2022年11月23日配信
積立投資家の皆様、本日もお疲れ様です。楽天証券の山口です。
毎週水曜日の「元気が出るニュースレター【#積クラ通信】」をお届けいたします。
本ニュースレターでは、積立投資家のお客様に役立つ「資産形成がうまくいくヒント」をお伝えしてまいります。
さて、先週からは「資産の分散」をテーマにお届けしております。
先週は、分散投資に関してお悩みの、以下のお客様からのご質問を取り上げさせていただきました。
「分散投資の一環でAファンド(低リスク型バランスファンド)を購入しているが、価格が下がり続けている。保険の為にこのファンドを選んだが、このまま買い続けても良いのか?老後はこのファンド一本で運用しようと思っていたが、債券の方が良いのか?」
コメントで、「自分も同じ疑問を持っていた」と頂いた方もいらっしゃいました。
本日よりさらに詳しく分散について深堀りしていきますので、是非ご参考にしてみてください!
先週の振り返りとして、まず、分散投資の際には「値動きが異なる資産に分散を行う」ことがセオリーです。
例えば、一般的に株式と債券は逆相関(値動きの方向性が異なる)の関係が成立することが多く、どちらかが下がっている時には、どちらかが上昇している…といった具合に、値下がりを補い合うことができます。
このため、分散効果が高まりやすいのです。
バランスファンドにも様々な種類がありますが、ご質問いただいたお客様が保有されているファンドは、低リスク型のバランスファンドです。
低リスク型の場合、ファンドの中身は債券の割合が高い場合が多いため、株式ファンド等とは違った値動きになることが多いです。
もしお客様が株式ファンド等との分散効果を狙ってこのファンドを選択いただいたとすれば、それは非常に合理的な判断だといえるでしょう!
しかし、お客様の仰る通り、Aファンドの基準価額は今年に入り下がり続けています。
この理由は、このファンドの資産配分の大半を占める債券が、今年に入り大きく下落しているためです。
債券価格は、普段ニュースなどでも目にすることが少なく、あまり意識することが無いかと思うのですが、今年は米欧での相次ぐ利上げにより長期金利が急上昇し、債券価格は大きく下落しています(金利が上昇すると債券価格は下落します)。
このため、債券だけを保有していた場合は、より大きく価格が下落していた可能性があります。
また、組み入れている債券が「為替ヘッジなし」か「為替ヘッジあり」かについても、チェックしておく必要があります。
為替ヘッジとは、「為替リスクをヘッジ(回避)する」という意味で、為替ヘッジなしの場合は為替リスクをそのまま受けることになり、為替ヘッジありの場合は、為替リスクを低減することができます。
(為替ヘッジの有無について特段の言及が無いファンドの場合は、「為替ヘッジなし」と理解していただいて大丈夫です。)
たとえば米国資産が組み入れられており、為替ヘッジが無い(為替リスクをそのまま受ける)場合には、基準価額は「円高・ドル安」局面ではマイナスに作用し、「円安・ドル高」局面ではプラスに作用します。
保有している通貨(ドル)が高くなれば、その分基準価額も上がるということですね。
さて、そこでお客様がお持ちのAファンドを見てみますと、「為替ヘッジあり」の先進国債券を多く組み入れています。
今年に入ってから、急激な「円安・ドル高」が進行していますが、「為替ヘッジあり」の場合は為替の影響をほとんど受けません。
為替ヘッジが無ければ、ドル高は基準価額の上昇要因となるため、債券価格の下落をカバーできたかもしれませんが、為替ヘッジありの場合は、為替の影響が少ないため、債券価格の下落がダイレクトに基準価額に反映されます。
このため、基準価額が下がり続けてしまったのです。
こうなると、「なぜ為替ヘッジありにしたんだ!?」と思われるかもしれません。
これは、「分散効果を高める」という本来のバランスファンドの役割を果たすためだといえます。
本日冒頭で、株式と債券は逆相関(値動きの方向性が異なる)が成り立ちやすいと申し上げましたが、これが海外株式と海外債券の場合、少し話は複雑になります。
例えば、海外株式と海外債券を保有しており、どちらも「為替ヘッジなし」だったとします。
この場合、どちらの資産も為替の影響を受けますので、円安の際はプラス、円高の際はマイナスとなります。
このため、実際の株式と債券の価格は逆の値動きになっていたとしても、日本から見れば為替の影響で円換算の価格は同じように動いてしまい、結局どちらも下がってしまった…ということが起こりやすいのです。
このようなことから、分散効果を高め、リスクを抑えることを目的に運用しているバランスファンドなどでは、債券部分に為替ヘッジをかけていることが多くなっています。
今はたまたまマイナスに作用していますが、今後円高に振れた時には、為替ヘッジが資産の下落から守ってくれることになりますので、一時の局面だけで「こうしておいた方が良かった」ということを判断することはできないのです。
バランスファンドの場合は、様々な資産が入っているために、値動きの理由が分かりづらく、「せっかく分散したのに、なぜ下がり続けているんだろう?」と思ってしまうこともあるかと思います。
そんな時には、実際にどのような資産がどのような配分で組み合わされているのか?下落の要因は何なのか?を、冷静に分析することが重要です!
運用会社が出している運用レポートなどに、下落要因などが詳しく記載されていることがありますので、是非チェックしてみてくださいね。
今年に入り、米国株式等が下落しているのはご存じの方が多かったかもしれませんが、実は債券価格も下落していたというのは、知らなかった方も多いのではないでしょうか?
つまり今年は、実は株式や債券を含むほぼ全ての資産が下落するという、難しい年でした(上昇したのは通貨のドルぐらいです)。
「それなら、基準価額が下がっても無理はない…」と思う一方で、「そんな局面では下落を受け入れるしかないのか…?」「それなら分散しても意味が無いのでは…?」と思われる方もいるでしょう。
次回は、このような局面での対処法や心構えについて解説していきたいと思います!
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