先週の予測では、引き続きアメリカ株式や為替の動向をみながら19,500~20,000円のレンジの中での相場展開になりそうだとしました。日本の企業業績の足元は底堅い動きから先高感は強いものの、アメリカではトランプ政権の政治リスクなど不透明なところがあり、支援材料が限られている状況であるため、日経平均は20,000円目前で足踏み状態が続くことになるとしました。
結果的には、予想に反して週末には前日のアメリカ市場で3指標そろって最高値更新となったことから、日経平均の出遅れ感が一気に強まり、1年半ぶりに20,000円を回復して引けました。
5月29日(月)は、早朝に北朝鮮のミサイル発射があったものの影響は限定的で、手掛かり材料不足から様子見となり、売買代金も今年最低の1兆7,928億円となって▼4円の19,682円と小幅続落でした。30日(火)は、円高が進み一時▼112円の19,570円まで下落しましたが、午後からは日銀のETF買いの思惑に支えられて持ち直し、▼4円の19,677円で引けました。31日(水)は、欧米株安に加えて為替が1ドル=110円台の円高だったことで売り先行となり、▼88円の19,589円まで下落しましたが、ETF買いの思惑もあり、売り一巡後は下げ渋り▼27円の19,650円と4日続落となりました。
6月1日(木)になると、名実ともに月替り商いとなり、特に材料もありませんでしたが、取引開始前に財務省から発表された1-3月期法人企業統計で売上高と設備投資が2四半期連続で前年を上回ったことが材料となって先行きの景気動向に対する警戒感が後退し、△41円の19,692円と買い先行で始まりました。一時19,887円まで上昇し、終値は△209円の19,860円と5日ぶりの大幅反発となりました。この日のアメリカ市場では、5月のADP全国雇用者数が予想を大きく上回ったことでNYダウなど主要3指標がそろって最高値更新となり、為替も1ドル=111円台前半の円安となっていました。これを受けて6月2日(金)の日経平均は、株価の出遅れ感から先物主導で大幅高となり、△317円の20,177円と2015年12月2日(水)以来、1年半ぶりに20,000円の大台を回復しました。柴田罫線でも「ろく買」という買法則が出現し、さらに上値を試す形となりました。
2日(金)のアメリカ市場は、注目の5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が+13.8万人と予想を大きく下回りましたが、失業率は予想の4.4%を下回る4.3%と約16年ぶりの低水準に改善しました。こちら側が評価されてハイテク株中心に買いが広がり、NYダウは△62ドルの21,206ドル、ナスダックは△58Pの6,305P、S&Pは△9Pの2,439Pと3指標そろって2日連続で最高値更新となりました。為替は債券利回りが低下してドルが売られ1ドル=110円台前半の円高となっていたことで、シカゴ先物は▼5円の20,165円でした。
今週は、チャート上は目先のもみあいの上限である2015年12月1日(火)の20,012円を突破したことで、さらに上値を目指すところですが、これまでと同じような局面で上値を追う場合は、円安進行と同時になっていましたが、現状では逆に円高となっており、このまま上昇が続くとは考えにくいところです。もちろん、輸出企業以外の産業の業績も好調なので、上昇要因にはなりますが円安がサポートしないと限界があります。先週、注目の5月雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想を大きく下回ったことで、9月にも想定されていた利上げ(6月利上げはすでに確定的でドル高は織り込まれている)が後退したことで、日米金利差拡大期待がしぼみ、1ドル=110円台の円高となりました。アメリカ株式も今週は8日(木)にコミー前FBI長官の議会証言があり、トランプ大統領が2016年の大統領選でのトランプ陣営とロシアとの関係について捜査妨害をしたかどうかを確認することになります。証言内容によっては、トランプ政権への疑惑が深まり、減税政策などの経済政策の実施が遅れることになり、株式市場にとっては目先売り材料となります。ただし、よほどのことがない限り下値は限定的で、19,900~20,400円のレンジの中でのもみあいが想定されます。
6月5日(月)は、1日を通して方向性に乏しく、安値20,104円、高値20,224円を約120円の値幅の中でのもみあいとなり、終値は▼6円の20,170円と3日ぶりの小反落となりました。8日(木)にコミー前FBI長官の議会証言があり、週末の9日(金)はメジャーSQを控えているため先物での値動きとなりそうです。
