3カ月に一度訪れる決算発表シーズンが、今回もようやく終了しました。相変わらず発表直後の急落に悩まされた今回の決算発表。今回は「反省会」と題し、筆者が感じたことや今後に向けた戦略などをお話ししたいと思います。
筆者は本コラムや拙著でも書いているとおり、「株価トレンド分析」を実践しており、株価が上昇トレンドの銘柄のみを保有するようにしています。それは決算発表シーズンでも変わりません。
しかし今回の決算発表で強く感じたのが、「決算発表直前に上昇トレンドだった銘柄が、決算発表を受けて急落する」事態に遭遇する回数の増加です。決算発表を境に、それまで上昇トレンドだった銘柄が一転して下降トレンドに転じることを完全に回避することは、決算発表前に保有株を全部売却でもしない限りはできません。でも、今回の決算でいつもより多く上昇トレンド銘柄の急落に遭遇したということは、投資家が期待するような業績をあげられなくなっている企業が増加しているサインとして注意すべき状況なのかもしれません。
それでも、好業績が続いている銘柄も数多くあるわけですから、決算発表の数値に加え、発表後の株価の動きをみて、投資する銘柄を見直したり、入れ替えるためのよい機会ではあります。
決算発表時期の「サプライズ決算」による株価の急騰・急落は毎度のことではありますが、違った意味で「サプライズ」が多かったように感じたのも今回の特徴です。
つまり、企業発表の当初予想よりはるかに好業績の決算を発表した銘柄であっても急落したり、逆に当初予想より明らかに業績が悪いにもかかわらず株価が上昇するという「サプライズ」です。
明らかな好決算であってもそれを好感して急騰することもあるし、材料出尽くしとして急落してしまうこともあります。そして、それを決算発表前に予想することは極めて困難です。
知り合いの個人投資家が、決算発表による株価上昇を当て込んで、ある銘柄を決算発表前に大量に投資していました。その銘柄は確かに絶好調の決算を発表しましたが、株価は発表後下落、かなりの損失を被ったようです。
このように、自身が「好決算で発表後株価上昇間違いなし」と思っても逆の目が出るリスクは相当あります。決算発表シーズンには、身の丈を超えた無理な投資はしないことが肝要です。
また、筆者は決算発表による乱高下により損失が生じるリスクを減らすため、決算発表直前の銘柄の新規買いを控えたり、保有株の数量を決算発表前に少し減らしておいたりすることがあります。
筆者はやりませんが、いっそのこと決算発表を跨いでの保有はしない、と割り切ってしまうのも1つの対策です。
しかし、ひとたび決算発表が終わってしまえば、今度は格段に投資しやすくなる時期が訪れます。
株式市場は「はっきりしないこと」を嫌います。決算の結果がどうなるか、そして決算の結果株価がどう反応するか分からない決算発表直前の時期は、売買を手控える投資家が増え、株価の方向性も定まりにくくなります。
でも、「好業績に違いないが、決算の結果を見ないと心配だ」と新規買いを控えていた投資家が、その銘柄の決算が予想通り好調だったことを確認できれば、安心して新規買いを行うでしょう。そこへ、腰の据わった長期資金や、ファンドの新規買いも加われば、しばらくの間上昇トレンドが継続することも大いに期待できます。
そのため決算発表後は、株価が業績に素直に反応しやすい、やりやすい相場となることが多いのです。
筆者はプロ投資家と話す機会もありますが、決算発表で減益だったり、業績が伸び悩んでいる銘柄が大きく下げるのをみて、「また個人投資家が間違った行動をしている」と思うことがよくあるそうです。
決算発表の直後に株価が大きく反応する最大の理由は、個人投資家が決算短信など数字のうわべだけを見て売買しているためと思われます。
しかし、プロ投資家は、決算短信の数字を見るだけではなく、例えば予想より減益だった場合、なぜ減益になったのかを会社に確認します。また、決算短信と同時またはやや遅れて発表される決算説明資料や、プロ向けの決算説明会などで正しい情報を得て、投資判断に役立てます。
そのため、前向きな理由(例えば将来を見据えた先行投資による費用増加)などによって一時的に業績が伸び悩んでいるだけにもかかわらず、決算発表で株価が急落する銘柄を目の当たりにしたプロは、「個人投資家が間違っている」というのです。
とはいえ、大部分の個人投資家は、プロのように決算の中身を深く読み込むことはできませんし、情報量もプロに比べて格段に少ないです。そのため、決算発表があったら、とりあえずはうわべの数字だけをみて判断せざるを得ないとは思います。筆者も、「どう考えても好決算なのに」と思う保有株であっても、決算発表後株価が急落して下降トレンドに転じたら、ひとまずは売却するようにしています。
でも、好業績間違いなしと思っている銘柄の株価が、実際好業績の決算を発表した後急落し、その後もずるずると下げ止まらないケースも珍しくありません。
そう考えると、個人投資家は例え好業績銘柄であっても、決算発表により株価が下降トレンドに転じた銘柄は一旦売却しておくのが無難ではないかと思います。もちろん、その後株価が上昇トレンドに転じたら買い直せるように日々の株価のウォッチは必要です。
実は、決算発表が終わった後「好業績の銘柄を安く買うことができるチャンス」が巡ってくることをご存知でしょうか。
機関投資家やファンドマネージャーなどプロ投資家は、決算発表が行われた銘柄を発表当日や翌日に売買することはそれほど多くありません。企業から発表された決算の内容をよく吟味して、投資対象とするかどうかを判断するためにある程度の時間がかかるためです。
そこで、明らかに好業績にもかかわらず決算発表により株価が大きく売られた銘柄をリストアップし、日々の株価の動きをチェックします。株価急落銘柄のうち、業績の悪化が一時的なものと見込まれる銘柄も同様に要チェックです。
そして、それらの銘柄が下降トレンドから上昇トレンドに転じたら新規買いを実行するのです。
もちろん、自信があるなら上昇トレンドになる前に買ってしまってもよいですが、筆者は基本的に上昇トレンドに転換するのを待ってから買うようにしています。好業績であることが見直されてプロ投資家の買いが入った場合、上昇トレンドへの転換後に買っても十分安値圏で買えることが多いからです。
逆に、自身が「明らかに好業績」とか「減益は一過性で今後は問題ない」などと考えていても、他の市場参加者がそう思っていなければ、株価はそれほど上がらず、上がっても単なる「リバウンド」で終わってしまうでしょう。
筆者は、こうした弱い銘柄をあらかじめ排除できるように、上昇トレンド復帰を果たした銘柄に絞って投資するようにしているのです。
決算発表というイベントを通過した今、決算発表で大きく下げた銘柄が再度上昇トレンドに転じるタイミングで新規買いすることは、かなり有利な投資手法になるのではないかと筆者個人的には思います。
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足立武志
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
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但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
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1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
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〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
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1日の取引金額合計 取引手数料
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200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
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