株式ファンドの選び方について、「米国は世界のリーダーだから、やっぱり米国株ですよね」とか「米国には進取の気性があるから」とか「移民で人口が増える米国は安泰でしょう」とか「いやいや米国以外の国を入れないとダメ。やはり全世界株インデックスでしょう」とか「そろそろ新興国もカバーした方がいいのでは?」とかとか――。どうも最近「国家ベース」の言い方がデフォルトになっていて違和感を覚える。
どんな株式ファンドであっても、投資している対象は「国家」ではなく、1社1社の企業なんだよね。それぞれの社員が毎日働いているその会社の株を、その投信を通じて買うかどうかっていうことであって、決して国家の魅力や成長力といった「国力」みたいなもので判断しているわけではない。
当たり前だけど、米国の中にも投資対象として有望な企業もあれば、そうでない企業もあるはずだよね。その当たり前を忘れないでほしい。国が魅力的かどうかと、その国に籍を置く企業が投資対象として魅力的かどうかは別の話だから。
ここ数年の米国株のインデックスがとてもいいリターンを生んできたのは、国が素晴らしかったからではなく、そのインデックスの中で大きなインパクトを占めていた企業の株価が、さらに上がっていった結果に過ぎない。
具体的にはGAFAMと呼ばれる企業。知ってるかな、GはGoogle、実際はその親会社であるアルファベットという企業で、Aはご存知Amazon、Fは「メタ」って名前に変わったFacebook、君らにはInstagramの会社と言った方がいいかな。もう一回のAはAppleで、最後のMはMicrosoft。
このGAFAMというニックネームまで付いた巨大IT企業たちは、株価が高くて流通している株式の数も多いので、その掛け算である「時価総額」という、いわば株式市場での存在感が元々めちゃくちゃ大きい企業だった。そしてそれらの株価がここ数年ずっと好調だったから、時価総額の大きさでウエイト付けして算出する指数であるS&P500指数とかナスダック指数は、その「GAFAM効果」を受けて、指数としても大きく上昇した。
つまり米国が国家として素晴らしかったのではなく、GAFAMが非常に素晴らしかったということなのよ。そこに、S&P500やナスダックという指数の算出方法が、時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすい方法だったことが重なっていたわけだね。
もしS&P500が500社の単純平均で算出する指数だったとしたら、S&P500はここ数年こんなに上がってないだろうな。GAFAMたちのせっかく株価上昇も、それぞれ500分の1のインパクトしか持たないんだから。
なんか米国インデックスやそのインデックスファンドの悪口を言ってるみたいに聞こえたかもしれないけど、そうじゃない。
米国はもちろん、海外の株式のインデックスファンドは、日本に住み、日本の企業からお給料をもらっている僕たちにとって、賢明にして有力な選択肢だ。前に見せた僕の企業型DCの中身が海外株式のインデックスファンド100%だったのを覚えてるかな。円グラフが円グラフになってない、一色だったやつ。僕も大事な企業年金を、海外株のインデックスファンド一択に任せてる。
今日僕が伝えたいのは、曖昧な国家ベースで緩くとらえないようにしようね、ってことなんだ。国家ベースで期待したり失望したりするのは、何だか世界経済で投資を語っているみたいでカッコいいんだけど、実はあまり意味はないってこと。
株式投資はいつでも、どんなかたちにおいても、国家でなく個々の企業への投資。もっと言うと、その企業の「ある株価」での投資が正解かどうかが問われるもの。ちょっと分かりづらいかな。詳しくは次回。
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