先週は、「FOMCの結果次第では円安・株高継続」と予測しました。リーマンショック直後の2008年9月25日以来約6年ぶりの1ドル=107円台回復となったにもかかわらず、16,000円水準がやっとの上昇となっており(昨年12月30日に16,320円をつけたときは1ドル=105.4円水準)、外国人の買いというより国内の年金資金や日銀のETF買いに支えられている面が強く、このまま昨年末の高値16,320円を試すには外国人を含む出来高が必要となるところとしました。そのため、17日(水)のオフィス出島のコメントでも、為替は107円水準でいったん止まることを想定し「基本は16,000円水準まで上昇していったんの調整を待つシナリオ」を考えました。
しかし、17日(水)の注目のFOMCの声明で「資産買い入れ額を106億ドル縮小し、10月までで終了」と発表され、一方で「終了後も“相当な期間”事実上ゼロ金利を維持する方針を改めて表明」したことで早期利上げ観測が和らぎ、NYダウは7月16日以来約2カ月ぶりの過去最高値を更新しました。これまで通りなら、早期利上げ観測が和らいだことでドル買いは一服するところでしたが、今回はFOMCの声明を受けて利上げ時期の表現の変更はなかったものの、市場が注目したのは利上げへの道筋を示した「出口戦略」の原則だったのでしょう。同時に政策金利の見通しを上方修正し、ルー財務長官のドル高容認の発言もあったことで利上げ時期は近づいていると受け止められ、アメリカの長期金利は上昇しドル買いが活発化し、一方で黒田日銀総裁は金融の緩和を示唆していることで、日米金利差拡大期待から円安ドル高は予想を超える速さで進みました。
18日(木)は、1ドル=108円台後半まで買われたことで機械、自動車、精密などの輸出関連株中心に買われて日経平均を押し上げ△178円の16,067円となり、週末19日(金)は、前日のアメリカ市場でNYダウ・S&Pが揃って史上最高値を更新し、為替は東京市場で1ドル=109円台にのせてきたことで輸出関連の大型株中心に買われ、日経平均は△253円の16,321円と昨年末の16,320円を更新して引け、6年10カ月ぶりの高値水準となりました。
先週末の19日(金)は、NYダウの連日の史上最高値更新や1ドル=109円台の急激な円安を追い風に、日経平均は先物主導で売り方の買い戻しも巻き込んで△253円の16,321円と昨年来高値更新となりました。直近の上昇が急ピッチだったため、テクニカル面で相場の過熱感を示す指標が増えており、一服してもおかしくないところです。又、円安進行も当面の節目である2008年8月15日の110.29円に接近する109.49円まできており、円安も一服しておかしくないところです。但し、先週の17日(水)にFOMCで政策金利見通しの上方修正や米政府(ルー財務長官)のドル高容認発言があったことで日米の金利差拡大期待は続き、中期的な円安の流れは変わらないと考えられます。
ここまでの円安と、それに連動する日経平均の昨年来高値更新となると強気が出てくるところですので、総強気になって日経平均が一段高となって買われ過ぎとなれば、そこがピークというのが経験則となります。私は、4月10日の13,885円をスタートとする中期波動からみて、8月27日(水)のオフィス出島サービス「メッセージ」で9月に大きく上昇すれば要注意とし、9月1日(月)の予測では、「9月に上昇すれば当面の天井をとる動きとなり」「10月のどこかで安値をつけて再上昇」というシナリオをコメントしています。
結果的には、想定と違う予想外の急激な円安という形で日経平均が上昇して昨年来高値更新となっていますが、このまま上昇が続けば10月のどこかで大幅下落となって買いチャンス到来ということも考えられるところです。今のところ、足元の経済指標の下方修正(9月の月例経済報告で景気判断を5カ月ぶりに下方修正)に目をつぶっていますが、いずれ注目されることになるでしょう。
為替が109円台という水準まで円安が進行せず、市場ボリュームも増加しなければ、昨年12月30日の16,320円の高値を更新したところで目標達成となってダブル天井の形を作って調整入りということも考えられるところですが、足元は需給関係が改善していることで、一服した後は地政学的リスクの悪化など特別の悪材料が出ない限り上値を目指すことが想定されます。
市場の大方の予想では、今週も先週からの勢いが続いて上値を目指すという見方が多かったようですが、結果的に本日は、先週末に昨年来高値を更新したことで目標達成感が生まれ、為替も108円台後半へと円安一服していることで利益確定売り優勢となって▼115円の16,205円となりました。ここで目先一服となっても押し目が浅ければ(15,900円が下値ポイント)、一段高となって上値を目指す可能性が高いといえます。当面の日経平均の上値の目処は再び日経平均が「円安・株高」の動きとなっていることを考えると、ドル・円の上値目処が1ドル=110円(年初の相場見通しでも110円の円安水準が一番多かった)であり、この110円で換算すると17,000円水準となります。柴田罫線のチャートで引線すると16,500~16,700円が上値抵抗ゾーンとなります。このような17,000円水準を試す動きは、いったん上値を目指した後、17,000円まで届かず下落となって、年末に再度17,000円を目指す動きとなる場合も考えられます。ここからは保有株の利益確定売りのチャンスを待って換金化し、大きな調整を待つスタンスをとることになります。
