前回は、割安なはずの「低PBR銘柄がなぜ上がらないのか」にスポットを当ててみました。今回はその逆、割高なはずの「高PBR銘柄の株価はなぜ上昇するのか」について考えてみたいと思います。
高PBR銘柄のランキングを検索すると、3月10日(金)現在で、PBRが20倍以上の銘柄が27あります。PBR10倍以上でみると96銘柄、PBR5倍以上は283銘柄あります。
株式投資の教科書では、「PBRが高い=割高」という説明がなされていますが、実際は、PBRが高い銘柄がゴロゴロしています。まずはこの事実を押さえるようにしてください。
では、PBRが高い銘柄は、みな株価が割高なのかといえば、決してそんなことはない、というのが筆者の結論です。
実は、PBRが高い銘柄には大きく分けて2種類あります。
(1)業績はあまり芳しくないものの、「過小資本」のためPBRが高くなってしまうというケースと、(2)「将来性が高く評価」されているためPBRが高くなっているケースです。
(1)のケースは、足元の業績が芳しくなく、債務超過転落ギリギリなど、純資産の額が小さい銘柄が該当します。1株当たり純資産が非常に小さくなってしまうため、PBRの計算上、どうしても数値が高くなってしまうのです。これに該当すると考えられる銘柄は、例えば21LADY(3346)、アクロディア(3823)、ジェイホールディングス(2721)などです。
(2)のケースは、増収増益が続き、さらに今後も同様の傾向が続くと思われる銘柄のうち、特に成長性が高いとマーケットで評価されている銘柄が該当します。これに該当すると考えられるのは、スタートトゥデイ(3092)、MonotaRO(3064)、日本M&Aセンター(2127)などです。
まずは各銘柄の業績や財務状況をみて、PBRが高い理由がどちらなのかを正しく把握する必要があります。
例えば、スタートトゥデイのPBRは約28倍と、驚異的な高さですが、株価は上昇を続けています。PBR25倍のMonotaRO、PBR19倍の日本M&Aセンターも同様です。月足チャートをみていただくと、長期的に株価が大きく上昇していることが分かります。
直感的に考えれば、PBRが10倍ともなれば、かなり割高と思いたくなります。でも、これらの銘柄のように、PBR10倍からさらに株価が上昇している銘柄も少なくないのが事実です。いったいどのような理由からなのでしょうか?
それは、「成長株」の株価は「将来の利益」ベースで株価が形成されるため、それにつられてPBRも「高くなってしまった」からに過ぎないなのです。
スタートトゥデイ、MonotaRO、日本M&Aセンターなど、増収増益が続き将来高成長が期待される銘柄は、「成長株」のカテゴリーに分類されます。
こうした成長株に投資する際、プロ投資家が1株当たり純資産の数値を参考に投資判断を下すことはまずありません。何で判断しているかといえば、将来得ることができるであろう利益の水準です。
「将来得られるであろう利益を予想」→「それに基づいた予想PERから適正株価を算出」→「適正株価より足元の株価が安ければ買う」→「結果としてPBRが上昇する」、という流れです。
ちなみに、高PBRの成長株は、得てしてPERも高い水準になります。今後、高い成長率を維持しながら業績が拡大すると、多くの市場参加者が予想しているためです。
なお、PBRを基準に成長株に投資しているプロ投資家はいないといえども、ややこじつけ気味に高いPBRを正当化すれば、「高成長により急速なスピードで純資産が増えていく」と投資家が予想しているため、ということになります。
PBRが高いというのは、将来の利益水準という、純資産とは異なる尺度で株価が形成された「副産物」に過ぎません。高水準のPBRという状況から、さらに株価が何倍にも上昇することも全く珍しくないのです。
さらには、高PBRの成長株は、バブル気味の状況にまで株価が上昇することも少なくありません。株価が上昇を続ける限りは、安易に売却せずに上昇についていくべきです。
PBRが高いという理由で、その銘柄への投資を控えたり、保有株を売却してしまうのは非常にもったいないと思います。
もちろん、将来の高成長が期待されている高PBR銘柄は、単に保有を続けていれば勝手に株価が上昇を続けてくれるのかといえば、決してそんなことはありません。
高成長が続くと市場参加者が判断して株価が形成された結果、副次的に高PBRとなっているわけです。したがって、成長率が今までの予想より鈍化すると市場参加者が判断した場合、その鈍化後の成長率に基づいた適正なレベルになるまで株価が下落し、それに伴ってPBRも低下します。
ただし、足元でついている株価が、高い成長率が適切に反映された妥当な水準なのか、それとも割高なのかどうか、個人投資家が適切に判断するのは非常に困難です。
プロ投資家が高成長株の成長鈍化を察知したら、株価は下落を始めます。私たち個人投資家は、上昇トレンドだった株価が下降トレンドに転じるタイミングで、保有株を売却すればよいと思います。
最後に、これまでのご説明を踏まえ、高PBR銘柄について注意するべき点をまとめておきます。
特に将来の高成長が期待されている高PBR銘柄については、高PBRを気にせずに他の要素(将来の利益の見込みや株価のトレンドなど)を重視して売買をすればよい、というのが結論です。
Facebookページを開設しました。コラムやブログ更新のお知らせ、セミナーのご案内の他、話題の資産運用関連や相続関連のニュースに対する筆者のコメントなども記載しております。ブログと合わせてぜひご覧いただき「いいね!」を押していただければ幸いです。
本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。
足立武志
知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識
株式投資がうまくいかない、という個人投資家の皆様へ。実践をベースにした「すぐに役立つ真の基礎知識」は、お客様の株式投資戦略に新たなヒントを提供。負けない、失敗しないためにはどのように行動すべきか、これから「株式投資」を始めようと考えている方、必見です。
株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。
〔ゼロコース(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。
かぶミニ®(単元未満株の店頭取引)は、当社が自己で直接の相手方となり市場外で売買を成立させます。そのため、取引価格は買付時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を上乗せした価格、売却時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を差し引いた価格となります(1円未満の端数がある場合、買付時は整数値に切り上げ、売却時は切り捨て)。なお、適用されるスプレッドは当社ウェブサイトにて開示していますが、相場環境の急変等により変動する場合があります。
(貸株サービスのみ)
(貸株サービス・信用貸株共通)