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●バランスファンドの良さは基準価額がひとつなこと

賢い感じの意見は確かに腑に落ちるんだけど、実際に自分のお金になった途端、僕らは賢くはいられないんだと思う。一括投資はもちろん積立でも、時間が経って投資元本がそれなりの規模になってくると、株式100%の投資の場合はちょっとした株式市場の悪化で青くなるくらいのマイナスの「金額」を見ることになる。

それまでのイケイケが一転、急に様子がおかしくなり、平気で短期で1割2割下がり、そこからもダラダラとさらに下がったりして、それまでの含み益が一気に吹き飛んでしまうなんてこと、僕は何回も経験してきたわ。

その時にもし、「私にとっての必要利回りは3%なんだから」とリターン期待も日々の値動きのリスクも両方ともが小さいバランスファンドを選んでいた人なら、目にする基準価額の下落率は僕に比べて小さいので相当に気がラクだったはず。夜も気にせず眠れたはずだ。

バランスファンドの中に組み入れてある株式部分は当然1割2割と下がっているんだけど、債券も混ぜてあるから全体としてはその分だけ軽微になる。目にする基準価額はひとつだから、混ぜ混ぜになった結果の基準価額の動きだけしか見ないで済むってことだ。

これは言うまでもなく株式が上昇する時も同じで、バランスファンドは他にも混ざっているものがある分、株式の上昇の恩恵が小さくなる。前回に話した通りだね。リターン期待も小さくなるから最後のゴール地点の期待は低くなる。でも最後の最後に大失敗!みたいなリスクも小さくなる。

どうかな。バランスファンドの役割が分かっただろうか。今の君たちには必要ないかもしれないけど、もう少し上の世代の人たちや、毎月の株式100%の積立とは別に少し「まとまったお金」を分けて運用したい人なんかには有用な選択肢だと思う。

ただバランスファンドって、株式と債券などの組み合わせ方の比率によって、すごくたくさんあるんだよね。名前だけでは中身がよく分からないのも多くてさ。でもネット取引を前提にするなら「ネット専用・ノーロード」、つまり申込時の手数料がゼロの条件で絞り込むことで、急に数は減って選びやすくなると思う。

その上で「年3%レベル」の、高望みをせず夜眠れることを優先するバランスファンドの選び方としては、「債券比率が6割以上のもの」が大まかな目安になると思う。逆にいうと株式が全体の半分以上入っているものは株式100%のファンドとそんなに大きく変わらない。株式市場がいい時はリターンがあがっていいバランスファンドに見えるかもしれないけど、下がる時は結構きびしい下げを経験することになると思う。

だから、バランスファンドを選ぶ時は安易に飛びつかずに、マンスリーレポートとか月次報告書とかっていうPDFを探して開いてみて、全体の中に株式が占める割合を調べてみてほしい。日本株とか米国株とかに分けて書いてあるはず。あとREITっていうのも株式にカウントしていいので、それらを全部合計して5割を超えていたら、それはかなり「攻めたバランスファンド」と思っていい。それを買うくらいなら、さっきと矛盾するけど普通に株式100%のファンドを金額調整して買った方がいいんじゃないかな、って思うな。

ウチ、日興アセットにもネット専用・ノーロードのシリーズがあって、バランスファンドもあるから見てみるといいよ。別に勧めないけど。別に、別に、別に。

とにかくここ数年、S&P500と全世界株式のインデックスファンドが人気すぎて、まるでその2つしか選択肢がないかのような風潮があるけどそれは違うよ、って話。特に必要利回りが年3%でいい人までが無用なリスクを取って、後で後悔することがあってはならないと思うんだよね。

今日はバランスファンドの選び方に終始しちゃった。君たちに直接関係ない話でゴメンね。ではまた。

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