先週の予測では、ドルの上値重く政治リスク警戒もあり、もみあいへとしました。前週のFOMCで3月利上げが決定され、今年の利上げ見通しは年4回になるとの見方もありました。しかし3回の利上げの見直し(あと2回)に据え置かれたことで、目先のドル買い材料がなくなり長期国債が買われ(金利は低下)、日米金利差拡大期待が後退してドル売り・円買いの流れとなりました。 結果的には、アメリカはトランプ相場の巻き戻しでNYダウが大幅下落し、日経平均も一時19,000円を割り込みました。しかし週の終値では19,262円となり、想定していた19,100~19,600円の中にかろうじて踏みとどまりました。
連休明けの21日(火)は、アメリカの保護主義政策の懸念と、1ドル=112円台の円高を受けて▼65円の19,455円の続落となりました。この日のアメリカ市場では、減税法案が議会通過に遅れが生じる懸念が出てき、また、オバマケアの代替法案に不透明感が生じ、金融株中心に下落となりトランプ相場の巻き戻しとなって、▼237ドルの20,668ドルと大幅安となりました。
22日(水)の日本市場は、NYダウの大幅安と為替の1ドル=111円台への円高を嫌気して全面安となり、▼414円の19,041円となって19,100~19,600円のボックスを切って柴田罫線で再び売転換出現となりました。 23日(木)は為替が一時1ドル=110円台をつけたことで日経平均も18,973円と2月27日(月)以来の19,000円割れとなりましたが、円高一服となって△43円の19,085円と4日ぶりに反発となりました。
週末の24日(金)は、予想外の△177円の19,262円の大幅続伸となりました。その理由は、前日のアメリカでオバマケア代替法案が採決延期となって相場に悪影響を与えていましたが、修正を加えた代替法案が可決の期待で夜間取引でアメリカ株式が上昇しており、円安に傾いたことと先物の買い戻しから裁定買いを誘発したことによります。
週末の24日(金)のアメリカ市場は、この日に延期されていたオバマケアの代替案の採決が議会で否決される懸念から、NYダウは一時▼126ドルの20,529ドルまで下げていましたが、採決前にトランプ側は「法案の取り消し」を通告してきたことで下げ幅を縮小して▼59ドルの20,596ドルで引けました。この「法案の取り消し」の理由は、オバマケアの廃止もしくは大幅修正案をトランプ政権は最優先課題と位置づけていましたので、もし否決されると政権にとって大きな打撃となるため、否決の可能性が高まったことで通告してきたものと思われます。リスク回避の円買いで1ドル=110.63円までドルが売られていましたが、通告後は1ドル=111.33円まで戻して引けました。シカゴの日経先物も18,920円まで下げましたが▼45円の19,095円となっていました。
今週は、日米ともに政治リスクがくすぶる不安定な相場となりそうです。アメリカでは、オバマケアの代替法案の可決をめぐって延期されていたもののドタン場で「法案の取り消し」を通告して採決を断念しました。オバマケアの代替案は、トランプ政権の最優先課題と位置づけされていただけに、今後の公約されているインフラ投資や大型減税などの経済政策に対する実行への懸念が強まることになります。すでに昨年の大統領選挙後の大幅上昇に対する巻き戻しが起こっていますが、NYダウが心理的節目である2万ドルを切るようなことになれば世界の株式市場がいったん大きな調整になる可能性があります。
一方、日本では「森友学園」を巡る政局の動向に注目となりそうです。証人喚問での籠池氏の証言が安倍昭恵首相夫人の見解と食い違い、これを野党側が事実関係を追及しており波乱含みとなっています。
今週は、3月期決算企業の権利・配当取り最終日があり、物色される可能性はあるものの機関投資家は期末要因で動きづらいため、需給関係としてはよくありません。為替もFOMCの3月利上げが終わって今年の利上げ見通しがあと2回に据え置かれており、目先は利上げの材料なしとなっていることや、トランプ政権によるインフラ投資や大型減税の実行への懸念を考えるとドル売り・円買いの流れが続きそうです。しかし、このところ複数の連銀総裁から利上げペースの加速化のコメントがでており、今のところ反応していませんが経済指標が予想を上回る状況が続けば、再び金利先高感がでてくる可能性があります。そうなると日米金利差拡大期待で円安の流れがでてくることになりますが、それがいつになるのかわかりません。それまでは日本株式にとっては楽観的な見方はできないと考えられます。今週は18,500~19,300円のレンジを想定。円高がさらに進めば1つ目の安値18,650円を試す可能性もあります。
