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4つの出口戦略/積立が効かない局面とは?

2022年8月24日配信

積立投資家の皆様、本日もお疲れ様です。楽天証券の山口です。

毎週水曜日の「元気が出るニュースレター【#積クラ通信】」をお届けいたします。
本ニュースレターでは、積立投資家のお客様に役立つ「資産形成がうまくいくヒント」をお伝えしてまいります。

若い方でも出口戦略を考えておく必要あり!

さて、これまで見てきた【2002年5月末から毎月33,000円を米国株式ファンドで積み立てていると?】のシミュレーションは、先週ついに終焉を迎えました。
この20年間の旅では、本当に色々な局面がありましたが、ここまでお読みいただいた皆様には「コツコツ継続することの威力」を実感いただけたのではないかと思います。

ここからは、お待ちかねの出口戦略についてお話ししていきたいと思います。
「出口戦略、まだ自分には関係ないかな…」と思った方もいるかもしれません。
しかし、出口戦略は、決して老後に限った話ではありません。
20代や30代の方でも、今後のライフプランによっては、住宅購入資金やお子様の教育資金など大きな費用が必要となった際に、積み立てた資産を取り崩す局面が出てくることがあります。(ちょうど前々回、「定年後の取り崩しではなく、ライフイベントにより一部取り崩しを考えている」という方からコメントを頂戴しておりました。)
資金が必要になった時に、慌てて判断してしまい、あとで後悔してしまう…といったことが無いよう、早いうちから色々な出口戦略の選択肢を頭に入れておきましょう!

まず、出口戦略をとるにあたり、ひとつ注意点があります。
それは、「その時の相場で判断しない」ということです。
前回までの20年間のシミュレーションの中でもお伝えしてきましたが、積立の後期になってくると、資産額が膨らんでいる分、日々の資産の変動が非常に大きくなります。使う時期を目前にして、自分の資産が数百万円も目減りしては、居ても立ってもいられなくなるのは仕方無いことなのですが、そこで感情的に判断を行ってしまうと、「あの時こうしていれば…」と後悔することになってしまいます。

実際に、前回のシミュレーションでは、2020年3月に300万円ほどの大きな下落がありましたが、その後の急速な回復により、そこから1,000万円近くも資産を伸ばせた結果となっていました。
これも、あくまで後になって振り返らないと分からないことなので、状況によっては「やめておいてよかった!」という結果になるかもしれません。
しかし、出口戦略とは、「怖いからもうやめておく」「今上がっているからやめておく」というものではなく、「必要な時期に資金を確保する」ための戦略です。

その後上がったとしても、下がったとしても、その時の自分がとった判断に納得がいくよう、あらかじめ決めていた計画に沿って、淡々と売却やリバランスを行っていく。
これが出口戦略の成功の秘訣といえます。

積立にも出口戦略にも通じる、この20年間の教訓

それでは、この心得を持ったうえで、具体的な出口戦略の選択肢を見ていきましょう。

  1. 運用資産をすべて売却する。
  2. 安定的な運用に切り替えて取り崩す。
  3. 運用資金と使う資金を分け、使う資金の方から取り崩す。
  4. 積極的な運用を続けながら取り崩す。

それぞれのリスクは、低い順に(1)<(2)<(3)<(4)となります。

  1. ゼロ(全部売却するため、その後のリスクはゼロとなる)
  2. 低い(ゆるやかなリスクを取って運用を続ける)
  3. 中間(積極的な資産は残しつつ、使う分は安定運用or預金に振り分ける)
  4. 高い(すべて積極的な資産で運用を続ける)

それぞれに、メリット・デメリット、向いている方の特徴などがありますので、次回以降、詳しく解説してまいります!

投資信託の質問箱

前々回のコメントで、質問者の方より「本当にこのアンケート見ていただけていて嬉しかったです!」との感想を頂きました。こちらこそ、ご質問いただきありがとうございます!
まだまだ皆様のご質問全てにお答えしきれておらず大変心苦しいのですが、今後も気になることがあれば、コメント欄にて是非お気軽にご質問頂ければ幸いです!

さて、本日のご質問です。

ご質問

「乱高下してもドルコスト平均法なら有利、と有ります。例えばこちらのような記事です。ドルコスト平均法は、どのような値動きでも有利なのでしょうか。不利になる例も有るのでしょうか。」

ご回答

鋭いご質問、ありがとうございます!
はい、このメールでも積立の有利な面をずっとお伝えしてきましたが、実は積立でも不利となる局面があります。
それは、「運用期間の前半はずっと上がり続け、後半はずっと下がり続ける」といった場合です。

積立の効果とは、

  1. 毎月一定額を買うことで、タイミングを狙わずとも「下がった時にたくさん買う」が実践できる
  2. 下がった時にたくさん買い単価を下げることで、その後の相場上昇時の値上がりが大きくなる

といったところにあります。

「前半上昇・後半下落」という局面の場合、前半は上昇時に毎月買い続ける(買い上がる)ため、平均単価は上がってしまいます。
後半では、下落局面で買い続ける(買い下がる)ため、平均単価を下げることは出来るのですが、その前に高いところで買ってしまっているため、下落局面では資産はマイナスとなります。
このため、もし前半上昇・後半下落し、結果的には運用開始時と終了時で価格が同じだった場合、一括投資であれば損益はゼロですが、積立であれば損益がマイナスとなります。
下落局面で買い続け、単価を下げたことの効果が発揮されるのは、その後の上昇があってこそ、ということになります。

一方、20年間などの長期で見た場合に、「前半10年間はずっと株価が下がり続け、後半10年間はずっと下がり続ける」といった値動きになる資産はかなり稀であるといえます。
中には新興国通貨やコモディティなどで、大きく下がったきり10年以上全く戻ってこない…というケースもあるのですが、皆様が積立をされているような株式ファンド等では、長い期間の中で上下を繰り返すことが一般的です。
例えば日本の株式は、1989年の最高値をまだ更新していないものの、上昇と下落を繰り返しています。
仮に1989年に日本の株価を一括で購入していた場合は、33年経った今もまだマイナスということになりますが、一方でこの同じ期間積立投資を続けていた場合は、大きなプラスを出すことができます。
このように、ずっと下落したまま戻らない、という資産でない限りは、積立の効果が発揮されるケースは多くなります。

ただし、積立期間が2~3年などの短期となる場合には注意が必要です。
2~3年しか積立出来ない場合、最初の1年間は上昇局面、後半1年間は下落局面が続く、といった、「積立が不利になるケース」にあたってしまう可能性は十分あり得るからです。
下落した時にたくさん買ったものが、大きな効果を発揮するのは、やはり長期で投資を続けてこそ。
「長期」×「積立」が基本であることを押さえておきましょう!

お役に立てましたでしょうか?引き続き、皆様からのご質問をお待ちしております!

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