先週の予測では、アメリカの政治的リスクを前に、日経平均は19,500~20,000円のレンジの中での日柄調整が続くとしました。その理由の1つにトランプ政権への不透明感から、アメリカ株式が上昇してもドルは買われにくく、ドルの反発が弱いことで日経平均も戻りが限定的と思われるとしました。また、FOMC議事録で6月利上げ観測が確認され、原油の減産延長が決定されれば、基本的にはドル買い・円売りの方向となって日経平均をサポートするが、あくまでも19,500~20,000円のレンジの中での動きを想定しました。
結果的に23日(火)の19,585円を安値に戻りを試す動きとなり、24日(水)は、OPEC総会での減産期待やFOMCを控えて債券利回りが上昇し円安となったことで、19,782円まで上昇し、5月17日(水)にあけたマドを埋め(19,764円)を達成し、この流れを受けて25日(木)は19,850円まで上昇して△70円の19,813円となりました。ここからは上値重く週末の26日(金)は▼126円の19,686円と反落して引けました。基本的に想定した動きとなりました。
22日(月)は、前週末のアメリカ株高を受けて買い先行となり、原油高を受けて一時△132円の19,722円まで上昇するものの、買い一巡後は前日夕方の北朝鮮のミサイル発射を受けて為替がやや円高となったこともあり、上げ幅を縮小し△87円の19,678円で引けました。売買代金は約1カ月ぶりに2兆円割れの1兆9,224億円でした。23日(火)は、イギリスでコンサート中に爆発事件が起きてやや円高となっており、日経平均は▼65円の19,613円と反落しました。24日(水)になると前日のアメリカでFOMCを前に債券利回りが上昇して、1ドル=112円近辺への円安となったことを支えに5日移動平均線を上にぬき、19,782円まで上昇して、5月17日(水)の日足チャートのマド埋め(19,764円)を達成しました。これによって上値のフシが目先なくなったことで相場は動きやすくなったといえます。25日(木)は、アメリカ株式が5日続伸となったことや、日経平均の目先のフシがなくなったことで、19,850円まで上昇し、終値は△70円の19,813円と19,800円台を回復しました。しかし、ここからの上値は重く26日(金)は、前日のアメリカ株式は続伸ながら戻り売り優勢となり、週末要因もあって下げ幅を拡大し、▼126円の19,686円と3日ぶりの反落となりました。
26日(金)のアメリカ市場は、企業決算が総じて予想を上回ったことが相場の下支えとなり、週末にもかかわらず利益確定売りは強まらず、S&Pとナスダックはわずかだが史上最高値を更新し、NYダウは▼2ドルの21,080ドルとほぼ横ばいで引けました。シカゴの日経先物は▼5円の19,705円でした。
今週も引き続き、19,500~20,000円のレンジの中で、アメリカの株式や為替の動向をみながらの相場展開となりそうです。今週は、週末に5月雇用統計を控えるなど主な経済指標の発表が相次ぐことで、これらが予想を上回れば6月利上げ観測は高まり、ドルが買われることになりますが、すでに6月利上げはかなり織り込まれており、ドルの上昇は限定的と思われます。ドルの上値を重くしているのは、トランプ大統領の「ロシアゲート疑惑」であり、FBIのコミー前長官の30日以降に上院情報委員会での公聴会での証言予定や、上級顧問クシュナー氏の駐米ロシア大使との会議で盗聴の恐れがない通信回線を設置するよう要請したと報じられ、政権への不透明感が深まるようだとドル売り要因となります。さらにG7でトランプ大統領は、アメリカファーストの主張をし、貿易の不均衡を問題にしていますので、日米間でいずれ貿易問題が生じ、ドルの上値は重くなることを想定しました。
日本の企業業績の足元は底堅い動きから先高感は強いものの、上述したように支援材料が限られている状況であるため、日経平均は20,000円目前での足踏み状態が続くことになり、そうなると資金の流れは、目先は中小型株に向かうことになりそうです。チャートの形としては、現時点では20,000円に向かう形となっていますが、そのためには、アメリカのトランプ政権の政治的不透明さが落ち着いて、大型の減税対策などの経済政策が実施される状況になり、ドルが買われて円安が進行する必要があります。
5月29日(月)は、アメリカではメモリアルデーで休場のため、外国人投資家の売買は細り、手掛かり材料不足で様子見状況でした。朝方は△10円の19,697円で寄り付くものの、一時▼59円の19,627円まで下落し、売り一巡後は円がやや弱含んだことでプラスに転じて19,736円まで上昇するものの上値重く、大引けにかけて小幅安の▼4円の19,682円に押し戻されました。出来高は今年最低の12億7,453万株で売買代金は1兆7,928億円でした。
