先週の予測では、アメリカ市場でトランプラリーが続かなければ様子見となってもみあいとなり、当面は下値18,650円、上値19,615円のレンジの中で19,000~19,500円のもみあいを想定しました。しかし結果的には、トランプ大統領の難民の入国制限という排他的政策や日本の為替政策への批判を嫌気し、週の終値は19,000円を切って引けました。決算発表が前半のピークを迎える中で、機関投資家は動けずインデックスに絡んだ売買が中心でした。
週始めの30日(月)は、前週末のアメリカの2016年10-12月期GDP(速報値)が予想を下回ったことや為替が1ドル=105円台から1ドル=104円台にふれたことで一時▼171円の19,295円まで下げ、その後は下げ渋るも上値重く▼98円の19,368円と4日ぶりの反落となりました。31日(火)は前日の欧州株安やトランプ政権の難民の入国制限という排他的政策を嫌気し、また為替も1ドル=113円台とさらに円高が進んだことで、▼327円の19,041円と大幅続落となりました。2月1日(水)の前場寄り付きは、前日にトランプ大統領が日本の為替政策を批判したことで1ドル=112.08円までドルが売られ、▼114円の18,926円と19,000円を割って寄り付きました。売り一巡後は円高も一服したことで、先物主導で買い戻され、後場は一段高となって△106円の19,148円で引けました。しかし2日(木)になるとアメリカの株価先物が時間外で軟調に推移し、後場に債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇すると、日米金利差縮小の思惑から再び1ドル=112円台前半の円高にふれたことで、売りが加速し▼281円の18,866円まで下げ、終値は▼233円の18,914円と7日ぶりの19,000円割れとなりました。週末の3日(金)は、前日の大幅安の反動から買い先行で19,061円まで買われましたが、前引けは▼70円の18,843円、後場になると先物主導で再びプラスに転じましたが、引け後のアメリカの雇用統計の発表を控えており、上値は追えず終値は△3円の18,918円で引けました。
3日(金)のアメリカでは、注目の1月の雇用統計が非農業部門雇用者数は22.7万人と予想の17.5万人を大きく上回ったことや、トランプ大統領が金融規制改革法案(ドッド・フランク法)の見直し大統領令に署名したことで、金融セクター中心に買いが広がりNYダウは△186ドルの20,071ドル、ナスダックは終値での最高値更新となりました。しかし為替は雇用統計で賃金の伸びが鈍化したことで、3月の利上げ観測が後退してドルが1ドル=112.32円まで売られ、終値は1ドル=112.63円でした。それを受けてシカゴの日経先物は△110円の19,050円とあまり大きく上昇していません。
今週は、10日(金)の日米首脳会談を控えた様子見の中、トランプ大統領の発言に警戒感が高まりやすく、下値は堅いものの上値も重い展開が続くことになりそうです。先週のマティス国防長官との会談では在日米軍駐留経費の負担増に関する言及はなく、尖閣に対する姿勢もこれまでと同じだと明言されたことで、とりあえず日本にとっては一安心となりました。あとは、トランプ大統領が日本の為替政策を批判していますので、今後の円安の方向は日米首脳会談を待つということになります。アベノミクスの中心は円安ですので、この方向性がぶれるとアベノミクスは困難なことになります。アメリカの今後の景気上昇を考えるとドル高方向ですが、米国内に製造業を移す方針からいうと輸出のためにはドル高ではなくドル安ですので、日米首脳会談で為替のことにどう言及するのか注目となります。18,800~19,400円のレンジ内でのもみあいとなりそうです。
2月6日(月)は、先週末のアメリカ株高を受け△151円の19,069円で始まり、一時△157円の19,075円まで上昇するものの、為替の円の強含みで伸び悩み18,899円まで下げる場面もありましたが、その後、円の伸び悩みで持ち直し△58円の18,976円で引けました。材料不足のため為替をみて日経平均の指数が動くという方向感のない展開となっています。
先週の予測では、決算の前半戦のヤマ場を迎えることで機関投資家は動きにくいため様子見ムードとなって19,000~19,500円のもみあいを想定しました。
