先週は、トランプ大統領の議会演説を確認する必要があるとしました。シナリオの1つとしては、19,100~19,500円の中で19,100円を試す可能性があるとし、その場合はトランプ大統領の演説に失望売りが出た場合や3月利上げが後退するような場合としました。しかし結果的には、大統領の議会演説はこれまでと違って大統領らしいと評価される演説となり、さらに3月利上げが高まったことで、これまでのもみあっていたボックスの上限である19,500円を突破しました。しかし、週末は利益確定売りで19,500円を守れませんでした。
週始めの27日(月)は、朝方は為替の1ドル=111円台までの円高を嫌気し、一時19,000円を切って18,995円をつけるも、後場は押し目買いで下げ幅を縮小し△176円の19,107円で引け、終値で19,100円を守りました。28日(火)は、NYダウの12連騰や円高一服から5日ぶりに反発し、一時△160円の19,267円まで上昇するも利益確定売りで△11円の19,118円の小幅反発で引けました。しかし、3月1日(水)になるとトランプ大統領の議会演説の無事終了や3月利上げ観測が高まって1ドル=113円台後半の円安・ドル高に傾いたことで△274円の19,393円の大幅続伸となりました。さらに2日(木)は、前日のアメリカ市場がトランプ大統領の議会演説を好感したことで△303ドルの21,115ドルと初の2万ドル台突破となったことを受け、日経平均も△231円の19,624円と昨年来高値(今年の1月5日(木)の19,615円)更新で始まり、19,668円まで上昇し、終値では△171円の19,564円と伸び悩みました。 週末の3日(金)は、前日のNYダウが▼112ドルの21,002ドルと反落したことで、為替は1ドル=114円台半ばの円安だったものの、利益確定売り優勢となり、後場は週末要因もあって一段安となり▼95円の19,469円となって19,500円を維持できずに終わりました。
3日(金)のアメリカ市場では、イエレン議長が講演で「経済が順調であれば3月利上げは適切」と発言し、また、NY連銀のタンドリー総裁も3月利上げを支持したことで、10年債利回りが一時2.513%まで上昇し、為替は1ドル=114.75円まで買われました。金利上昇を受けて金融株が上昇し、軟調だったNY株は△2ドルの21,005ドルと小反発となり、3月利上げを織り込む動きとなっています。シカゴの日経先物は▼10円の19,460円となっていました。
今週は、先週の2日(木)に19,668円まで上昇し、ザラ場での昨年来高値(1月5日(木)の19,615円)を更新し、終値で19,564円と今年の始めからの19,100~19,500円のレンジを突破しました。しかし、週の終値では19,500円を突破できなかったことで、まずは19,500円水準での値固めができるかどうかとなります。一気に上昇できないのは、日経平均は為替と連動しており、3月利上げが大方の予想となっているにもかかわらず、ドルが大きく買われる状況にはなっていないためです。その背景には利上げに反対のトランプ大統領対FRBの戦いがあり、先週3月利上げ観測が急浮上したのは、トランプ大統領が手を打つ前に利上げを行いたいFRBの意向があるとの見方があります。そうだとすれば3月利上げが実施されてもトランプ大統領が「アメリカにとってドル高はよくない」と言い出すかもしれませんので、一方的な円安・ドル高はないということになります。日米金利差拡大期待でゆっくりした円安を期待することになるかもしれません。先週末の為替の動きをみると3月利上げはすでに織り込んでいるようにもみえます。
また、今週は日本ではメジャーSQを控え、アメリカでは多くの経済指標の発表があり週末には2月の雇用統計を控えていますので、様子見ムードが強まることになりそうです。さらにメジャーSQを通過すると3月期末要因で機関投資家は動けず、中小型株中心の相場展開となりそうです。先週後半の動きをみるとチャート上では上昇を目指す形ですが、投資主体別売買動向をみると2月第四週まで外国人は5週連続で売り越しており、また、投信や銀行なども売り越して、買っているのは事業法人と個人投資家の現物買いという状況ですから、注意が必要かもしれません。日本株が本格的に上昇するのは外国人買いが伴う時ですので、現在はそういう状況とはなっていません。19,500円をこえる動きにならなければ、再び19,100~19,500円の中での値動きに戻ることになりそうです。但し、SQの週であるためブレにも注意が必要です。
