先週の予測では、海外市場が堅調で為替も円安基調が続き、地政学的リスクが和らいだままであれば15,500~15,700円のもみあいが想定されるとしました。しかし、週初めこそ前週からのリバウンド相場の継続で15,660円にのせるものの、円安が一服すると利益確定売りに押され15,500円を割り込み、週末の29日(金)はロシア部隊がウクライナ東部のドネツクに侵入したことを受けて地政学的リスクが再燃し、NYダウが反落して為替も103円台半ばまで円高進行となったことで、日経平均は一時15,356円と25日移動平均線(29日15,392円)を下回り、終値は▼35円の15,424円でした。
前週までは市場ボリュームが低水準の中、海外株高にサヤ寄せする形でギャップアップする相場が続き、1日の値動きは100円以下という力のない指数だけ上昇する相場でしたので、9連動が終わると目先は調整気味になっていると考えられます。
市場ボリュームがない中の上昇でしたので、もともと相場に勢いがあるわけではなく、日銀によるETFの買い付けや年金資金の買いが相場を支えている状況ですが、背景にはアベノミクス相場による日本の景気の回復への期待というものがありました。ところが、7月の消費動向が冴えない結果となってきています。4月に消費税を上げた直後の大きな落ち込みから持ち直してきたところで、台風や大雨などの天候不順が消費を冷やして、景気回復に足踏み感が出ています。
先週は、為替が104円台の円安を回復したにもかかわらず、輸出関連の反応が鈍くなっており、外国人がアベノミクス相場による日本景気の回復に様子見となっていることが考えられます。そのため、9月3日の内閣改造と党役員人事の発表を受けてのアベノミクス第2幕の期待が高まるかどうか注目するところです。
今週は、内閣改造と党役員人事にインパクトがなければ、先週に引き続き上値の重い展開が想定されます。商いが低調な中で景気の先行き不安が出てきており、ウクライナ情勢の緊迫化から地政学的リスクが再び台頭し、又欧州中央銀行が4日(木)の理事会で追加の金融緩和に踏み切る観測からユーロに対して円高が進み、主力の輸出関連株は動きにくい状況が続きます。下値は、25日移動平均線(9月1日15,395円)を下回ると13週移動平均線(8月29日15,267円)が次の下値ポイントとなります。9月中にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用方針見直しの発表があるため、下値は限定的と考えられます。9月に上昇すればわかりやすい当面の天井をとる動きとなりますが、このまま高値もみあいが続けば、いったん下落して10月のどこかで安値をつけて再上昇ということも考えられます。
本日9月1日(月)は小幅反発で始まり、上値は限定的ながら値上がり銘柄数は多くなっていますが、薄商いのなか方向感のない動きとなって△52円の15,476円で引けました。25日移動平均線が今のところ下値抵抗ラインとして意識されていますが、この25日移動平均線が横向きになってきており、このまま上昇せずにもみあえば強い抵抗ラインとなりにくくなるでしょう。
先週の予測では、為替の円安基調と海外市場が堅調で地政学的リスクが和らいでいれば、まずは15,700円台を目指す動きを想定しました。
週初めの25日(月)は、為替が104円台の円安となっていたことで△74円の15,613円と15,600円台を回復しました。しかし、その後は円安が一服し材料不足による利益確定売り優勢となって28日(木)には▼74円の15,459円と15,500円を割り込み、週末の29日(金)はウクライナ情勢が緊迫化したことで▼35円の15,424円の続落となりました。結局、先週は想定とは逆に円安一服と地政学的リスクで軟調な展開でした。
今週も引き続き上値の重い展開が想定されます。先週初めまでは薄商いの中を海外株高に連動して順調に戻りを試し15,600円台のせとなりましたが、この水準で円安一服と海外株高の一服で軟調な展開となりました。為替に関しては、9月4日にECB理事会で追加の金融緩和が実施されるとユーロに対して円高が進み、輸出関連株の重荷となります。又、消費増税後に落ち込んだ個人消費の回復が鈍い結果となっており、地政学的リスクが高まれば25日移動平均線(29日15,397円)を下回って13週移動平均線(8月29日15,267円)を試す動きも想定されます。内閣改造にインパクトがあれば多少上値を試すことも期待できますが、そうでなければ15,400~15,500円台でのもみあいとなりそうです。
週明け9月1日(月)は小幅反発し、値上がり銘柄数は多いものの商いは低調で方向感に欠け、△52円の15,476円で引けました。
先週の予測では、9月1日(月)がレイバーデーで3連休となるため夏季休暇中ということもあって閑散相場となり、17,000ドルを回復した後は地政学的リスクへの懸念が残っているため、高値圏でのもみあいになるとしました。
週前半は、経済指標を好感し上値を試す形となって26日(火)には17,153ドルと7月17日のザラ場での史上最高値17,151ドルを更新しましたが、週後半の28日(木)にはロシア部隊がウクライナに侵入したことを受けて地政学的リスクが高まって17,018ドルまで下げる場面がありましたが、経済指標の好調さに支えられて▼42ドルの17,079ドルと下げ幅を縮小し、週末の29日(金)は△18ドルの17,098ドルで引けました。今年最低水準の薄商いが続きました。
今週は、9月1日(月)のレイバーデーの休日明け後は、投資家や市場関係者が復帰することで出来高の増加は期待できるものの、先週末にウクライナ情勢が緊迫化してきたことで上値の重い展開が続くことになりそうです。今週は特に5日(金)の雇用統計が注目となり、予想を大きく上回る場合は早期利上げ観測が高まり株式にとってはマイナスとなります。
先週の予測では、アメリカの経済指標の好調さが続いており、景気回復期待から金利が上昇し、ドル買い・円売りの流れとなりやすいとしました。引け値で104.2円を上回ってくれば一段の円安も期待できますが、この水準はドルの利益確定売りも出やすく、103~104.5円のレンジを想定しました。
結果的に、週初めはロシアとウクライナの首脳会議で紛争の早期終結期待が高まり、リスク回避の円買いが後退してドルが買われ1ドル=104.49円をつけました。しかし、その後28日(木)にロシア部隊がウクライナへ侵入したことを受けて地政学的リスクが高まって103.56円まで円が買われました。週末の29日(金)はアメリカの好調な経済指標を受けてドルが買われ104.10円で引けました。
今週は、国内外の金融政策を睨んだ展開となりそうです。4日(木)の日銀金融政策決定会合、欧州中央銀行の金融政策発表、5日(金)の8月米雇用統計の結果を受けた金利動向などが注目となります。103~104.5円のレンジを想定。
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出島昇
柴田罫線実践教室
株式会社オルタナレッジ「柴田罫線」で分析した提供レポートです。「柴田罫線」というテクニカル分析をベースに、株式相場の分析をおこなってまいります。
株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
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取引金額 取引手数料
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