結果的には、トランプ大統領の大統領令が世界経済の不透明感を高め、NYダウは下落し、ドル売り・円買いの流れとなったことで、19,000円の下値を試す動きとなりました。2月1日(水)には前日のトランプ大統領が日本の為替政策を批判したことで、1ドル=112円台前半まで円高が進み、一時18,916円まで下げましたが終値では19,148円と反発。しかし2月2日(木)は、為替が再び円高にふれてきたことで▼233円の18,914円と大幅反落となりました。週末の2月3日(金)は大きく反発して始まったものの、すぐにマイナスに転じ、その後はもみあって△3円の18,918円で引けました。
今週は、先週末のアメリカ株式の大幅反発を受けて高く始まるものの、為替は円高水準のままなので上値重く、トランプ大統領の発言を警戒しながらの相場展開になると思われます。
10日(金)の日米首脳会談の結果がわかるまでは買い上がっていくのは難しく18,800~19,400円の中での動きが想定されます。
2月6日(月)は、先週末のアメリカ株高を受け△151円の19,069円で寄り付き、一時△157円の19,075円まで上昇するものの、為替の円高で18,899円まで下げる場面もありましたが、その後、円高一服から持ち直し△58円の18,976円で引けました。
先週の予測では、次々と公約通りの大統領令を出していることで、アメリカの景気拡大期待から株価は史上最高値を更新しているものの、具体的な財政政策に言及がないことで様子見ムードとなってくる可能性があるとしました。
結果、大統領令でも難民の入国制限する排他的対策が嫌気され、世界経済の重しになるとの懸念から日柄調整のような感じになっています。
1月30日(月)は▼122ドルの19,971ドルと2万ドルを割り込み、1月31日(火)も▼107ドルの19,864ドルと2日連続の100ドルをこす下げとなりました。その後は下値もみあいとなり、週末の2月3日(金)は予想を上回る1月雇用統計の結果や金融規制改革法案の見直しが決定されたことで、NYダウは△186ドルの20,071ドルと再び2万ドルを回復しました。
今週も引き続き、トランプ大統領の経済政策や、それを受けての政治動向に注目となります。トランプ大統領は公約していたことを次々と実行しており、オバマケアの廃止、または改正や減税等の法案が公表されるとアメリカ経済の成長が加速されるとして株価は上昇する可能性があります。政治的な問題がでてくると上値が重くなってもみあうことも考えられます。
先週の予測では、トランプ大統領の政策を受けての景気拡大期待のドル買いの一方で保護主義的な発言への懸念からのドル売りで、強弱感入り交じりもみあいになる可能性が高いとしました。
結果的には、トランプ大統領の発言から為替は一段のドル安進行となりました。1月30日(月)は難民の入国制限の排他的政策が嫌気され、さらに1月31日(火)は日本の為替政策が批判され、一時1ドル=112.08円までのドル安・円高となりました。その後は経済指標が大きく予想を上回ったことで、1ドル=114円台に接近する動きとなりましたが、2月2日(木)は、トランプ政権への不安から再び1ドル=112.06円までドルが売られました。2月3日(金)は雇用統計で雇用者数の増加を受けて1ドル=113.45円までドルが買われるものの、賃金の伸びが鈍化したことで3月利上げ観測が後退し、1ドル=112.32円までドルが売られ1ドル=112.63円で引けました。
今週は、10日(金)に日米首脳会談を控え、今後も円安方向の確認ができるか注目となります。アベノミクスの中心は円安のためトランプ大統領の日本の為替政策へのクレームが続くようだと、円高・株安の可能性があります。ただ、FRBによる年数回の利上げの可能性は低下しておらず、ドルの先高感は強いと思われます。
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出島昇
柴田罫線実践教室
株式会社オルタナレッジ「柴田罫線」で分析した提供レポートです。「柴田罫線」というテクニカル分析をベースに、株式相場の分析をおこなってまいります。
株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
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