先週の予想でも、引き続きアメリカ株式と為替の動きをみながら19,500~20,000円のレンジの中での動きを想定しました。
週半ばの5月31日(水)までは、円高や材料不足のため19,500円台後半から19,700円台前半の間での小動きとなって、4日続落となっていました。しかし、6月1日(木)は、特別に材料もない中、買い先行となり△209円の19,860円と大幅反発となりました。さらに週末は、前日のアメリカ株式が3指標そろって史上最高値を更新したことや、円安の動きとなっていたこともあり、△317円の20,177円と1年半ぶりに20,000円を回復して引けました。柴田罫線では、「ろく買」という買法則が出現しました。
今週は、アメリカの雇用統計の結果を受けた反応で、非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に下回ったことでの為替の1ドル=110円台に反応すれば、上値は重く利益確定売り優勢となるものの、16年ぶりの改善を示した失業率を受けての株式市場の上昇に反応すれば堅調な動きで始まるものと思われます。しかし、6月8日(木)にコミー前FBI長官の証言を控え、アメリカ市場が様子見となれば、日本も様子見となりそうです。もし、証言内容が政治リスクを高めて、株、ドルが下落すれば日本株も下落となりますが、日経平均は押し目買いの形ですので、下げれば買い時となりそうです。大きな政局不安にならない限り、1つ目の下値は19,900円水準ぐらいのものでしょう。19,900~20,400円のレンジを想定。
6月5日(月)は、▼42円の20,135円で寄り付き、その後は8日(木)のコミー前FBI長官の議会証言や、週末のメジャーSQを控えているため様子見となり、狭い値幅で推移し、終値は▼6円の20,170円で引けました。
先週は、5月雇用統計など主要な経済指標の発表があり、予想を上回ってもすでに6月雇用統計は織り込まれており、一方でトランプ大統領の政治リスクがあるため、最高値圏でのもみあいになるとしました。
連休明けの5月30日(火)は、原油安を受けて▼50ドルの21,029ドル、5月31日(水)も▼20ドルの21,008ドルと3日続落となるものの、6月1日(木)は、5月ADP全国雇用者数が予想を大きく上回ったことで△135ドルの21,144ドルとNYダウをはじめ3指標がそろって最高値更新、さらに週末の6月2日(金)は、雇用統計はマチマチの動きだったものの3指標そろって2日連続の最高値更新で引けました。
先週末の5月雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想を大幅に下回ったことで、9月の利上げ(6月の利上げはほぼ確定)が後退し、ドルは1ドル=110.33円まで売られましたが、失業率は4.3%と約16年ぶりの低水準に改善されたことで足元の景気が評価され、NYダウは△62ドルの21,206ドルと3月1日(水)以来の最高値を更新しました。チャートからはもう少し上昇してもいいところですが、6月8日(木)にコミー前FBI長官の上院情報委員会でのトランプ大統領の捜査妨害に関する証言が控えており、内容を見極めるため上値は重くなるところです。最高値圏でのもみあいが想定されます。
先週の予測では、経済指標が好調であれば6月利上げ観測高まり、ドル買い、株買い要因となるものの、トランプ大統領の政治リスクが高まればドル売り要因となるため、強弱感が対立して1ドル=110~113円の中でのもみあいとしました。
結果的には、6月2日(金)の5月雇用統計で非農業部門雇用者数が大幅に予想を下回ったことでドル売り要因となり、一時1ドル=110円33銭まで下落し、1ドル=110.39円で引けました。1週間を通じてドルは111円71銭が高値でしたので1ドル=110~112円での狭いレンジの値動きでした。
今週は、6月8日(木)にコミー前FBI長官の上院情報委員会での証言が予定されており、内容によっては政治リスクが深まるため内容を見極める展開となりそうです。
2016年の大統領選でのトランプ陣営とロシアとの関係についての捜査をトランプ大統領が妨害しようとした疑いが深まれば、株、ドルともに売られる可能性があります。そうでなければ足元の経済は好調なため多少ドルは買い戻されることになりそうです。1ドル=110~113円が基本レンジとなります。
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出島昇
柴田罫線実践教室
株式会社オルタナレッジ「柴田罫線」で分析した提供レポートです。「柴田罫線」というテクニカル分析をベースに、株式相場の分析をおこなってまいります。
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