株式投資をある程度経験していれば多くの方が知っている投資指標の「PBR」。最近、筆者はこの指標をあまり使わなくなりましたが、果たしてPBRは銘柄選びにおいて今でも有効なのか、改めて考えてみたいと思います。
皆さんは、「PBR(ピービーアール、株価純資産倍率)」をご存知でしょうか?「PER」「配当利回り」と並び、銘柄選びをする際の基準となる代表的な投資指標の1つです。
会社は株主のものです。万が一会社が解散した場合は、残った財産が株主に分配されます。どれだけの財産が分配されるのかの目安となるのが、貸借対照表の純資産です。これを1株当たりに計算したものが、「1株当たり純資産(=BPS)」です。
PBRは、株価÷BPSで求められます。例えば株価が1,000円、BPSが500円なら、1,000÷500=2倍です。株価が1,000円、BPSが2,000円なら0.5倍となります。
株価とBPSが一致していればPBRは1倍となります。PBR=1倍というのは、株主に分配されるべき1株当たりの額と株価が「釣り合っている状態」です。
1株当たりの純資産と比べて、株価が何倍の水準まで買われているかを表しているのがPBRの意味です。そして一般に投資の教科書では、PBRが高ければ高いほど割高、低ければ低いほど割安、とされます。
(PBRについてもっと知りたいという方は、拙著「株を買うなら最低限知っておきたいファンダメンタル投資の教科書」(ダイヤモンド社)をご覧ください)
このように、PBR1倍というのは、株主が分配を受けることの金額である「1株当たり純資産」と「株価」とが釣り合っている状態です。
しかし実際には、PBRが1倍を割り込んでいる銘柄も多いのが事実です。
3月3日(金)現在で、PBRが1倍以下の銘柄が1,588もあります。これは全上場銘柄の約4割に相当します。PBRが0.50以下の銘柄も396、0.30以下も37存在します。
さすがにPBRが低すぎる銘柄は何かしらのリスク(例えば資産に多額の含み損が隠れている可能性、近い将来多額の特別損失を計上する可能性)が隠れていることもありますが、PBRが0.3倍を割り込んでいても毎年しっかり利益をあげ、配当金を出しているところも少なくありません。
理論的にはPBRが1倍を大きく割り込むこと自体がおかしいはずなのに、逆に全体の4割の銘柄が1倍を割り込んでしまっているのです。
本当なら、PBRが1倍を割り込めば、株主が分配を受けられる金額より株価の方が安くなりますから、すぐに買いが入って1倍割れが解消されてもおかしくありません。でも実際はそうはなっていないのです。日経平均株価が20,000円をうかがおうかという水準にまで上昇しているにもかかわらず、1,500銘柄以上の銘柄がPBR1倍割れ、という事実をまずは認識する必要があります。
PBR1倍割れの銘柄がゴロゴロしているにもかかわらず、そうした銘柄の株価が上昇しない理由は色々あると思いますが、筆者が考える理由はただ1つ、「PBRを基準にして銘柄を選んでいる投資家がほとんどいないから」です。
筆者の目から見ても、PBRが1倍を大きく下回っている銘柄の中には、「この銘柄、どう考えても割安だな」と感じるものがたくさんあります。でも、そうした銘柄の多くは株価があまり上昇していません。
2005年前後の大相場までは、低PBR銘柄への投資、例えばPBR0.3倍の銘柄を買ってPBR1倍近辺に上昇したら売却する、という投資手法が結構うまく行きました。しかし今の日本株では、「成長性」という面で投資対象とする銘柄を絞っている感覚があります。そのため、例え毎年しっかり利益をあげ、配当金も出していたとしても、売上高や利益が増加傾向になければ、プロ投資家の投資対象から外れてしまっていると思われます。
とはいえ、将来的に、低PBR銘柄が「明らかに割安」として再び脚光を浴びる可能性も十分にあります。ですから、今の段階から、割安銘柄を探しておくことは大いに有効です。
筆者のこれまでの20年近くにわたる投資経験上、あまりにもPBRが低すぎる銘柄は、何かしらのリスクを抱えている可能性が高くなります。そのため、筆者は最低でも0.3倍以上のPBRがあることを条件の1つにしています。
例えば現在のPBRが0.5倍で利益水準がほぼ横ばい、PER10倍の銘柄があったとします。利益がほぼ横ばいでPERが10倍ということは、配当金がゼロと仮定すれば10年間で純資産が倍増することになります。
もし、この銘柄の株価が10年後も変わらなければ、PBRは0.25倍にまで低下します。成長性こそないものの、今でこそPBR0.5倍と低水準なものが、さらに0.25倍に下がったとしても株価が上昇しないか、といえば、上昇する可能性もかなり大きいのではないかと予想できます。
でも、この方法は株価の値下がりリスクは相対的に小さいですが「時間がかかる」という欠点があります。特に、PBRが重視されない今のような状況が続けば、PBRがいくら下がっても、いつまでたっても株価が上昇してくれないという可能性もあります。
そこで私であれば、このように下値不安が相対的に少ない低PBR銘柄、つまり10年間で純資産の倍増が期待できるような銘柄をまずウォッチ銘柄リストに入れます。そのうえで、株価が上昇トレンドに転じたら新規買いし、下降トレンドに転じれば売却するようにします。
これにより、株価が下降トレンドにあり、株価の上昇がしにくい期間の保有を回避し、投資効率を高めることができます。
次回は(その2)として、PBRが高くても株価が上昇を続ける銘柄にスポットを当て、その理由と対策を考えていきたいと思います。
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足立武志
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。
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約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
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1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
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〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
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