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2015年1月14日

第四章 株価指数と運用会社について

株価指数の起源

現在アメリカの投資家に愛用されている株価指数で、最古のものは1896年に作られたダウ工業株価平均指数です。

ダウ工業株価平均指数はウォールストリート・ジャーナルを発行しているダウ・ジョーンズ社が保有しており、チャールズ・ヘンリー・ダウによって考案されました。

略して「ダウ30」と呼ばれる同指数は、アメリカを代表する30の銘柄の株価を単純に足し上げることによって計算されます。

このような単純平均の問題点は、その指数に採用されている企業が2:1の株式分割を発表すると株価が半分になってしまう点です。(=その場合、発行済み株式数は逆に2倍になります)

すると指数自体もギャップを開けながら下がってしまいます。そこでそのような技術的な要因による不自然な指数の変動を避けるため、除数とよばれる調整比率を使うことで指数の一貫性を持たせることが始められました。

なおダウ工業株価平均指数の構成銘柄はその時々の有力企業の変遷に応じてどんどん入れ替わっています。

1957年になると格付け機関、スタンダード&プアーズが米国を代表する500社から成る、スタンダード&プアーズ(S&P)500指数を発表しました。

S&P500指数がダウ工業株価平均指数に比べて好ましい理由は二点あります。

まず指数を構成する銘柄が500と多いため、米国の株式市場全体の様子をより正確に反映することが出来る点です。

次にS&P500指数は時価総額加重指数となっている点です。それは株式市場における、ある企業の本当の重要性を反映しやすいという利点があります。

たとえばダウ工業株価平均指数では単純株価が一番大きいビザ(ティッカーシンボル:V)、ゴールドマン・サックス(GS)などの銘柄の株価変動が指数を大きく左右します。

このような理由からこんにち機関投資家が運用のベンチマークとして採用するのはS&P500指数が多いです。

ダウ・ジョーンズ、スタンダード&プアーズの他に有名な株価指数としてラッセル、MSCI、FTSEなどがあります。

ラッセルは1936年にフランク・ラッセルによって創業された証券会社で、1960年から運用のビジネスに参入しました。1980年に同社はラッセル3000指数を開発します。ラッセル3000指数は米国で取引されている株の98%を網羅する指数です。その後、大型株だけを含むラッセル1000指数と、残りの小型株だけにフォーカスしたラッセル2000指数が開発されました。現在、ラッセル2000指数はアメリカの代表的な小型株指数として親しまれています。

MSCIはもともと1969年に西海岸の投信会社、キャピタル・インターナショナルが作り出したキャピタル・インターナショナル・パースペクティブと呼ばれる指数ですが、1986年に当時国際化が進みつつあったことを反映し、モルガンスタンレーと共同して世界中の株式市場を、投資可能なフリー・フロート(=自由に市場で取引されている株)を基準に指数化したMSCI指数を編み出します。このMSCIは世界中の株式市場を統一的な基準で指数化したので年金をはじめとした機関投資家のベンチマークとして極めて優れていました。その後、MSCIは親会社であるキャピタル、ならびにモルガンスタンレーから独立しました。

FTSEは英国の経済紙、フィナンシャル・タイムズが1984年に作ったFTSE100指数を管理運営している企業です。

インデックスファンドの起源

インデックスファンドとは上に述べたような株価指数に連動することを目的として設計された投資信託を指します。(ETFも、その大部分はインデックスファンドです)

インデックスファンドとは株価指数に連動することを目的として設計された投資信託を指す

1965年にマサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学者、ポール・サミュエルソンが「ある株の内在価値は、そのとき株式市場で付いている株価以外の何物でもない」と主張する論文を発表しました。

同じく1965年にシカゴ大学の博士課程で学んでいたユージーン・ファマが「株価は絶えずその時に知りうる最新の情報を織り込んでいる」とする、効率的市場仮説を発表します。

これらの研究者の功績に基づき、1971年にウエルズファーゴ銀行のジョン・マクオウン、ウイリアム・ファウス、ジェームズ・ヴァーティンの三人が株価指数をなぞる最初の年金ファンドを設計しました。このファンドはニューヨーク証券取引所に上場されている1,500銘柄を等分加重した指数をなぞるように設計されました。

しかしこのファンドは1,500銘柄を等分加重するという設計が内包する致命的欠陥のために失敗します。なぜなら指数を構成する個々の銘柄の株価が変動するたびに等分加重された同指数と、ファンドが保有しているポートフォリオの価値が乖離してしまい、絶え間ないリバランスの必要から売買コストが嵩んでしまったからです。

そこでウエルズファーゴ銀行は1973年に今度はS&P500指数をなぞるように設計されたクローズド(会社)型投資信託を発表します。これがインデックスファンドの最初の成功例です。

同じ年、プリンストン大学のバートン・マルキールが『ウォール街のランダムウォーカー』という著書の中で、それまでに色々な人によって試みられた効率的市場仮説の主張をまとめ、個人投資家が簡単に投資できるインデックスファンドの組成を主張しました。

このような時代の流れを受け、1975年になるとジョン・ボグルがバンガード・グループを起業し、最初の個人投資家向けインデックスファンドの販売を始めます。

インデックスファンドはアクティブファンドより優れている

インデックスファンドはアクティブファンドより優れています。スタンダード&プアーズの調査では2007年3月末に〆た過去5年間の調査では、大型株に投資するアクティブファンドの72%がS&P500指数に勝てませんでした。つまりそもそもパフォーマンスでアクティブ運用はインデックスファンドに勝てていないのです。