先週の予測では、16~17日のFOMCで早期利上げ観測が高まれば円安が更に進み輸出関連株が買われて1日につけた年初来高値16,121円を試す場面も想定されるとしました。
注目のFOMCの声明では、10月でQE3を終了することを表明し、ゼロ金利政策を「相当期間」継続するとしましたが、ゼロ金利政策の長期化とは受け止められず、むしろ利上げへの道筋を示した出口戦略の原則を公表したとの見方から長期金利が上昇し、ドルが活発に買われ109円台の急速な円安となったことで輸出関連の主力株中心に買われ日経平均の指数を押し上げ、18日(木)は△178円の16,067円と16,000円台を回復し、週末19日(金)は△253円の16,321円と昨年の12月30日の16,320円を更新して年初来高値となり、6年10カ月ぶりの高値水準となりました。
今週は、23日(火)の休日を挟んでおり、先週末に昨年来高値を更新して目先の目標達成感や直近の大幅上昇で過熱感も出ており、高値圏でのもみあいとなりそうです。円安も2008年8月15日の110.29円に接近する109.48円まで進行しており、一服してもおかしくないところです。軽い調整のあと上値を試す展開が想定されますが、その場合の上値ポイントは、柴田罫線では16500~16,700円、日足チャートでは17,000円、又日経平均ドル換算では1ドル=110円が当面の目処とすれば17,000円水準となります。但し、10月くらいに大きな調整をした後に年末に向けて17,000円水準を目指すことも考えられます。
週明け22日(月)は、目先の目標達成感と円安一服で利益確定売り先行となり16,170円まで下げて、終値は▼115円の16,205円と3日ぶりの反落となりました。連休の谷間で市場ボリュームも減少しました。トピックスの下げ率は▼1Pの1,330Pですから、先高感は強い動きと考えられます。
先週の予測では、FOMCの声明で利上げの時期にどう言及するのかが最大の注目になるとし、スコットランドの独立を問う住民投票も注目になるとしました。
結果的に、FOMCでは10月のQE3終了を表明し、利上げの時期については「相当期間」の表現を変えなかったものの利上げへの道筋を示した出口戦略の原則を公表したとの見方となって、利上げ時期が近づいていることを示唆していると受け止められました。又、政策金利の見通しが上方修正されたため長期金利が上昇しドルが活発に買われ、これを背景に株式も買われ、18日(木)はNYダウ・S&Pが揃って史上最高値を更新しました。週末19日(金)はスコットランドの独立は否決される見方が強まったことで1ドル=109.48円までドルが買われ、△13ドルの17,279ドルで引けました。
先週の予測では、FOMCの声明で利上げの時期にどう言及するのかが注目になるとし、利上げ時期が早まる見方が裏付けられれば、更にドル高・円安が続くことになるとしました。
106~108円のレンジを想定していましたが、予想を超えるドル高・円安となって109円台まで上昇し、2008年8月15日の110.29円が視野に入ってきました。この急速なドル高・円安の背景は、FOMCの声明では10月のQE3終了を表明し、ゼロ金利政策を「相当期間」継続するとしましたが、このことによって利上げへの道筋を示した出口戦略の原則を公表したとされ、同時にFOMCで政策金利見通しを上方修正したことで利上げの時期が近づいていると受け止められました。そのため長期金利が上昇し、ドルが活発に買われて週末19日(金)は1ドル=109.48円まで上がり、引け値は109.04円でした。 先週はFOMCでゼロ金利政策を継続するとしたものの政策金利見通しを上方修正したことやルー財務長官がドル高容認の発言をしたことでドル買い・円売りが加速しました。
今週は、2008年8月15日のドルの高値(終値110.29円)に接近してきたことや、1カ月近くで7円近く円安が進んでいることでいったん円の買い戻しが強まるところでしょう。又、アメリカの早期利上げはかなり織り込まれているとみていいでしょう。但し、日米の金利差が拡大していく可能性は高いため、中期的な円安は続くものと思われます。
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出島昇
柴田罫線実践教室
株式会社オルタナレッジ「柴田罫線」で分析した提供レポートです。「柴田罫線」というテクニカル分析をベースに、株式相場の分析をおこなってまいります。
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