先週の予測では、19,500~20,000円のレンジの中で、上値の重い展開が引き続き想定されるものの、その戻りがどこまであるのかはFOMC議事録の内容やOPEC総会での減産延長が決定されるのかどうかによって左右されるとしました。
結果的には、5月23日(火)の19,585円を安値に戻りを試す形となり、為替は1ドル=111円台での円高推移となったもののアメリカ株高にサポートされ、5月25日(木)は19,850円まで上昇しました。しかし、ここからは上値重く5月26日(金)は▼126円の19,686円で引けました。国内業績は堅調なもののもう少し日柄調整が続きそうです。
今週も日経平均は、19,500~20,000円のレンジの中で、アメリカの株式と為替の動きをみながらの展開となりそうです。先週アメリカ株式は堅調に上昇したもののドルの上値重く、日経平均も20,000円のカベを破れない状況が続きました。今週は、トランプ大統領がG7を終えてアメリカへ帰り、再び「ロシアゲート問題」が取り上げられ疑惑が深まればドルの上値は重く、円高推移となりますので日経平均は19,500~20,000円の中でこう着状態となりそうです。その場合は、引き続き一部の中小型株に売買が集中することになります。
5月29日(月)は、朝方は△10円の19,697円で寄り付くものの、一時▼59円の19,627円まで下落し、売り一巡後はプラスに転じて19,736円まで上昇するものの上値重く、大引けにかけて上げ幅を縮小し▼4円の19,682円で引けました。出来高は今年最低の12億7,453万株で売買代金は1兆7,928億円でした。
先週の予測では、トランプ政権の政治的リスクをかかえたまま高値圏でのもみあいの継続になるとしました。FOMC議事録の内容やOPEC総会での減産調整が継続すればアメリカ経済の足元は好調なため、ドルが強含んで株式市場も堅調さを保つことになります。
結果的には、OPEC総会を前に減産継続期待で原油価格が高止まりし、発表される経済指標が予想を上回り、FOMC議事録の内容は6月利上げを支持する意見多く、アメリカ経済の堅調さを示したことで、S&Pやナスダックは連日の史上最高値更新となり、NYダウも一時21,112ドルと最高値へ接近し、6日続伸となりました。しかし、トランプ政権への不透明感からNYダウは上値重く、週末の5月26日(金)は▼2ドルの21,080ドルと最高値を前に足踏みしています。今週は、29日(月)はメモリアルデーで休場となりました。
今週は、5月雇用統計をはじめとする主要な経済指標の発表があります。ただし、5月の雇用統計が予想を上回っても、すでに6月利上げ期待はかなり織り込んでいるので大幅なドル買いは入りにくいと思われます。逆にトランプ大統領がG7から帰ってきますので、再びロシアゲート問題がクローズアップされ、疑惑が一段と強まれば大型減税などの経済政策の実現が遠のき、ドル売り要因となっています。今週は最高値近辺でのもみあいが想定されますが、政治リスクには注意が必要と考えられます。
先週の予測では、トランプ政権の「ロシアゲート問題」からの不透明感の広がりがドル売りであり、一方FOMCでの6月利上げ期待がドル買い要因であるため、5月24日(水)公表のFOMC議事録の内容が利上げ観測を高めれば、ドル買い要因となるとし強弱感対立で1ドル=110~113円の中でのもみあいを想定しました。
結果的に、FOMC議事録公開の内容は利上げの方向であったことで1ドル=112.13円までドルが買われるものの、長期金利が上げ渋ったことでドルの上値を抑え、逆にトランプ大統領の上級顧問のクシュナー氏の事情聴取の検討報道でややドル売りとなり、1ドル=110円台後半まで下げましたが、引け値では1ドル=111.33円でした。
今週も、経済指標が好調であれば、6月利上げ観測が高まってドル買い要因となるものの、政治的リスクが高まればドル売り要因となるため、先週と同様に1ドル=110~113円の中でのもみあいとなりそうです。ワシントンポストはクシュナー氏が昨年12月に駐米ロシア大使との会議で盗聴の恐れがない通信回線をロシア外交施設に設置するよう要請したと報道されており、これが本当であれば政治的不透明さが深まることになりそうです。
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出島昇
柴田罫線実践教室
株式会社オルタナレッジ「柴田罫線」で分析した提供レポートです。「柴田罫線」というテクニカル分析をベースに、株式相場の分析をおこなってまいります。
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