インデックスファンドは単に株価指数をなぞるように設計されている関係で、ファンドマネージャーを必要としません。

銘柄入れ替えの売買が少ないため、ファンドの運営コストが安いです。

それは実現益を沢山出してしまうことを抑えることにもつながるので、税金面でも効率的です。

株価指数をなぞるように設計されている関係で、運用には透明性があります。

また幅広いマーケットを代表する株価指数をベンチマークとしているインデックスファンドの場合、分散効果を得ることが出来ます。

これらの事からアクティブ運用の投信を買うより、インデックスファンドに投資する方が殆どの場合有利だと考えています。

インデックスファンドに出来ないこと

それを断った上でインデックスファンドに出来ないことに関しても投資家は注意を払う必要があると思います。

まずインデックスファンドは株価指数を忠実になぞるように設計されている関係で、マーケットそのものが下がった時は、損から逃げることは出来ないという点です。

実際、1990年以降の日本の株式市場は長期下降トレンドを辿ってきました。すると株価指数も下がるわけですから、当然、インデックスファンドを買っていても損が出るわけです。

つまり長期下落相場では、インデックスファンドは「効率よくお金を損することが出来る投資機会」以外の何物でもないのです。

別の言い方をすれば、インデックスファンドに投資する場合でも、そもそも市場全体の投資環境が良いか、悪いか? の判断から個人投資家は逃れることは出来ないということです。

ところがインデックスファンドを好む投資家ほど、経済や企業の動向に無頓着で、構造的かつ深刻な、マーケットにとってのアゲンストの風が吹いている状況を無視する傾向があります。

インデックスファンドの投資家が、思うようなリターンを得られていない理由は、インデックスファンドの商品設計が悪いからではありません。

むしろ本来すぐれもの商品であるはずのインデックスファンドという商品がもつ限界、その特性をきちんと理解していない、投資家のリテラシーの欠如が投資リターンを蝕んでいるのです。

繰り返し言うと、インデックスファンドは優れたツール(道具)です。しかし道具は、それを使う人の能力以上の力は発揮できないのです。だから「インデックスファンドを買っておけば、投資の勉強をする必要から解放される」と考えるのは間違いです。

運用会社の変遷

さて、最初のインデックスファンドはウエルズファーゴ銀行によって作られ、インデックスファンドを個人投資家に販売する最初の投信会社はバンガード・グループだったことは上で説明しました。

その後、ウエルズファーゴのインデックスファンド部門はバークレイズに売却され、さらにバークレイズのインデックスファンド部門はブラックロックに売却されました。従って現在世界最大のETFとなっているブラックロックのiシェアーズのルーツはウエルズファーゴに遡るわけです。

これに対してバンガード・グループはM&Aによらず一貫した経営で知られています。その社風は質素を最も重要視しており、業界で最もロー・コストに徹しています。

最初のETFを考案したステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズはボストンの老舗銀行、ステート・ストリートの運用部門です。ステート・ストリートはカストディアン業務を通じて早くから証券・運用のビジネスに手を染めており、ボストンに集まっている様々な投信・運用会社のバックボーン的な存在でした。同社の得意とするインデックス運用は、そのような背景から生まれたと言えます。

パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1を運用しているパワーシェアーズは2002年に創業された比較的新しい会社ですが、2006年にインベスコに買収され、現在はインベスコのETFのブランドとなっています。

本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。

広瀬隆雄

「海外ETFデビュー講座」

このシリーズは(経済の勉強を兼ねて、株式投資に挑戦してみようかな?)と考えている初心者のために書き下ろしました。執筆するにあたり、わかりやすく、すぐに役に立ち、身近に感じられることに特に留意したいと思います。その分、全てを網羅(もうら)できない面があるかも知れませんが、それはご容赦ください。

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外国株式のリスクと費用について

外国株式等の取引にかかるリスク

外国株式等は、株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。また、為替相場の変動等により損失(為替差損)が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等により、損失が生じるおそれがあります。

レバレッジ型、インバース型ETF及びETNのお取引にあたっての留意点

上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。

  • レバレッジ型、インバース型のETF及びETNの価額の上昇率・下落率は、2営業日以上の期間の場合、同期間の原指数の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じたものとは通常一致せず、それが長期にわたり継続することにより、期待した投資成果が得られないおそれがあります。
  • 上記の理由から、レバレッジ型、インバース型のETF及びETNは、中長期間的な投資の目的に適合しない場合があります。
  • レバレッジ型、インバース型のETF及びETNは、投資対象物や投資手法により銘柄固有のリスクが存在する場合があります。詳しくは別途銘柄ごとに作成された資料等でご確認いただく、またはコールセンターにてお尋ねください。

※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。

米国株式の信用取引にかかるリスク

米国株式信用取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。米国株式信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。また、米国株式信用取引は外貨建てで行う取引であることから、米国株式信用取引による損益は外貨で発生します。そのため、お客様の指示により外貨を円貨に交換する際の為替相場の状況によって為替差損が生じるおそれがあります。

外国株式等の取引にかかる費用

〔現物取引〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
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米国株式 約定代金の0.495%(税込)・最低手数料:0米ドル・上限手数料:22米ドル(税込)
中国株式 約定代金の0.275%(税込)・最低手数料:550円(税込)・上限手数料:5,500円(税込)
アセアン株式 約定代金の1.10%(税込)・最低手数料:550円(税込)・手数料上限なし
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〔米国株式信用取引〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引手数料
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※売却時(信用取引の場合、新規売建/売返済時)は上記の手数料に加え、別途SEC Fee(米国現地取引所手数料)がかかります。詳しくは当社ウェブページ上でご確認ください。

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〔米国株式信用取引(米国株大口優遇)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0米ドルです。

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