どの銘柄に投資するか、どのタイミングで売買するか、攻めるべき局面か守るべき局面か・・・株式投資で投資判断するときは、「情報」が必ず必要となります。最近は個人投資家の判断を惑わせるような情報も氾濫する中、本当に必要な「情報」を取捨選択する方法を考えてみたいと思います。
株式投資では、常に判断が求められます。数あるなかのどの銘柄に投資するのか、投資する銘柄を決めたらそれをいつ買うのか、そしてどのような状況になったら保有銘柄を売るのか・・・すべての投資判断において、「情報」がからんでいます。企業業績も情報ですし、昨日の株価も情報です。何かしらの「情報」がなければ株式投資をすることはできません。そして、使い方次第で運用成績に大きな差が生じるほど重要なのが「情報」なのです。
昨年の終わり、第315回と第317回のコラムにて情報活用の方法について取り上げましたが、筆者が多くの個人投資家と会って感じるのは、不必要どころか誤った投資判断を下す結果ともなりかねない情報に翻弄されてしまっている事実です。これには筆者自身非常に危機感を感じますし、個人投資家の皆さんに強く注意喚起したいところです。そこで今回のコラムでは、過去のコラムの内容にも一部触れつつ、「情報」を整理し、本当に必要な情報を見分ける方法についてお話ししたいと思います。
インターネットの普及により、一昔前では考えられないほどの情報が巷には氾濫しています。情報を取捨選択していかなければ、情報の波に溺れてしまいます。
そこで筆者は、膨大な数の情報をまずは以下の2種類に分類することをお勧めします。
(1)(過去の)事実
(2)(未来の)予測
つまり、世の中の情報は、(1)のように、すでに起こったことを事実として伝えるものと、(2)のようにまだ起こっていないことを予測・予想するものに分けることができます。
これを株式投資に当てはめてみると、(1)に該当するのは過去の決算数値や過去の株価などです。株価チャートも、過去の株価を基にして作られていますので(1)に該当します。一方、(2)に該当するのは来期以降の業績予想数値、将来の株価予想や為替レート、金価格、長期金利などの予想といったものです。
情報の中には(1)と(2)が混ざっているものもあります。例えば「昨日の日経平均株価の終値は16,000円でした。ここから年末にかけて、堅調な企業業績を背景に日経平均株価は上昇基調が見込まれます。」といったような新聞記事があれば、前半が(1)の情報であり、後半が(2)の情報です。
もう1つ、筆者は株式投資において、情報を以下の3つのカテゴリーに分類することをお勧めします。始めのうちはうまく分類することができないかもしれませんが、しっかりと分類できるようになれば、余計な情報から自分の財産を守ることができます。
(ア)必要な情報
(イ)不要な情報
(ウ)投資判断を誤らせたり惑わされる恐れのある情報
どの情報が(ア)に該当するかは、人それぞれ異なると思いますが、筆者であれば企業業績(過去の結果および将来の予想)と株価チャートは絶対に必要な情報です。会社四季報に書いてある各種データ(企業概要や株主の状況、外国人や投信の持ち株比率など)も参考になります。
(イ)の情報も人により異なると思われますが、筆者は将来の相場見通しや株価予想のような、当たることも外れることもあるどっちつかずの情報は基本的には無視しています。
また、企業によっては毎週のようにIR情報を発表するところもありますが、このうちの多くが、株式投資に際しては不要な情報です。でもこれを見抜くことは結構難しいので、そのIRにより株価が動いたら必要な情報、動かなかったら不要な情報と割り切ってしまってもよいと思います。
そして筆者が最近非常に危惧しているのが(ウ)の情報です。この情報を(ア)と取り違えないようにするのが非常に重要です。これは(イ)の中からさらに一部を抜き出したものと考えていただいた方が良いかもしれません。
筆者が(ウ)の情報に当てはまると考えているのは、例えば次のようなものです。
ある投資情報サイトでは今日1日とか今週1週間の個別銘柄の株価が上昇するか下落するかを、数多くの「プロ投資家」が予想しています。その根拠として配当利回りが高いとかPERが低い、などとしていますが、これは明らかにおかしな考え方です。
単に配当利回りが高い、もしくはPERが低いということをもって、株価が割安、だから株価は上昇するという判断は誤っています。現に、配当利回りが高かったりPERが低い銘柄の株価が下げ続けるケースというのは頻繁にあります。(楽天証券リアルネット勉強会第2回(6月28日(火))では、このあたりの話も含めて、PERや配当利回りの使用上の注意点などをお話ししております。お聞き逃しの方も後日録画でご覧いただけます。)
