いよいよ4月下旬から、3月決算企業の本決算発表が本格化します。決算発表シーズンは、他の時期に比べて、株価が乱高下しやすくなり、思わぬ損失を被る危険性も高まります。そこで今回と次回にわたり、決算発表シーズンの波乱相場を乗り切るための方法について筆者が実践していることを踏まえてお話ししたいと思います。
4月下旬から5月上旬にかけて、3月決算企業の本決算が本格化します。日本の上場会社の多くが3月を決算期としていますから、ちょうどゴールデンウィークを挟んだこれからの期間は、株式市場にとっての一大イベントが到来することになります。
ここ数年の株式市場では、決算発表により個別銘柄の株価が大きく変動することが非常に多くなっています。そのため、決算発表シーズンの相場をうまく乗り切ることができるかどうかで、運用成績も大きく異なってきます。
上場企業は、年間4回(3カ月に1回)決算発表を行います。そのうちの3回は四半期決算の発表で、3月決算の企業ならば第1四半期(4~6月)、第2四半期(4~9月)、第3四半期(4~12月)の3回です。そして4~3月の1年間の集大成として本決算を発表します。
ところで、四半期決算発表と本決算発表では、大きな違いがあります。それは、四半期決算発表では、同時に「当期」の業績予想を発表するのに対し、本決算発表では、同時に「来期」の業績予想を発表するという点です。
これにより、どういうことが起こるかと言えば、本決算発表では、当期の決算がどんなに良い内容であったとしても、来期の業績予想が冴えないものであれば、株価は大きく下落してしまう恐れが高いということです。四半期決算では、業績数値が良ければ割と素直に株価に反映されますが、本決算では当期の決算内容は株価にはほぼ反映されないという点は押さえておいてください。
なお、本決算発表の前に、当期業績予想の修正や当期配当金増額などを発表した銘柄の株価が大きく上昇することもありますが、これは過剰な反応です。重要なのはすでに終わった「当期」の業績ではなく、「来期」の業績予想であることには変わりませんので、当期の業績には一喜一憂しないように気を付けましょう。
ここで一度根本的な話をしたいと思います。なぜ、決算発表によって株価はこれほどまでに乱高下をするのでしょうか。それは、市場参加者が予測している各企業の業績と、実際の業績数値との間にズレが生じているためです。そして、そのズレが大きければ大きいほど、「サプライズ」が起こって株価も大きく反応することになります。
さらに、「この決算内容でなぜ株価が大きく上昇するのか?」とか、「絶好調の決算内容なのになぜ株価は大きく下がってしまうのか?」といった、筆者自身も理解できないような理不尽な株価の動きをすることもよくあります。
つまり、決算発表により株価がどのように動くのかは、「ふたを開けてみないと分からない」のです。
このことから言えるのは、「株価は企業業績を完全には織り込むことはできない」こと、そして、「先行きの株価を正確に予想することは誰にもできない」ということです。
とは言いつつも、決算でよほどのサプライズが起きない限りは、正確な予想は難しくとも、株価の大体の方向性については予想が可能です。それは、決算発表の前の段階ですでに株価に織り込まれています。そして、どのように織り込まれているかを私たち個人投資家が知るための方法が、株価の「トレンド」を読むことなのです。
決算発表の前の時点で株価が上昇トレンドにあれば、プロ投資家を含めた市場参加者のコンセンサスとして、その銘柄の業績が好調であり、先行きも期待できると判断していることが予想されます。逆に、決算発表前の株価が下降トレンドにあれば、その銘柄の業績はあまりよくないと予想されているのです。
ですから、確かに「ふたを開けてみないと分からない」とはいえ、トレンドを無視してやみくもに銘柄をチョイスするよりは、上昇トレンドにある銘柄からピックアップしておく方が、決算発表後の株価急落に巻き込まれる可能性は小さくなります。
それでも、中には「決算発表により保有株の株価が大きく下落するのはどうしても避けたい」という方もいらっしゃるでしょう。そのための究極的なリスク回避の手法が、「決算発表前には株を持たない」というものです。実際に、このようなスタンスを取っている個人投資家の方もいますし、デイトレードはまさに決算発表による株価変動リスクを回避することが可能な方法です。
しかし、この方法は確かに決算発表による株価変動のリスクを回避することは可能ですが、決算発表によって好業績銘柄の株価が急上昇したとき、これを享受することができなくなってしまいます。
もちろん考え方次第ではありますが、買った株の利益をできるだけ大きく伸ばすためには、決算発表の時期も保有を続け、決算発表による株価変動リスクをあえて抱えることで株価上昇の恩恵を得る必要があります。
以上の点を箇条書きにまとめると、以下のようになります。
筆者は実際に決算発表前の段階で上昇トレンドの銘柄のみを保有し、決算発表を迎えることにしていますが、上昇トレンドの銘柄であっても、決算発表により株価が大きく値下がりしてしまうこともあります。
つまり、筆者の方法は、決算発表によって株価が下落してしまう銘柄が一定数発生してしまうことを覚悟しつつ、できるだけ決算発表によって株価が上昇する可能性の高い銘柄を保有する、というものです。もっと言えば、増収増益が続く好業績銘柄で、かつ上昇トレンドにある銘柄を中心に保有するということです。
今回は、主に決算発表の「前」の段階での注意点でしたが、次回は決算発表の「後」の段階でどのような点に気を付けるべきかをお話ししたいと思います。
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足立武志
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。
〔ゼロコース(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
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