特化型ETFとはS&P500指数に代表される主要株価指数をなぞること通じて広く市場全体の動きに投資するタイプのETFを除いた、その他一切のETFを指します。具体的にはセクターETF、債券ETF、不動産ETF、カントリーETF、コモディティETFなどになります。
特化型ETFはその特徴からポートフォリオの中核に据えるのは不適切です。あくまでも補助的な使い方をすべきだと思います。その理由は1)往々にして費用比率が高い、2)それだけでは十分な分散が得られない、3)ETFの値動きが荒っぽいなどによります。
特化型ETFはポートフォリオの中核には成り得ない
このように特化型ETFの使い道は限られているのですが、工夫すればいろいろ有効な利用の仕方ができると思います。
特に債券、不動産、コモディティなどは株式とは違うため、単にセクター分散や国際分散投資をする以上のアセットクラスの分散を可能にします。
選び方のポイントとしては出来高が少ないETFを避けるという点です。
出来高が少ないETFはNAVとETF価格の乖離が大きいまま放置されるリスクがありますし、そもそもビットとアスクのスプレッドが広く、思い通りの値段でトレードできないリスクがあるからです。また市場環境の急変などの突発的な事が起こった際も、そのようなETFはこっ酷く売られるリスクがあります。
セクターETFは特定の業種だけに投資する際に用いられます。ETFによって、アメリカのセクターだけに投資するETFと、グローバルのセクターに投資するETFがあります。
アメリカのセクターだけに投資するETFとしてはステートストリートのセクターSPDRファンドが有名です。
銘柄名 | コード | 費用比率 |
---|---|---|
一般消費財セレクト・セクターSPDRファンド | XLY | 0.17% |
生活必需品セレクト・セクターSPDRファンド | XLP | 0.17% |
エネルギー・セレクト・セクターSPDRファンド | XLE | 0.17% |
金融セレクト・セクターSPDRファンド | XLF | 0.17% |
ヘルスケア・セレクト・セクターSPDRファンド | XLV | 0.17% |
資本財セレクト・セクターSPDRファンド | XLI | 0.17% |
素材セレクト・セクターSPDRファンド | XLB | 0.17% |
テクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンド | XLK | 0.17% |
公共事業セレクト・セクターSPDRファンド | XLU | 0.17% |
一方アメリカだけでなく世界のセクターに投資できるETFはブラックロックが出しています。
銘柄名 | コード | 費用比率 |
---|---|---|
iシェアーズ・グローバル一般消費財ETF | RXI | 0.48% |
iシェアーズ・グローバル・エネルギーETF | IXC | 0.48% |
iシェアーズ・グローバル金融ETF | IXG | 0.48% |
iシェアーズ・グローバル・ヘルスケアETF | IXJ | 0.48% |
iシェアーズ・グローバル資本財ETF | EXI | 0.48% |
iシェアーズ・グローバル素材ETF | MXI | 0.48% |
iシェアーズ・グローバル・テクノロジーETF | IXN | 0.48% |
iシェアーズ・グローバル公益事業ETF | JXI | 0.48% |
iシェアーズ・グローバル電気通信ETF | IXP | 0.48% |
なぜセクター別のETFが存在するか? というと、景気の局面に応じてその時々で人気化するセクターが変遷してゆくことが知られているからです。
一例として景気が悪くなりつつあるときはヘルスケアや生活必需品などが相対的に良いパフォーマンスを示すことが知られています。セクターETFは、そのようなメリハリをつけた投資を可能にするわけです。
債券ETFは文字通り債券に投資するETFです。代表的なものには下のような債券ETFがあります。
銘柄名 | コード | 費用比率 |
---|---|---|
バンガード米国トータル債券市場ETF | BND | 0.08% |
iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF | AGG | 0.08% |
iシェアーズiBoxx米ドル建て投資適格社債ETF | LQD | 0.15% |
iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF | HYG | 0.50% |
iシェアーズ米国物価連動国債ETF | TIP | 0.20% |
iシェアーズ米国クレジット債券1-3年ETF | CSJ | 0.20% |
SPDRバークレイズ・ハイイールド債券ETF | JNK | 0.40% |
一般に社債のETFは景気拡大局面では国債のETFよりパフォーマンスが良いですが、逆に景気見通しが不透明なときは国債のETFの方が選好される傾向があります。
ハイイールド社債のETFには大企業以外の信用力に劣る企業の出す社債が組み込まれています。経営環境が不透明な局面ではそのような企業はデフォルト・リスクが高まると考えられるため、アンダー・パフォームしやすいです。
代表的な不動産ETFには次のような銘柄があります。
銘柄名 | コード | 費用比率 |
---|---|---|
iシェアーズ米国不動産ETF | IYR | 0.45% |
SPDRダウ・ジョーンズREIT ETF | RWR | 0.25% |
SPDRダウ・ジョーンズ・インターナショナル・リアルエステートETF | RWX | 0.59% |
