PER、ピーイーアールというのを覚えておくといいと思う。Price Earnings Ratioの頭文字なんだけど、Priceは株価、Earningsは利益、Ratioは倍率っていう意味だな。つまり、その企業の今の「株価」を、その企業が稼ぎ出している、あるいは今後1年間で稼ぐと予想される「利益」で割った数字がPER。
株価は元々1株当たりの値段だからいいとして、利益の方は企業が売上から経費とか社員の給料とか税金とかを全部引いて残った最終の利益を、世の中に出回っている株式の数で割った「1株当たり利益」というやつにしてから割り算をしたのがPER。
急に専門的な話になって申し訳ないんだけど、これを深く説明したいわけじゃなくて、株価っていうのが、利益で代表される「企業価値」に対して何倍かの倍率をもって取引されているんだなってことが分かってもらえるといいかなと思う。
このPERは歴史的に見て15倍くらいなのが普通。ある企業の1株当たり利益の15倍くらいの値段が株価に与えられてるのが妥当、さっきの絵で言うと15倍のラインがオレンジだと考えるわけだ。この時に、もし20倍とか30倍という株価で取引されている瞬間があったら、「オレンジよりずいぶん上に行っちゃってるんじゃないか?」と思い、10倍の株価の時は「今はオレンジより下で割安かも?」となる。
さて、この式を展開するとこうなるよね。はい、昔の算数を思い出して。
株価とは、その企業の利益にPERをかけたものだ、という意味だよね。もっと「意訳」するとこうなる。
そう、PERって市場のムードなんだよね。セリに参加している色んな人が作り上げるその時々のムード。皆がイケイケの時はムードがいいからPERは高まる。何かあって皆がショボーンとする時はPERが萎んでしまう。
PERが萎むとどうなるだろう。この式で明らかなように株価は下がるよね。そう、利益は何にも変わってなくても!――これが今日一番言いたかった原理原則なんです。
市場では毎日「セリ」が行なわれてるんだけど、それはムードの伸び縮みでしかないことがほとんど。だって君らの会社の業績って昨日と今日で変わらんでしょ。1時間前と今とで変わらないよね。でも株価は今もカチッと動くよね。これは投資家が作るムードの伸び縮み、PERの伸び縮みだ。僕らが過度に気にすべきものではない。
逆にムードは一定の時に、その企業の利益の見通しが下がった場合にも株価は下がる。これはマズイ株価下落だよね。今日も日経平均株価が上がった、米国のニューヨークダウ平均が下がった、などとニュースは教えてくれる。でもそれが単なるセリ市場におけるムードの伸び縮みなのか、はたまた利益見通しの変化なのか――。
その見極めは簡単じゃない。でもこの違いの認識があるかどうかは、今後長きにわたって株式ファンドと付き合っていく上ではとっても大事なことなんだよね。
今日は今までで一番難しかったんじゃないかな。
疲れたよね。うん、ムードが暗いわ。お茶にしようかね。また次回。
投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、買付手数料等の費用が異なりますので、当該商品の目論見書、契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解いただくよう、お願いいたします。
各商品は、銘柄ごとに設定された買付又は換金手数料(最大税込4.40%)およびファンドの管理費用(含む信託報酬)等の諸経費をご負担いただく場合があります。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。
買付・換金手数料、ファンドの管理費用(含む信託報酬)、信託財産留保額以外にお客様にご負担いただく「その他の費用・手数料等」には、信託財産にかかる監査報酬、信託財産にかかる租税、信託事務の処理に関する諸費用、組入有価証券の売買委託手数料、外貨建資産の保管等に要する費用、受託会社の立替えた立替金の利息等がありますが、詳細につきましては「目論見書」で必ずご確認いただきますようお願いいたします。
また、「その他の費用・手数料等」については、資産規模や運用状況によって変動したり、保有期間によって異なったりしますので、事前に料率や上限額を表示することはできません。
投資信託は、預貯金とは異なり元本が保証されている金融商品ではありません。下記コンテンツでは、毎月分配型ファンドの分配金の支払われ方および通貨選択型の収益に関するご案内をしております。投資家の皆様につきましては、当該ファンドへの投資をご検討なさる前にぜひご確認くださいますようお願い申し上げます。