トランプ大統領決定後、見違えるように強い動きとなった日本株。しかしこれにしっかり乗れている個人投資家は少ないようです。そして、中には日々損失が膨れている個人投資家も。なぜそんなことになっているのでしょうか?
東京証券取引所が毎週発表している「投資部門別売買状況」によれば、トランプ氏の当選が決定した11月第2週から、直近の11月第4週までの3週間で、外国人投資家は日本株をなんと1兆円以上買い越しています。ここまでの大規模な買い越しは、およそ1年半ぶりのことです。
一方の個人投資家は、3週間で日本株を1兆円以上売り越しています。いつもの光景ですが、外国人投資家が日本株を大きく買い越し、逆に個人投資家が大きく売り越しているときは、日本株は大きく上昇していることが多いです。
もしここからさらに日本株が上昇するとするならば、個人投資家はすでに多額の売り越しをしており、保有株も少なくなっていますから、株価上昇の恩恵もあまり受けることができなくなってしまいます。
上昇相場にうまく乗り損ねた、というだけであれば、得られたはずの利益が得られなかっただけですから実際に生じる損失はありません。
しかし、中にはトランプ大統領誕生後の株価上昇に違和感を感じ、個別銘柄に空売りを仕掛けた個人投資家も少なくないようです。
先の「投資部門別売買状況」の個人投資家の動向は、現物取引と信用取引とに区分されています。現物取引ももちろん大幅に売り越しなのですが、これは保有していた株を売却したという意味です。
もう1つ、信用取引においても3週間で1,700億円ほどの売り越しとなっています。この内訳は、信用買いの返済によるものもあるでしょうが、新規の空売りが相当含まれているのではないかと思われます。
なぜなら、現時点で個別銘柄の多くが、信用買い残高より信用売り残高の方が多い、いわゆる「売り長」の状態になってしまっているからです。
通常、信用取引では、買い残高の方が売り残高より多いことが一般的です。これが逆転しているのですから、かなりの数量の空売り(信用売り)が実行されていると予想できるのです。
信用取引を行う個人投資家は、レベルでいえば「中級」以上に位置すると想定されます。信用取引はリスクが高いため、それを受け入れたうえで信用取引を実行するには、それなりの知識と経験が必要だからです。
ところで、筆者は本コラムのみならず、拙著「株を買うなら最低限知っておきたい株価チャートの教科書」(ダイヤモンド社)、ブログ「公認会計士足立武志ブログ」など、あらゆるところで「株価が上昇トレンドにあるときの新規空売りは厳禁」と声を大にして申し上げてきました。
しかし、トランプ大統領誕生後、明らかに上昇トレンドにある銘柄に対し、空売りを仕掛ける個人投資家が相次いでいるのです。これはどういうことなのでしょうか。
まず、トランプ大統領が誕生したら、日本株は下がり、為替は円高となると多くの人が思っていたものが真逆の動きとなっています。「円高・株安になるはずなのに今の動きは正反対でおかしい」と考えて空売りを仕掛ける個人投資家は少なくありません。
さらに、直近で株価が大きく上昇している銘柄は、ファンダメンタルの面からみればそれほど魅力的ではないものが多数含まれています。これをファンダメンタルの観点から見れば、「この銘柄がこんなに上昇するなんておかしい」と空売りを仕掛けたくなってしまうのです。
しかし、上記のような考え方は、投資の世界では非常に危険です。「自分本位」「独りよがり」の考え方は、絶対に避けるべきであると筆者は強く感じています。
大統領選挙が行われる前は、確かにトランプ氏が当選した場合、株式市場は大きく下落、為替レートも大きく円高に振れる、とする論調が大半を占めていました。
ところが実際にトランプ氏が当選すると、当選当日の日本株こそ大きく下落、為替も円高に動いたものの、その後は日本株上昇、為替は大きく円安になっています。専門家が唱えた選挙以前の論調とは真逆の展開です。
でも、「投資部門別売買状況」では、外国人投資家が毎週何千億円も買い越しをしています。外国人投資家のスタンスが、大統領選挙を境にして180度転換しているのです。
また、日経平均株価やTOPIXといった株価指数、そして多くの個別銘柄が、実際に上昇トレンドとなっていて、年初来高値更新銘柄も多数出現しています。
専門家・評論家がなんと言おうが、指数も個別銘柄も株価が上昇トレンドにある、これがまぎれもない事実なのです。
マーケットの動きが自分の考えと異なる動きとなることはよくあります。このときとても重要なのが、「自分の考えと反するが、マーケットの動きに合わせた行動を取れるかどうか」という点です。
たとえ「トランプ大統領誕生=株安・円高」と思っていたとしても、株価指数や個別銘柄が次々と上昇トレンドに転換していくのをみて、すぐに買いの行動を起こすことができた個人投資家の方は、上昇相場に乗り遅れた大勢の個人投資家より、すでに大きなアドバンテージを得ることができています。
逆に、自分の考えに固執しすぎて空売りを仕掛けた個人投資家は、空売り銘柄の株価が日々上昇するのを目の当たりにして非常に苦しんでいます。株価が上昇しているのに自分は日々含み損が膨らんでいくという、あってはならない事態に直面しているのです。
いずれにせよ、トランプ大統領誕生後の日本株は、ファンダメンタルに関係なく、上がるものは上がる、といった相場です。この点を割り切って、素直に株価上昇についていくことができたかどうかがポイントです。
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足立武志
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ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
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※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
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取引金額 取引手数料
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10万円まで 99円(税込)
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150万円まで640円(税込)
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3,000万円超 1,070円(税込)
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1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
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〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
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〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
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1日の取引金額合計 取引手数料
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