3月27日(月)は、アメリカでオバマケア修正案が廃止となってNYダウが下落し、為替が1ドル=110円台の円高進行となったことで先物主導で下げ幅を拡大し、一時▼330円の18,932円まで下落しました。その後はETFの買い期待もあって下げ幅を縮小する場面もありましたが、上値の重い展開が続き▼276円の18,985円で引けました。アメリカで今回オバマケア修正案の廃止がトランプ大統領の能力を疑う状況がでてきており、日米の株式相場に不透明感がでてくることになりそうです。
先週の予測では、引き続き円高への流れを受けて19,100~19,600円の中でのもみあいを想定しました。期末要因で商いも膨らみづらく、「森本学園問題」もあり不透明感が続くことになるとしました。
結局、連休明け後の日本市場はFOMCでの発表後、目先の利上げ材料は出尽くしとなって円高が進みました。アメリカではトランプ政権の政策の不透明さからトランプラリーの巻き戻しでNYダウの調整が続き、日経平均も3月22日(水)には▼414円の19,041円と想定したレンジを下回る動きとなりました。しかし、その後は売られすぎから反発となり、週末の3月24日(金)は2日続伸の△177円の19,262円となって19,100~19,600円のレンジで終わりました。
今週は、3月期末で週前半は決算企業の権利・配当取り最終日で物色が強まる可能性があるものの、アメリカはトランプ政権のオバマケアの修正案の取り下げで、政権の信用がゆらいでいます。日本は籠池証言から安倍昭恵夫人との見解の食い違いなど、3月期末要因で機関投資家が動きにくい需給関係もあり、上値の重い展開の中で好決算銘柄や、やや中小型株の物色となりそうです。18,850~19,300円が基本レンジ。日米ともに政局の不透明感が重しとなりそうです。
3月27日(月)は、NY株安、円高進行を嫌気して日米の政治リスクもあり一時▼330円の18,932円まで下げて▼276円の18,985円で引けました。
先週の予測では、FOMCで年内利上げの見通しが年3回に据え置かれたことで、目先材料出尽しでドル売りとなって株式市場には追い風となるとしました。経済指標が好調でトランプ政権の政策期待が高まれば株価は再び上昇局面入りとなりますが、そうでなければ日柄調整が続くとしました。
結果的には、トランプ政権の減税法案の議会通過の遅れやオバマケアの法案採決延期でNYダウは調整が続くことになりました。3月21日(火)は、減税法案の議会通過の遅れが懸念され、トランプ相場の巻き戻しで金融株中心に下落となり、NYダウは▼237ドルの20,668ドルと大幅安となりました。その後もヘルスケア法案の採決延期もあり週末は▼59ドルの20,596ドルで引けました。
先週は、オバマケア代替法案をめぐって下院での採決が延期されたあげく、ドタン場で「法案の取り下げ」がなされ、このことが他の公約の実現性に懸念を生じさせる結果となり、大統領選挙後のトランプラリーの巻き戻しとなってきています。今週はその巻き戻しが継続する可能性があり、その場合は2万ドルが1つのフシ目となります。一方で年内の利上げ予想に関して複数の地区連銀総裁が年内に3回以上の追加利上げを主張しており、好調な経済指標がでてくると再び早期利上げが意識される展開となり、ドルが買われてくることになります。
先週の予測では、FOMCの発表で年内の利上げは3回に据え置かれ利上げペースの加速が後退したことで、長期金利の上昇は期待できずドル高は限定的になるとし、経済指標の結果次第ではドル売りは進む可能性もあるとしました。今年の2月7日の111.6円の安値を切ってくるとドルの一段安を想定しました。
結果的に、トランプ政権の政策の議会通過が懸念され、トランプラリーの巻き戻しとなって3月21日(火)はNYダウが▼237ドルの20,668ドルと大幅安となり、為替も2月7日の111.6円を上回る円高となりました。その後もトランプ政権への懸念からドルが売られ3月24日のヘルスケア法案の採決懸念を受けて110.63円の安値をつけました。終値では111.33円となりました。
今週は、先週の最優先課題と位置づけていたオバマケア代替法案をドタン場で取り消すという結果を受け、トランプ政権による今後の公約(インフラ投資や減税など)の実行が遅れるとの懸念から当面ドル買い・円売りが後退しました。先週は110.63円までドルが売られて111.33円まで反発して引けていますが、心理的フシ目である110円を試す可能性があります。110~113円のレンジを想定。
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出島昇
柴田罫線実践教室
株式会社オルタナレッジ「柴田罫線」で分析した提供レポートです。「柴田罫線」というテクニカル分析をベースに、株式相場の分析をおこなってまいります。
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