「長期・分散・積立」による資産形成の考えを広めてきた実績から「つみたて王子」の愛称をもつ、中野晴啓氏。2023年9月に自身の名前を冠する新会社「なかのアセットマネジメント」を設立し、日本の運用業界に新風を吹き込もうとしています。2024年4月25日に運用を開始した2つのファンド「なかの日本成長ファンド」「なかの世界成長ファンド」はどのような内容なのか、また「なかのアセットマネジメント」はどのようなビジョンを掲げているのか、ご本人に語っていただきました。
私が新会社を設立するという報道が出て、すぐに個人投資家の方から「まってました!」という声を多数いただきました。また、資産運用業界の方からも激励をいただき、とにかく感謝の思いに駆られました。60年間生きてきて、自分という人間が社会から求められているというありがたみを実感し、新しい会社を作るという決断がより固まった瞬間でした。
投資信託の新会社を立ち上げる大変さは経験しています。特に大変なのが、資金です。投資顧問会社と比べて、別次元でお金がかかります。一方で新しく会社を起こすからには、真に独立した運用会社という理想を実現したいという思いもありました。日本の運用会社は大手の金融コングロマリットの影響力を大きく受けており、独立した経営ガバナンスを持てていません。そして、独立系の運用会社はまだ日本においてプレゼンスを発揮できていません。
特定株主に支配されず複数の大手資本からの共同出資という高い理想を掲げましたが、主要株主であるスパークス・グループ、第一生命ホールディングス、ソニーフィナンシャルグループが私の考えに賛同し、出資を決めてくださいました。個人株主も含め、一様に「応援資本」とおっしゃってくださって、その言葉はなによりうれしかったですね。
独立した経営を実現するため、50%以上の議決権を私自身が保持することも許容いただきました。おかげさまで、理想に限りなく近い真に独立した運用会社を作ることができたと思います。これは日本の運用業界に対して新しい問題提起にもなるのではないでしょうか。
17年前にも投資信託会社を設立した経験があります。当時は直面していた課題解決を念頭に置いていましたが、ご存知の通り、資産運用や長期資産形成に対する国民生活者の関心・理解は大きく変わってきています。満足できるところまではいっていませんが、17年前とはまったく景色が違います。
一方で投資が一般化していく流れの途上で、新たな課題も出てきています。私自身の意識の最先端にあるのが「社会的需要に応えたい」という思いなので、今回の新会社はそうした新しい課題を解決するための受け皿にしたいと考えています。具体的には、真の独立した経営に裏打ちされた本格的なプロフェッショナルのアクティブ運用を突き詰める「アクティブハウス」を作ります。
アクティブハウスを作るためにもっとも重要なのは、チーム作りです。ただ、ここは心血を注ごうと思っている途中で、あっという間に人が集まってきました。今年4月25日に運用を開始した2つのファンドのうち、「なかの日本成長ファンド」のファンドマネージャーを担当する山本潤は前職から一緒にやってきた仲間で、快く新会社に加わってくれました。私と彼の運用ベクトルは100%一致しています。
また、「なかの世界成長ファンド」のファンドマネージャーを担当する居林通はFacebook経由で連絡をくれて、どうしても一緒に仕事がしたいと言ってくれました。話してみると、彼の目指そうとしている長期投資の考えは私と寸分たがわない。これは好運であり、同時に良縁を感じましたね。
チームでこだわっているのが、メンバー全員が銘柄をピックアップできる能力と経験を兼ね備えているということです。それぞれの専門性を固有に持っていますが、セクター分けは行いません。運用会社は大抵セクター分けをしていますが、それをすると視野が狭くなってしまいます。今はどの会社も産業の線を引かずに事業を展開しています。セクター分けは良い会社を見つける上で障害になると考えています。
今回のチームはいわば「放牧チーム」です。地鶏は自由に歩き回らせることで最高の地鶏に育ちます。それは運用も同じです。自由にしないと良い運用には至りません。もちろん資産運用会社において規律は重要です。なので、目指すのは「自由と規律の共存」です。それが、なかのアセットマネジメントにおける特徴のひとつといえるでしょう。
以前から「しっかりとした日本企業を見つけなければいけない」という問題意識を持っていたのですが、前職では「なんで今さら日本株をやるのか」という声はありました。他の運用会社が私が満足するような日本株運用をやっているなら出番はありませんが、その品質は私の目線に合うものは少ないと思っています。
日本株の本格的なファンドがないということは、日本株が不人気なことと無関係ではありません。運用業界がきちんとした銘柄選択をしていないから、良い会社が見えづらくなっています。「良い会社、強い会社、魅力のある会社を見える化する」。それは他にはできない日本を本拠とするアセットマネジメントだからこその使命なんです。
今回の会社設立やファンドの設定では、過去に成功したこと・失敗したことの経験値はあり、それらを存分に生かすことができました。そのプロセスの中で新しいキーワードとして出てきたのが、「クオリティ・グロース投資」です。より強い会社、より長期にわたって反映する会社、持続可能な成長を見いだせる会社に絞って投資をしていきたいと考えています。
「エンゲージメント」は、クオリティ・グロース投資を行う上で重要な要素です。何を企業が求めているのか、どんなことを私たちが提案すれば企業にとってプラスになるのか。それを一生懸命考えて、ただのQ&Aではなく、愛情を注いで対話をしていくことが大事です。
エンゲージメントは単純に「株式価値の最大化」と言われることが多いですが、「どういう時間軸で最大化させるのか」ということを考えるべきなんです。良い経営者はずっと先の未来を見据えています。次世代にどうすれば良い企業を残すことができるのか、という目線を持ってます。私たちが支えたいと思っているのは、まさにそうした一緒に長期的な価値を作っていける会社です。
投資家の方に「自分のお金で一緒に産業界を良くしたい」と思って投資をしていただき、それが成果になって本当に会社が強くなる。そして、「自分のお金がこんなに力になるんだ」と実感していただく。これは子どもたちにもっと元気な日本を残していけるということでもあります。私が作っていきたいのは、そんなムーブメントです。