3月6日(月)は、3月利上げ確定度合いが高まったにもかかわらず、1ドル=113円台後半の円高や北朝鮮の日本海へのミサイル発射を嫌気し、一時▼128円の19,340円まで下落し、その後はこう着状態となり▼90円の19,379円で引けました。今週末に日本ではメジャーSQを控え、仕掛け的な売り買いが出やすい週であるので要注意となります。また、週末のアメリカの雇用統計に問題なければ3月利上げは確定的となりますが、為替のドル買い・円売りは今のところ織り込み済みとの見方が多く、更なる円安・ドル高はあまり期待ができない状況です。
先週の予測では、トランプ大統領の議会演説の内容によって上下どちらかにずれるとしました。19,100~19,500円のレンジの中で、19,100円を守れるかどうかとしました。
結果的には、週始め19,000円を一時割り込むものの、終値では▼176円の19,107円と19,100円を守り、その後は3月1日(水)の日本時間にトランプ演説が問題なく無事終了したことを好感し、△275円の19,393円をつけました。翌日は△171円の19,564円と19,500円を突破しました。しかし、週末は利益確定売りで▼95円19,469円と終値では19,500円をこえることはできませんでした。但し、ザラ場では1月5日(木)の19,615円を上回る19,668円をつけましたので上昇が期待できるところです。
今週は、先週末のイエレン議長の3月利上げ支持から3月14日(火)~15日(水)のFOMCでの利上げの予想が高まり、ドル買い・円売りの継続が続くため、株高が意識されることになります。但し、先週末のアメリカで3月利上げの予想が高まったにもかかわらず、むしろ円高となったことで織り込み済みの見方もあります。日本では週末のメジャーSQもあり、上昇するというより19,500円台の値固めの動きとなるかどうかとなりそうです。SQ後は、期末要因で機関投資家は動けないので中小型株中心の相場が想定されます。
3月6日(月)は、為替の1ドル=113円台後半の円高と北朝鮮のミサイル発射を嫌気し▼90円の19,379円で引けました。
先週の予測では、トランプ大統領の議会演説の内容によっては目先材料出尽しとなる可能性もあるとし、そのまま上昇する場合では柴田罫線のチャートからみると2013年10月9日(水)の14,719ドルからの上昇トレンド(A)の下値斜線が21,000ドル近辺(罫線の引線では21,200~21,300ドルぐらいとなっています)とし、この水準ではいったん止まる可能性があるとしました。
結果的に、2月28日(火)のトランプ大統領演説前に▼25ドルの20,812ドルと一服しましたが、3月1日(水)はトランプ大統領の演説に問題発言はなく、大統領らしい演説と評価され△303ドルの21,115ドルと初の21,000ドル突破となりました。しかし翌日の3月2日(木)は利益確定売りから▼112ドルの21,002ドルとなり、週末は△2ドルの21,005ドルで引けました。
今週は、高値圏でのもみあいとなりそうです。3月3日(金)にイエレン議長は、このまま経済が順調ならば利上げを支持する発言をしており、3月14日(火)~15日(水)のFOMCで実施される可能性は高くなりました。本来、株式市場にとってはマイナス要因ですが、3月利上げはかなり織り込んでいるようです。3月13日(月)までに2018年度の予算教書を出される予定であり、週末は雇用統計を控えているので様子見となりそうです。20,900~21,200ドルのレンジを想定。
先週は、ムニューチン財務長官の発言から3月利上げ観測が後退したことや、トランプ大統領の演説の内容によっては目先の材料出尽しとなってドルが弱含む可能性があるとし、1ドル=111~115円のレンジを想定しました。
結果的に、2月28日(火)の10-12月期GDPが予想を下回ったことで一時111.69円までドルが売られましたが、3月1日(水)のトランプ大統領の演説は問題なく終わったことでドルが反発しました。さらにイエレン議長やタンドリーNY連銀総裁の3月利上げ支持を受け、3月3日(金)は1ドル=114.75円までドルが買われ、引け値は1ドル=114.05円でした。
今週は、3月利上げの予想が高まったことで年内3回の利上げの可能性も高まり、結果的に日米金利差拡大が意識され、ドル買い・円売りの継続が想定されます。注意が必要なのは3月15日(水)のオランダ総選挙を控え欧州の政治リスクが浮上しやすく、その場合はリスク回避の円高となってユーロ安・円高が進めば、ドル・円相場も圧力がかかることになります。1ドル=112~115円が基本のレンジ。
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出島昇
柴田罫線実践教室
株式会社オルタナレッジ「柴田罫線」で分析した提供レポートです。「柴田罫線」というテクニカル分析をベースに、株式相場の分析をおこなってまいります。
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