掲載日:2023年9月13日
NISA(少額投資非課税制度)は2024年から恒久化されるとともに、大幅に拡充されますが、一方でこれまでの一般NISAで利用できていたロールオーバーは利用できなくなります。今回は、現行の一般NISAで投資してきた人が、新NISA開始に向けて今から準備しておくべきことについて説明します。
まず簡単に、2023年12月末まで新規で投資が可能な現行NISA(つみたてNISAおよび一般NISA)と、2024年からの新NISAの概要をまとめておきます。
つみたてNISA | 一般NISA | |
---|---|---|
対象者 | 日本に住む18歳以上の人 | |
口座開設期間 (投資可能期間) |
2023年12月末まで | |
非課税保有期間 | 20年間(最長2042年まで) | 5年間(最長2027年まで) |
制度の利用 | 1年毎に「つみたてNISA」もしくは「一般NISA」を選択 | |
投資対象商品 | 長期・積立・分散投資に適した一定の株式投資信託とETF | 株式、株式投資信託、ETF、REIT |
買付方法 | 積立投資のみ | 通常の買付・積立投資 |
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 |
非課税保有限度額 (総枠) |
800万円(累計) | 600万円(累計) |
売却可能時期 | いつでも可 |
現行NISA(つみたてNISAと一般NISA)の概要
新NISA(2024年~) | ||
---|---|---|
対象者 | 日本に住む18歳以上の人 | |
口座開設期間 (投資可能期間) |
恒久化 | |
非課税保有期間 | 無期限 | |
制度の利用 | NISA制度内で以下の2つの枠を併用可能 | |
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
投資対象商品 | 積立・分散投資に適した一定の投資信託 (現行のつみたてNISA対象商品と同様) |
上場株式・投資信託等 (①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、高レバレッジ型及び毎月分配型などを除外) |
買付方法 | 積立投資のみ | 通常の買付・積立投資 |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額 (総枠) |
1,800万円(生涯投資枠:簿価残高方式で管理) | |
売却すると翌年以降に再利用可能。 また、2023年までのNISAとは別枠 |
1,200万円(内数) | |
売却可能時期 | いつでも可 |
新NISAの概要
新NISAでは、これまでのつみたてNISAを継承する「つみたて投資枠」、一般NISAを継承する「成長投資枠」という2つの枠を同時に利用できるようになります。
年間投資枠も、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円と大幅に増えるため、年間では360万円と大幅に増額されます。
現行NISAでは、非課税で保有できる期間がつみたてNISAでは最長20年、一般NISAでは最長5年です。
ただ、一般NISAの場合、最長5年の非課税期間終了時に翌年の一般NISA口座へ移換する「ロールオーバー」という制度が認められていました。これにより、一般NISAの非課税期間を実質的に5年ずつ延長できていたのです。
例えば、2018年に一般NISAで投資した分は2022年12月末で非課税期間が終了しましたが、2023年の一般NISA口座にロールオーバーすることでそのままさらに5年間だけ非課税での保有を継続できたのです。
そして、このロールオーバーの場合、ロールオーバー時の時価が、翌年の一般NISAの年間投資上限である120万円を上回っていた(例えば、180万円など)としても、そのまま全額を翌年の一般NISA口座に移して投資を継続できたのです。
一般NISAを利用してきた方は、ロールオーバーすることで実質的な非課税期間を伸ばすことができていたのですが、2024年から新しいNISAが始まることになり、これまで可能だったロールオーバーが今後はできなくなったのです。
一般NISAを含む現行NISAと、新NISAは完全に別の制度として設計されているため、旧制度となる現行NISAから、新制度となる新NISAへはロールオーバーできません。
そのため、これまで一般NISAで投資をしてきた方は、どのタイミングで一般NISAでの投資分を売却するか、これまで以上にしっかりと検討していく必要があるのです。
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横田 健一
ファイナンシャルプランナー 株式会社ウェルスペント 代表取締役
大手証券会社にてデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年1月に独立。「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。YouTube「資産形成ハンドブック」も人気上昇中。
著書「新しいNISA かんたん最強のお金づくり」(河出書房新社、2023年6月)
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