iシェアーズ先進国<除く米国>REIT ETF | IFGL | 0.48% |
REITは集合住宅やショッピングモール、さらに倉庫などの家賃収入を生む不動産物件に小口から分散投資できる仕組みです。
家賃収入の大部分を投資家にペイアウトすることが制度上決められているため、高い利回りになりやすいです。
そういう良い点がある反面、家賃収入の大部分を投資家にすぐ還元するということは留保を積み上げられないことを意味し、景気後退局面で空室や家賃の滞納が起こると、それに対する備えがぜい弱になるリスクもあります。
コモディティETFは原油や金などのコモディティに投資できるETFです。代表的な銘柄は下の通りです。
銘柄名 | コード | 費用比率 |
---|---|---|
SPDRゴールドシェア | GLD | 0.40% |
iシェアーズ・ゴールド・トラスト | IAU | 0.25% |
iシェアーズ・シルバー・トラスト | SLV | 0.50% |
パワーシェアーズDBコモディティ・インデックス・トラッキング・ファンド | DBC | 0.87% |
パワーシェアーズDBアグリカルチャー・ファンド | DBA | 0.94% |
iシェアーズS&P GSCIコモディティ・インデックス・トラスト | GSG | 0.75% |
このうちSPDRゴールドシェアは金に投資するETFとして草分け的存在であり、このETFから初めてETF投資を開始したという投資家も多いです。
その理由は金の延べ棒は保管する場所に困るため、ETFのように証券口座で買える投資商品で金価格の値動きに投資できてしまうというのは極めて画期的な事だったからです。
iシェアーズ・シルバー・トラストは銀価格に投資できるETFです。これもポピュラーなETFです。
パワーシェアーズDBコモディティ・インデックス・トラッキング・ファンドはコモディティ全般に投資できるETFです。ヒーティング・オイル(組み入れ比率11.32%)、ブレント原油(11.21%)、ライト・クルード(11.05%)、ゴールド(9%)、小麦(6.86%)、とうもろこし(6.21%)、大豆(6.20%)などが組み込まれています。
パワーシェアーズBDアグリカルチャー・ファンドは農産物だけのETFです。
本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。
広瀬隆雄
「海外ETFデビュー講座」
このシリーズは(経済の勉強を兼ねて、株式投資に挑戦してみようかな?)と考えている初心者のために書き下ろしました。執筆するにあたり、わかりやすく、すぐに役に立ち、身近に感じられることに特に留意したいと思います。その分、全てを網羅(もうら)できない面があるかも知れませんが、それはご容赦ください。
外国株式等は、株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。また、為替相場の変動等により損失(為替差損)が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等により、損失が生じるおそれがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
米国株式信用取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。米国株式信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。また、米国株式信用取引は外貨建てで行う取引であることから、米国株式信用取引による損益は外貨で発生します。そのため、お客様の指示により外貨を円貨に交換する際の為替相場の状況によって為替差損が生じるおそれがあります。
〔現物取引〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引手数料
米国株式 約定代金の0.495%(税込)・最低手数料:0米ドル・上限手数料:22米ドル(税込)
中国株式 約定代金の0.275%(税込)・最低手数料:550円(税込)・上限手数料:5,500円(税込)
アセアン株式 約定代金の1.10%(税込)・最低手数料:550円(税込)・手数料上限なし
※当社が別途指定する銘柄の買付手数料は無料です。
※米国株式の売却時は上記の手数料に加え、別途SEC Fee(米国現地取引所手数料)がかかります。詳しくは当社ウェブページ上でご確認ください。
※中国株式・アセアン株式につきましては、カスタマーサービスセンターのオペレーター取次ぎの場合、通常の取引手数料に2,200円(税込)が追加されます。
〔米国株式信用取引〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引手数料
約定代金の0.33%(税込)・最低手数料:0米ドル・上限手数料:16.5米ドル(税込)
※当社が別途指定する銘柄の新規買建または買返済時の取引手数料は無料です。
※売却時(信用取引の場合、新規売建/売返済時)は上記の手数料に加え、別途SEC Fee(米国現地取引所手数料)がかかります。詳しくは当社ウェブページ上でご確認ください。
米国株大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。米国株大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔米国株式信用取引(米国株大口優遇)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0米ドルです。