では少し照れるが今日も始めますか。投資信託の仕事で32年目の僕が、父親の最後のアドバイスとして結婚した娘とその夫2人にこんな話ができるのは、まぁありがたいことだよね。
今日もまた投信の大事な基礎知識について話そうと思う。コロコロ変わる株式市場の解説を追うのと違って、一度理解すればずっと役に立つのが投信の基礎知識なんだよね。必要にして十分な投信知識だけを厳選して話していくからついてきて。
前々回で基準価額がどういう計算をされ、どういう意味を持つのかは理解したよね。資産と口数の割り算だという話だった。でも、実際に色々な投信の基準価額を見ると驚くと思う。1,000円台のもあれば数万円台のものもあったりするからさ。
1,000円台のは「うわ、安っ!」、数万円台のは「げ、高っ!」って思うかな。数万円の投信よりも1,000円台の方が安くて「お買い得なのでは?」と思うだろうか。はい、間違いです(笑)。
基準価額の額、というか水準はまったく気にしないでください。そこに何の意味もないので――。これが正解です。
ほとんどの投信は基準価額10,000円で誕生する。専門用語では「新規設定」って言うんだけどね、10,000円で新規設定され、運用が始まって10,100円になったり9,800円になったりを1日1回の変化として繰り返しながら、それぞれの投信は今現在の基準価額になっている。
つまり「誕生日」が違うんだから、今の水準が違うのは当たり前だよね。昨日誕生した投信はきっと10,000円に近いだろうし、10年前に誕生してたら3,000円かもしれないし30,000円かもしれない。
この絵を見て。
Aファンドは誕生してからすぐにマーケット、つまり株式市場全体とかが悪くなってしまって一緒に下がっちゃった。Bファンドは逆にマーケットが底を打って上がる直前に誕生しているね。さて、共に10,000円で始まった両ファンドだけど、Aは今8,000円でBは12,000円だ。
何が言いたいかはもうわかると思う。この2つに優劣などないってことだよね。両ファンドとも市場全体と同じように動いているだけだから。前回話したインデックスファンドだと考えるとわかりやすいかもね。AもBもインデックス、ここでは「市場環境」と書いてあるけど、それと同じ動きが出来ているんだから、両方ともいいインデックスファンドだ。
生まれたタイミングが違うだけで8,000円と12,000円になっているだけ。もしこの後に市場が2割上昇するとしたら、Aは8,000円の2割の1,600円上がるから、基準価額は9,600円になるだろうし、12,000円のBは2割の2,400円上がって14,400円になるはずだ。そして、もし100万円分でこれらの投信を買っていたとしたら、Aを買ってもBを買っても2割増しの120万円になっているはずだよね。
そう、基準価額の水準には何の意味もない。投資の成果をはかるための「モノサシ」でしかないと覚えておいて。
次ページへ> 基準価額の変化は「額」でなく...投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、買付手数料等の費用が異なりますので、当該商品の目論見書、契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解いただくよう、お願いいたします。
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