先週の予測では、多くのイベントを控え高値圏での一進一退の動きとなって、15,000円を下値に日柄整理を想定しました。その場合、日経平均が一服しても中小型株が買われ循環物色が続くとしました。
結果的には、6月30日(月)に15,052円と再度25日移動平均線(30日時点15,051円)を試した後、戻りに入り、その後はアメリカ株式の上昇からのドル買い・円売りを受けて戻り高値を更新する動きとなりました。27日(金)と30日(月)の15,000円近辺までの下げで短期の過熱感が多少後退したことや月末のドレッシング買いや、月初めは年金資金とみられる買いで、7月2日(水)には5月23日のザラ場高値15,442円を上回る15,444円まで上昇しました。ここでダブル天井の形となったことで、目先は想定した日柄整理かと思われましたが、3日(木)のアメリカの雇用統計で非農業部門の雇用者数が前月比28.8万人増と予想の21.5万人を大きく上回り、失業率は6.1%(予想6.3%)と6年ぶりの低水準となったことで、NYダウは史上初の17,000ドル台のせとなり、ドルが買われて102円台の円安進行となり、4日(金)の日経平均は15,490円まで買われて△88円の15,437円で引けました。1日(火)の注目の日銀短観は、大企業製造業がプラス12(前回の3月プラス17)と予想よりも悪化しましたが、2014年度大企業製造業における設備投資計画が8年ぶりの伸び率を示したことで、企業の前向きな姿勢が確認されたことになりますので、今後相場の下支えとなるものと思われます。
今週は、週末のSQ意外には大きなイベントが無く、高値圏でのもみあいが想定されます。上値を押さえる要因としては、先週末の4日(金)に15,490円の戻り高値更新となって△88円の15,437円で引け、15,500円水準から上は、昨年出来高・売買代金が急増しているところですので、現在の売買代金が2兆円を割ることが多い状況では利益確定売りに押されることになります。例えば、昨年5月22日の高値15,627円(ザラ場高値23日の15,942円)をつけた時の売買代金は5兆8,376億円であり、この近辺の1日の売買代金は4兆4,000億円と高水準となっています。12月30日に16,320円の高値更新とする過程で利益確定されてしまっていれば別ですが、塩漬けしたまま大量に残っていれば「やれやれ売り」で利益確定売りに押されるということです。又、騰落レシオもピークから低下したといっても、4日時点で143%と依然過熱感状態にあります。目先は、上値ポイントは昨年5月22日の終値15,627円、その上が今年の1月23日の窓埋め15,695円となります。市場ボリュームが増加しなければ、ここまでは多少時間がかかることになります。
下値を試す要因としては、アメリカ株式の高値警戒感からの何かのきっかけで下落する場合や、イラク・ウクライナ問題の悪化から為替がリスク回避の円買いで円高となることです。よほどの悪材料が出ない限り、現時点では25日移動平均線(4日時点15,169円)が下値の目処となりそうです。先週の日銀短観は、やや予想を下回ったものの大企業製造業の2014年度設備投資計画が8年ぶりの高い伸びを示したことで相場の下支えとなります。
日本市場を取り巻く相場環境としては、地政学的リスクを除くと、アメリカの高値警戒感はあるもののアメリカの4-6月期の決算予想は6%の増益(500社平均予想)、FRBの金融政策は今のところ低金利の継続、国内では心配された小売業の業績も好調、GPIFの運用枠の拡大(12%から20%まで引き上げるとの見方)、欧州は金融緩和の方向に進んでいるなど、好材料ばかりとなっています。このまま一服しながら上昇してくことも考えられますが、好材料ばかりになったところで大きな下落が生まれるというのが過去の経験則ですので、このことを念頭におきながら売買することが必要です。但し、中長期上昇トレンドは変わりありませんので、急落する場面があれば買いとなります。それを前提とすれば、押し目買いをする場合は急落する場面も想定して2回に分けて買うのがいいと思われます。
