前回は「逆日歩(ぎゃくひぶ)」が発生するしくみについて見てきました。おさらいになりますが、逆日歩の発生は、証券金融会社が「株不足(貸株>融資)」を解消するために行う入札によって決まります。取引時点で逆日歩が発生するのか、金額がいくらになるのかがわからないのは、その入札が翌日に行われるためです。
言うまでもなく、逆日歩は売り方にとって「厄介な」存在ですが、ポイントは株不足の解消であることを踏まえると、株券の調達のしやすさも逆日歩の発生を左右するのではないかと考えることができます。確かにその通りで、発行済み株式数が少ない銘柄に逆日歩が発生しやすい傾向があるようです。そのため、売り建てをする前には、その銘柄の発行済み株式数や貸株残高をチェックするだけでも思わぬ逆日歩を避けられる可能性は高まります。
さらに、「逆日歩0円」となった銘柄は、株不足によって入札自体は行われたわけですから、逆日歩が今後発生する可能性が通常よりも高くなっているのでないかと考えることもできそうです。ちなみに、日証金(日本証券金融)のHPでは、直近5営業日の逆日歩や貸株・融資残高の状況を銘柄コードで検索することができるので便利です。
さて、これまで繰り返し「逆日歩は思わぬコスト」と説明してきましたが、では実際にどのくらいの負担になるのでしょうか?簡単な例でざっくりイメージを掴んでみましょう。例えば、銘柄Aを株価200円で2,000株売り建てをしたとします。取引金額は40万円(200円×2,000株)です。この銘柄Aが株不足となり、翌日に逆日歩の入札が行われることになりました。
逆日歩の入札ですが、株価と取引単位株数に応じて、「いくらで入札されるのか?」の金額の範囲が決められています。かなり細かく分けられているため、ここでの説明は省きますが、今回の例の場合、0.05円(5銭)刻みで入札を受け付け、1円が上限(最高料率といいます)になります。ですので、逆日歩は0円~1円の範囲で決まります。
この逆日歩の金額は1株あたりですので、売り建てている2,000株を掛けた金額が実際のコスト負担になります。0.05円(5銭)で決まれば100円、0.25円(25銭)であれば500円、0.5円(50銭)ならば1,000円、1円だと2,000円といった具合です。今回の例では、逆日歩が発生した際、100円から2,000円の範囲が金額の目安になります。さすがに2,000円となるとかなりキツい負担です。100円程度であればさほど大きな負担ではないものの、連続して逆日歩が発生すれば「チリツモ」で負担が増えてきます。
また、状況によっては逆日歩の上限である最高料率が2倍、4倍と引き上げられてしまうケースがあります。配当などの権利確定日前のタイミングをはじめ、貸株注意喚起銘柄指定や、売り建て停止措置などの規制がかけられている銘柄などが該当します。
さらに、想定以上に株券の調達が困難な場合には臨時措置として10倍に引き上げられることもあります。仮に、先ほどの例で最高料率が10倍に引き上げられた場合、上限が1円から10円に一気に拡大するため、10円×2,000株=2万円の高額な逆日歩も有り得ることになります。ただし、こちらはかなり珍しいケースです。
最後は不安ばかり煽ってしまいましたが、最高料率が引き上げられたからといって、実際の入札では普通に安い価格で逆日歩が決まることも多く、最高料率の引き上げ自体が必ずしも高額の逆日歩を確定するわけではありません。もちろん警戒は必要ですが、よほど売買が偏っている銘柄でない限りは、過度に心配する必要はないと言えます。
本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。
土信田雅之
信用取引入門講座
信用取引という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。ただし、その割には意外と「近くて遠い」存在であるのも事実です。このシリーズでは、「そもそも信用取引とは何なの?」という初歩の初歩から、一歩進んだ活用法までを毎回テーマを決めて解説していきます。
株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。
〔ゼロコース(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。
かぶミニ®(単元未満株の店頭取引)は、当社が自己で直接の相手方となり市場外で売買を成立させます。そのため、取引価格は買付時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を上乗せした価格、売却時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を差し引いた価格となります(1円未満の端数がある場合、買付時は整数値に切り上げ、売却時は切り捨て)。なお、適用されるスプレッドは当社ウェブサイトにて開示していますが、相場環境の急変等により変動する場合があります。
(貸株サービスのみ)
(貸株サービス・信用貸株共通)