また、PERや配当利回りの高低といったファンダメンタルの要素が、1日とか1週間といった非常に短い期間の株価形成に大きく寄与することなどまずありません。このあたりの基本的な知識がなければ、根拠の乏しい株価予想に惑わされてしまう恐れがありますので十分に注意してください。
そもそも、今日1日とか1週間の個別銘柄が上昇するかどうかを予想するのは、丁半ばくちのようなものです。統計的に、1日や1週間という単位で株価が上昇する確率はほぼ50%です。これは「プロ投資家」であってもほぼ変わりません。逆に、この確率が80%とか90%などと非常に高いようなら、何かしらの「カラクリ」が隠されているはずです(実際にその「カラクリ」により高確率で1日の株価動向を的中させているように見せていたケースがあります)。
もし、個人投資家の投資判断を惑わす情報かどうか見抜くことに自信がないのであれば、とりあえず上記(2)の「予測」の情報、特に専門家とかプロ投資家が発信している相場見通しや株価予想の類は一切無視してしまうことも一考です。こうすると、有益な情報も無視してしまう恐れはあるものの、投資判断を惑わし、誤った判断を下してしまう恐れのある情報をシャットダウンすることができます。
上記を踏まえて、筆者が普段どのように情報を活用しているかをお話しします。
まず、上記(1)の「事実」の情報から、投資判断に必要なものを取得します。具体的には各企業の決算情報です。これは企業が発表する決算短信などに載っています。また、会社四季報には過去5年程度の業績が載っていますので、それも参考にします。
筆者は毎日400銘柄ほどの株価チャートをチェックし、トレンド変化の有無を確認して売買のタイミングを見極めています。株価チャートも過去の株価をもとにしたデータですので(1)に含まれます。
次に上記(2)の「予測」のうち、各企業の将来の業績予想を参考にします。これは決算短信にも記載されていますが、筆者は会社四季報に掲載されている、東洋経済新報社独自の業績予想も参考にしています。
そして、業績予想は「予測」であり、その精度も高くないことから、信頼度の補完を図るために、株価チャートで株価のトレンドをウォッチし、上昇トレンドにあるときのみ新規買いおよび保有継続とするようにしているのです。もちろん、株価のトレンドはあくまで現時点でのもので、それが将来も続くと保証されているものではありません。でも、株価とは決してランダムなものではなく、その方向にはある程度の継続性があります。これは歴史的な事実です。そして筆者の過去の経験上、株価が上昇トレンドにある間のみ保有することで市場平均よりはるかに高い投資成果をあげていますし、何より過去何度も起こった株価急落・大幅調整局面を小さな傷で乗り切ることができているという実績があります。
株式投資とは「誰も分からない未来」に向けて自身の資金を投じる行為です。そのために、どうしても最後は株価が将来上昇するかどうかという「予測」に賭けるしかありません。筆者が企業の将来の業績見通しに加えて株価のトレンドを重視して将来を「予測」しているように、個人投資家の皆様も、ご自身に合った「予測」手法を見つけてください。
本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。
足立武志
知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識
株式投資がうまくいかない、という個人投資家の皆様へ。実践をベースにした「すぐに役立つ真の基礎知識」は、お客様の株式投資戦略に新たなヒントを提供。負けない、失敗しないためにはどのように行動すべきか、これから「株式投資」を始めようと考えている方、必見です。
株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。
〔ゼロコース(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。
かぶミニ®(単元未満株の店頭取引)は、当社が自己で直接の相手方となり市場外で売買を成立させます。そのため、取引価格は買付時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を上乗せした価格、売却時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を差し引いた価格となります(1円未満の端数がある場合、買付時は整数値に切り上げ、売却時は切り捨て)。なお、適用されるスプレッドは当社ウェブサイトにて開示していますが、相場環境の急変等により変動する場合があります。
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(貸株サービス・信用貸株共通)