世界株においてもコンセプトは日本株と共通しています。根本にあるのは、クオリティ・グロース投資です。ただグローバルな銘柄ピックアップは、当社のような小規模のチームにとって容易なことではありません。したがって、海外に拠点を置く運用会社のファンドの中から当社の「クオリティ・グロース投資」の要件を満たすファンドを選別し、それらを複数組み入れて運用するファンド・オブ・ファンズ(FOF)を採用しています。
ただ、前職では世界経済の成長を享受できるようなアセットアロケーションに一番能力を使っていくという考え方のもと、地域別のファンドを選んでいましたが、今回は最初からグローバルポートフォリオを選択します。重要なのは、クオリティ・グロースというフィロソフィーが合致していることです。
日本株でもお話したことですが、2つのファンドに共通することは「時間軸の目線」です。一般的なマーケット・タイミングのファンドであればせいぜい1年、長期投資をうたうファンドでも3年くらいの目線ですが、私たちは願わくば10年の目線を持ちたいと考えています。10年後の会社の良くなった姿をイメージして、どれだけのキャッシュフローを生む事業になっているのか数値化していく。そういうクオリティ・グロース投資に合致する銘柄選択をしています。
厳選を重ねたポートフォリオなので、銘柄数は少ないです。それぞれの銘柄にはものすごくこだわりがあり、ファンドの組み合わせの中で被りがないようにしています。もちろんなかのアセットの目指す姿と合致しているか、ということも重要です。
金融庁は「本格的な日本株の長期アクティブファンドを業界をあげて育ててほしい」ということに加えて、「なぜ日本の運用業界でも自前でグローバルな運用をできないのか」と強く言っています。実際に海外資産を運用する投資信託の9割は外部委託です。これはグローバルの基準でいえば、おかしなことです。ただすぐに改善できないのも事実です。
今後、私たちは私募ファンドを立ち上げて、世界株のファンドに入れて、独自の銘柄選択も行っていく予定です。5年かけて半分はその私募ファンドが占める、なかのアセットオリジナルのポートフォリオにしたいので、パートナーであるアメリカやヨーロッパの運用会社からとことん学んでいきたいと思っています。これはパートナーに対しても最初からお願いしていることです。5年後には少なくともロンドンやニューヨークに拠点を作れているはずです。将来的には世界に名を残せるブティック運用会社に育てていきたいです。
応援してくださる皆さんがワクワクするような、今までにない運用会社を目指してまいりますので、楽しみにしていてください。
左から「なかの日本成長ファンド」を担当する山本潤・運用部長/チーフポートフォリオマネージャー、中野晴啓・代表取締役社長、「なかの世界成長ファンド」を担当する居林通・シニアポートフォリオマネージャー
こちらもあわせてご覧ください
【なかの日本成長ファンド】のファンドマネージャーインタビュー
【なかの世界成長ファンド】のファンドマネージャーインタビュー
購入時手数料(税込) |
なし
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購入単位 |
スポット購入:100円以上1円単位 積立注文:100円以上1円単位(金融機関引落の場合は1,000円以上)
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ファンドの管理費用 | 純資産総額に対して年1.1%(税抜1.0%) |
信託財産留保額 | なし |
その他の費用・手数料 | 監査費用、租税、信託事務の処理に要する諸費用等。 監査費用を除くその他の費用・手数料は、その都度信託財産から支払われます。 信託事務の処理に要する諸費用には、以下のものが含まれます。
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購入時手数料(税込) |
なし
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購入単位 |
スポット購入:100円以上1円単位 積立注文:100円以上1円単位(金融機関引落の場合は1,000円以上)
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ファンドの管理費用 | 実質的な負担:純資産総額に対して年率1.3%±0.2%程度(税込) うち、運用管理費用:年率0.605%(税抜0.55%) |
信託財産留保額 | なし |
その他の費用・手数料 | 監査費用、租税、信託事務の処理に要する諸費用等。 監査費用を除くその他の費用・手数料は、その都度信託財産から支払われます。 信託事務の処理に要する諸費用には、以下のものが含まれます。
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投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、買付手数料等の費用が異なりますので、当該商品の目論見書、契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解いただくよう、お願いいたします。
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買付・換金手数料、ファンドの管理費用(含む信託報酬)、信託財産留保額以外にお客様にご負担いただく「その他の費用・手数料等」には、信託財産にかかる監査報酬、信託財産にかかる租税、信託事務の処理に関する諸費用、組入有価証券の売買委託手数料、外貨建資産の保管等に要する費用、受託会社の立替えた立替金の利息等がありますが、詳細につきましては「目論見書」で必ずご確認いただきますようお願いいたします。
また、「その他の費用・手数料等」については、資産規模や運用状況によって変動したり、保有期間によって異なったりしますので、事前に料率や上限額を表示することはできません。
投資信託は、預貯金とは異なり元本が保証されている金融商品ではありません。下記コンテンツでは、毎月分配型ファンドの分配金の支払われ方および通貨選択型の収益に関するご案内をしております。投資家の皆様につきましては、当該ファンドへの投資をご検討なさる前にぜひご確認くださいますようお願い申し上げます。