先週は、ギリシャの国民投票の結果待ちで下値を探る展開としました。しかし、ギリシャの国民投票に対しては、緊縮財政政策の賛成派に軍配が上がってギリシャはユーロ圏に残ることになるという楽観的な見方に傾き、週初めの大幅下落の後は、世界市場は自律反発の動きが続きました。6月29(月)の日経平均は▼596円の20,109円の大幅下落となりましたが、この日の安値20,093円から切り返し、アメリカ株式も堅調となったことで、4日続伸となって7月3日(金)は△17円の20,539円で引けました。 もう1つ注目のアメリカの6月雇用統計もやや予想は下回ったものの、労働市場のゆるやかな改善は進んでおり、製造業の景況感もまずまずのところですので、日本株式にとってはサポート要因となりました。
結果を待つ以外にないのですが、先週の中盤以降は、世界株式市場は、緊縮策を受け入れるだろうという楽観的見方に傾いてきていました。緊縮に賛成の結果となった場合、ギリシャ不安が後退し、相場にはプラスとなりますが、欧州側は協議に応じるのは結果をみてからだとしているからか、事態が急に好転するということにはならず、不透明さは残ったままとなりました。というのは緊縮案を受け入れるということになれば、現政権の退陣という可能性もあり、ギリシャ国内の政治的混乱が起こることになるからです。
逆に緊縮反対の結果となれば、ギリシャのデフォルト懸念、ユーロ離脱説の可能性が生じ、株式市場は一時的なショック安となることが考えられます。相場的にはショック安でギリシャ問題を織り込んでしまった方が、すっきりする形となります。ただし、緊縮反対の結果がでても現実にはギリシャがユーロ圏を離脱すると中国、ロシアが接近する可能性は高いため、オバマ大統領がギリシャの債務問題をあらゆる手段を使って解決するようEU各国に電話攻勢しているということです。そのためユーロ圏離脱はないと思われますが、相場は可能性を織り込むのでショック安はあると考えられます。
ギリシャはアメリカとロシアの東西冷戦時代からの安保上の要衝であり、NATOの軍事基地もあります。
どちらになるにしろギリシャの不透明感は今後も残る事になり、相場の中では織り込まれていき、いずれ相場にとっては無関心な存在となるでしょう。
ギリシャの国民投票の結果は、市場の楽観論と逆の財政緊縮案に反対という意思表示となりました。その結果、日本市場は株安・円高となり、6月29日(月)の▼596円の20,109円を下に切って20,012円まで下落して終値は▼427円の20,112円でした。 先週は、29日(月)の大幅下落を受けて下値模索を想定しましたが、ギリシャの国民投票が緊縮策を受け入れるだろうという楽観的見方から欧米株式は堅調となり、日経平均も4日続伸となって20,539円で引けました。 しかし国民投票の結果が市場予想と逆となったことで先週戻した分を帳消しにする動きとなって、今週は下値模索の動きとなってきました。
今回のギリシャの債務問題は、経済問題というよりも政治問題と言えるかもしれません。ギリシャへの資金の貸し手は各国の民間銀行ではなく、EUやIMFなどの国際機関のため、ギリシャがデフォルトして資金の流れに障害がでても、リーマンショックのようなことになる可能性はないと思われます。問題はギリシャのデフォルトやユーロ圏脱退となれば、ユーロ圏の存在そのものに疑問が生じ、政治混乱から経済混乱となって世界経済に飛び火してくるからなのです。そのため今回はドイツやフランスが政治的結論によってギリシャの債務問題への方向性を決定すれば不透明感が晴れて世界の株式市場は反発となるでしょう。目先下値模索となりますが、6日(月)の夜のフランスとドイツの首脳会談、7日のユーロ圏首脳会議でギリシャに譲歩した動きとなるかどうか注目するところです。
先週は、6月29(月)にギリシャのデフォルト懸念から▼596円の20,109円の急落となったことで、チャートでは6月18の19,990円を切ると再び売転換となって75日移動平均線を試す動きとなり、さらにデフォルト懸念が強まれば一段安の可能性があると想定しました。
しかし、その後の日経平均の動きをみると大幅急落でギリシャ懸念もある程度織り込んだかのうように、欧米株式も週明け大きく下げた後、堅調となったことで日経平均は4日続伸となり、週末の7月3日(金)は、△17円の20,539円で引けました。ギリシャ問題は、国民投票でEU案を受け入れる方に動くという楽観的な見方から世界の株式市場は落ち着いているという状況のようです。
本日はギリシャの国民投票で緊縮策反対の意思表示がなされ、先週は賛成の方になるという楽観的見方から4日続伸となっていただけに、上昇分が吐き出され、▼427円の20,112円となりました。柴田罫線では、かろうじて売転換となっていませんが、75日移動平均線(6日20,002円)を切ると売転換となり、6月18日の19,990円を切ると一段安(19,700円台)の形となります。
先週の予測では、突然のギリシャの7月5日(日)の国民投票の表明によって不透明さが増し、週末の雇用統計を控えていることで、結果待ちから様子見となることを想定し、柴田罫線では、6月15日の17,698ドルを終値で切ると目先調整入りとなるとしました。
結果的に、週明けの6月29日(月)はギリシャのデフォルト懸念から、NYダウは▼350ドルの17,596ドルと6月15日の17,981ドルを切って、再び短期の売転換となしました。その後はギリシャが新提案を行ったという報道や経済指標の改善を受けて6月30日(火)は△23ドルの17,619ドル、7月1日(水)は△136ドルの17,757ドルと反発しましたが、3連休前の7月2日(木)は雇用統計がやや予想を下回ったことや、ギリシャの国民投票を控えて▼27ドルの17,730ドルと反落となりました。
先週の予測では、ギリシャのデフォルト懸念でリスク回避の円買いとなって、6月30日に122.3円でドルの短期の売転換となりました。アメリカの経済指標が好調であればドル買いの材料となるがギリシャのデフォルト懸念が高まればリスク回避の円買いが続くとしました。
結果的に週初めはギリシャのデフォルト懸念からリスク回避の円買いとなり、6月30日(火)は121.94円まで下がりました。しかし、その後はギリシャ情勢に楽観的な見方がふえ、アメリカの経済指標も改善が続いていることで、7月2日(木)は123.73円までドルが買われました。ただ、雇用統計の結果は内容的にはそれほど悪くはなかったものの、予想をやや下回ったことでドル高が続かず、また、ギリシャの国民投票を前に様子見となり、週末の7月3日(金)は122.73円で引けました。
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出島昇
柴田罫線実践教室
株式会社オルタナレッジ「柴田罫線」で分析した提供レポートです。「柴田罫線」というテクニカル分析をベースに、株式相場の分析をおこなってまいります。
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