以上を考えると、今週は高値を更新しても上値は重く、下値は限定的で15,200~15,500円台の動きが想定され、現状の相場環境のままであればこのもみあいの後、上値を試すことになりそうです。本日7日(月)は、前場は15,477円まで上昇した後は先週末の終値を挟んだもみあいとなっていましたが、後場になるとやや下げ幅を拡大し▼57の15,379円で引けました。市場ボリュームは先週末より一段と細っています。
先週の予測では、6月27日(金)に15,027円と、この日の時点での25日移動平均線(15,033円)の乖離幅を一気に埋めたことでスピード調整になる可能性があるとしました。但し、成長戦略も閣議決定されて目先材料出尽くしで上値は重く、下値では年金の買いで下値は限定的としました。
結局、下値は30日(月)にも25日移動平均線を確認し、7月1日(火)は主力大型株中心に全面高となって△164円の15,326円と予想外の上昇となりました。上値は5月23日の高値15,442円が意識され、2日(水)に15,444円まで上がって、3日(木)は一服となっていました。しかし、引け後のアメリカの雇用統計が予想を大きく上回り、NYダウが17,000ドル台のせとなってドル買いとなったことで、4日(金)は15,490円まで買われましたが終値では△88円の15,437円でした。
今週は、週末11日(金)のSQを除くと大きなイベントはなく、高値圏のもみあいとなりそうです。先週の日銀短観は予想をやや下回ったものの、2014年の設備投資計画が8年ぶりの高い伸びを示し、アメリカ雇用統計も予想を上回ったことで下値不安は小さいといえます。但し、上値では7月4日の15,490円と5カ月ぶりに高値をつけたことや15,000円台からは過去出来高が多いところであり、今の売買代金が2兆円を下回ることが多い状況では、利益確定売りに押されそうです。
週明け7日(月)は、先週末のアメリカ市場が独立記念日で休場だったことで手掛かり材料に欠け、前場は先週末4日(金)の終値を挟んだもみあいとなりましたが、後場になると主力株の一角が利益確定売り優勢となりやや下げ幅を拡大して、▼57円の15,379円で引けました。
先週の予測では、引き続き高値圏でのもみあいが続いて、3日(木)の6月雇用統計に注目としました。
7月1日(火)は中国の製造業PMIが好感されて△129ドルの16,956ドルと史上最高値を更新し、3日(木)は、雇用統計が予想を大きく上回り失業率も6.1%と6年ぶりの低水準となったことで、△92ドルの17,068ドルと初めて17,000ドル台のせとなりました。
今週は、先週の6月雇用統計が予想を上回ったことで8日(火)のアルミ大手アルコアをスタートとする4-6月期決算に期待がもてるでしょう。結果がよければ過去最高値更新を試す展開も想定されます。但し、予想を上回った雇用統計はFRBによる利上げの前倒し観測にもつながり、利上げ時期を巡る要人の発言に相場が左右されることになると思われます。9日(水)のFOMC議事録の公開は注目となります。
先週は、地政学的リスクから円買い圧力は強いものの、雇用統計などのアメリカの経済指標が好調であればドルが買い直されてくると予測し、100.5~102.5円のレンジを想定しました。
6月30日(月)に101.24円まで円が買われましたが、その後アメリカ株式が高値を更新する動きとなってドルがやや買い戻され、3日(木)は6月雇用統計が予想を大きく上回ったことでドルの買い戻しが加速し、102.27円まで円安が進みました。
先週は、日銀短観や6月のアメリカ雇用統計など大きなイベントが相次ぎましたが、今週は相場を大きく動かすような材料が乏しく、102円近辺でのもみ合いとなりそうです。101.5~102.5円の狭いレンジを想定。
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出島昇
柴田罫線実践教室
株式会社オルタナレッジ「柴田罫線」で分析した提供レポートです。「柴田罫線」というテクニカル分析をベースに、株式相場の分析をおこなってまいります。
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