いずれにしても一般論として、または過去多くのケースにおいて投資タイミングの「多少の間違い」は、長く待つことで「結果オーライ」となってきた。つまり長期保有は皆を救ってくれた。でもそれって、なぜなんだろうか。
それは単純に投資対象が右肩上がりだったからだ。変動しながらも右肩上がりだったからこそ、短期のタイミングの間違いは長期保有で「結果オーライ」になったという単純な話なんだよね。2008年のリーマン・ショックも2020年のコロナ・ショックも、長期の構えで耐えた人が救われてきた。これこそが長期投資が推奨される理由だ。くどいけど複利効果ではない。
でも「多少の間違い」ではなく「大きな間違い」の場合は、いくら時間をかけてもなかなか「結果オーライ」とならないことは知っておいてほしいかな。日経平均株価の史上最高値である1989年末の38,915円の水準でインデックスファンドを買ってしまった人は、30年以上の長期保有をもってしても、今のところまだ救われていない。つまり、あの水準で買うことは「多少の間違い」ではなかったと言わざるを得ない。
NASDAQ(ナスダック)という米国の成長企業だけを抽出した株価指数だって、2000年2月の当時のピークに投資してしまった人は、15年後の2014年10月までずっとマイナスが続き、なかなか「結果オーライ」にならなかった。15年は耐え忍ぶには長い期間だよね。
前に株価の「ムード」が行き過ぎかどうかを測るモノサシとしてPER(ピーイーアール)を紹介したよね。こうした客観的なモノサシはまさに、「多少の間違い」なのか「大きな間違い」なのかを判断するためにある。
でも、PERが何倍以下ならOKで何倍以上ならNG、というほど簡単な話でも、テクニック論で何とかなる甘い世界でもないのが悩ましい。前から話している投資資産の原理原則を理解しつつ、長期投資だからこそ、もっと大きな世の中の変化なんかも踏まえて考えていくことが今後ますます大事になってくる。この辺はまた追々話していくつもり。ではまた次回。
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