回りが高い銘柄があります。その場合、「記念配当」「特別配当」が支払われているケースが大半です。
「記念配当」とは、会社設立50周年記念とか、新工場完成記念など、なんらかのイベントを記念して上乗せされる配当です。
「特別配当」とは、多額の利益が出た年などに、特別に通常より増額される一時的な配当のことをいいます。
いずれの配当も、一時的なもので、翌年以降になると通常の配当に戻ることが大部分です。
そのため、記念配当や特別配当により配当利回りが高くなっている場合は、記念配当や特別配当による上乗せ分を除いた通常の配当金を用いて実質的な配当利回りを出すようにしてください。
配当利回りランキングの上位銘柄をそのまま投資対象にするのではなく、その背景をしっかり調べたうえで検討するようにしましょう。
配当利回りが高すぎる場合は何らかのリスクが存在しているものの、一般的に考えて配当利回りが高い方が、株価は割安といえます。
では逆に、配当利回りが低い場合は、株価は割高と考えてよいのでしょうか?
この質問に対する筆者の答えは、「インカムとキャピタル、どちらの利益を重視しているかによるが、通常はNO」です。
配当利回りが低い銘柄というのは、単に「配当金があまりもらえない」だけです。配当利回りが低くとも、業績が好調で、将来の業績向上も期待できる銘柄であれば、株価の大きな上昇によりキャピタルゲインが期待できます。
配当利回りというインカムゲインを重視している個人投資家の方であっても、キャピタルゲインの可能性も常に頭に入れて銘柄選びをしてもらいたいと筆者は思っています。インカムゲインを追求するあまり、キャピタルゲインを得る機会を自ら閉ざしてしまっては勿体ないです。
配当利回りが低くても、将来業績が大きく伸びたり、配当金が増額される可能性があるならば、キャピタルゲインの観点からも、インカムゲインの観点からも、それは決して割高ではないというのが筆者の結論です。
また、たくさんの配当金を出す会社が良い会社で、配当金を出さない会社は良くない会社かといえば、それも正しい考え方とはいえません。
なぜなら、あまり配当金を出し過ぎると、会社は将来の投資に必要な資金を確保することができなくなってしまうからです。
会社にとって利益の使い道は、もちろん株主に配当金として還元することもありますが、それと同様に、将来の利益の種まきのために行う投資に対しても必要となります。
成長性が高い会社は、利益をたくさん獲得していても配当金を一切出さないケースも多々あります。それは、株主への配当よりも、会社をより成長させるための投資を優先しているからです。こうした会社は配当利回りではゼロ評価となり、高利回りランキングにも絶対に上位にランクインしませんが、キャピタルゲインの可能性からいえば、十分に投資対象になり得ます。
逆に、それまで配当金を一切出していなかった会社が配当金を出すようになった場合、「株主への還元姿勢が高まった」と安易に考えるべきではありません。
一言で「株主への還元」といっても、様々な手法があります。配当金を出すことはもちろん、自己株式を取得・消却する方法もありますし、積極的な投資や研究開発を行って、将来の利益を伸ばすことができれば株価上昇という形で株主の資産形成に貢献することになります。
ですから、成長著しい会社が配当金を出すようになった場合、「成長が鈍化するサイン」と捉える投資家も少なくありません。
もちろん、配当金を出しながら、かつ年々配当金を増額させながら利益を伸ばしている素晴らしい会社もあります。それでも、成長「率」という観点でみれば、やはり配当金を出さずに将来への投資にお金を回している会社の方が高くなる傾向にあります。
そして成長率が高い会社の方が株価も大きく上昇する可能性が高いのも事実です。もし配当金を今まで出していなかった会社が配当金を出すようになったら、その後の株価の推移に十分に注意しておくべきでしょう。
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足立武志
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。
〔ゼロコース(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。
かぶミニ®(単元未満株の店頭取引)は、当社が自己で直接の相手方となり市場外で売買を成立させます。そのため、取引価格は買付時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を上乗せした価格、売却時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を差し引いた価格となります(1円未満の端数がある場合、買付時は整数値に切り上げ、売却時は切り捨て)。なお、適用されるスプレッドは当社ウェブサイトにて開示していますが、相場環境の急変等により変動する場合があります。
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